この記事の要点
遊環構造とは仙田満さんが提唱した、回遊性・シンボル性・ポーラスな空間構成を特徴とする「人が集まる建築」のデザイン理論だ。
マツダスタジアムはその実践例であり、建て替え後に入場者数が旧球場の2倍に増えた成果が示している。
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仙田満(せんだみつる)さんは、環境デザイン研究所を設立された建築家です。遊環構造(ゆうかんこうぞう)を提唱されました。仙田満さんによると、「人が集まる建築」は、面白そうと思わせることが大事と説かれています。今回は、仙田満さんの遊環構造、人が集まる建築のつくりかた、について紹介します。
なお、今回の記事は、下記の書籍を読んだ感想を含みます。有名建築家の「設計のエッセンス(ポイント)」が学べる本は、本当に貴重ですよ。建築を学ぶ方に、是非お勧めしたい本です。
人が集まる建築 環境×デザイン×こどもの研究 (講談社現代新書)
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仙田満さんが提唱される遊環構造は、下記の特徴があります。
・循環機能がある、回遊性がある
・その循環が安全で変化に富んでいる
・シンボル性の高い空間、場がある
・その循環にめまいを体験できる
・その循環が一様ではなく、近道がある
・循環に大きな広がりが取り付いている
・全体がポーラス(多孔的)な空間で構成されている
難しい用語の説明をしますね。まず「めまい体験」とは、肉体的精神的に一時的なパニックを楽しむことです。これはフランスの社会学者ロジェ・カイヨウが提唱しました。
「ポーラスな空間」は、閉鎖的でなく回遊性のある開放的な空間です。上記の遊環構造をイメージすると、開放的で子供たちが喜びそうな「遊び場のような空間」のように思います。
そんな遊環構造が取り入れられた建築物が、「マツダスタジアム」です。広島駅から徒歩で行ける距離にあり、広島カープのホームスタジアムです。
このスタジアムは、旧広島市民球場を建て替えたもので、建て替え後の入場者数は、旧市民球場の2倍にも増えたそうです。
単に「新しい球場だから」ではなく、素晴らしいデザインが生んだ結果だと思います。詳しくは、下記内に書いてあります。
人が集まる建築 環境×デザイン×こどもの研究 (講談社現代新書)
仙田満さんの「人が集まる建築」を読むと、こう書いてあります。
人が集まる建築 環境×デザイン×こどもの研究 (講談社現代新書)
人間の意欲には「面白そうだ⇒実際にやってみた⇒やってみた⇒満足した⇒感動した⇒もう一度行ってみよう」というサイクルがある
つまり、人が集まる建築をつくるには、「まず、面白い」と思わせること。確かに、人が集まる話題になる建築物は、人々を面白いと思わせる仕掛けがどこかにありますね。
混同しやすい用語
遊環構造
仙田満さんが提唱した、循環性・シンボル性・ポーラスな空間構成を持つ「人が集まる建築」のデザイン理論。
一般的な「動線計画」が目的地へ効率よく誘導する設計であるのに対して、遊環構造は回遊・迷い・めまい体験など多様な体験を意図的に組み込む点が異なる。
回遊性
建物や空間の中を一方通行にならずに周回できる性質のこと。商業施設や公共建築で顧客・利用者の滞在時間を延ばす設計手法として用いられる。
遊環構造が循環・シンボル・ポーラス性など複数の要素を含む総合理論であるのに対して、回遊性はその中核を成す空間的特性の一要素に過ぎない。
仙田満さんの遊環構造を整理した表を示します。
| 遊環構造の要素 | 内容 | 設計への応用例 |
|---|---|---|
| 循環機能・回遊性 | 安全で変化に富む循環動線 | スタジアムの回遊型通路 |
| シンボル性 | 印象的な空間・場の存在 | 広場・中庭・モニュメント |
| ポーラス空間 | 多孔的で開放的な空間構成 | マツダスタジアムの開放的設計 |
| めまい体験 | 一時的なパニックを楽しむ体験 | 迷路的な近道・予想外の展開 |
今回は仙田満さんの遊環構造、人が集まる建築のつくりかたについて紹介しました。仙田満さんの「人が集まる建築」を読みましたが、面白い考え方が沢山ありました。こういった、有名建築家の方の「設計のエッセンス」がわかる本は勉強になります。皆さんも是非読んでみましょう。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験の建築計画分野では、空間の回遊性・動線計画・アクティビティの誘発といった概念が出題されることがある。
遊環構造のキーワード(循環・シンボル性・ポーラス)を押さえると、計画系の設問で多角的に応用できる。