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有効応力は土質力学で重要な概念です。有効応力は、液状化の発生や圧密に関係します。今回は、そんな有効応力や、有効応力の原理について説明します。圧密の意味は下記が参考になります。
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有効応力とは、土の骨格構造にのみ作用する応力です。土は、水、空気、土粒子の3つから構成されます。土粒子は下図のような「骨格」をなします。下図は、ハチの巣状の土の骨格構造です(土の骨格構造は、他にも種類がある)。
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土に応力σが作用するとき、土粒子が負担する応力をσ'、間隙水が負担する応力uとするとき、下式が成り立ちます。
これは有効応力の原理といって、土質力学の重要な式の1つです。有効応力は、土の骨格構造にのみ作用する応力ですから、上式のσ'に該当します。考えてみれば当たり前のことですが、ここから様々なことがわかります。
さて、もう少し有効応力について理解を深めます。その前に、圧密について理解してください。詳細は下記が参考になります。
圧密を簡単に説明します。鋼は圧縮力を加えても時間に依存して歪が変化することはありません。一方土は、圧縮力が作用した状態で長時間放っておくと歪が増大しています。この現象が圧密です。
圧密の仕組みをテルツァギがピストン(バネ)を使ってモデル化しました。このモデルは土質力学の分野では、あまりにも有名です。下図をみてください。箱状の容器に水をいれます。箱には蓋がしてありますが、小さな孔が空いています。
また、蓋にはバネが付いており箱の下とつながっています。
これは土の性質を大変よく表したモデルです。蓋に孔が空いていますが、これは排水が目的です。土は砂、粘土共に排水能力があります。砂は排水しやすく、粘土は水を排水しにくいです。これは「透水係数」という値で表します。粘土は透水係数が小さく、砂は透水係数が大きいです。
「小さな孔」というのがポイントで、粘土は透水係数が小さいので、それをモデル化しています。
さて、荷重を加える前、蓋は水の上にプカプカと浮かんでいます。当然ですが、蓋が浮かぶのは水圧(浮力)があるからです。つまり、下式の状態です。
次に、蓋に荷重を加えます。すると、バネは縮みながらも荷重を支えます。また、水圧も荷重を支えます。ただし、孔が空いているので、排水され水圧は減ります。この排水された分の水圧を「過剰水圧」といいます。
荷重を加えると排水され、水が減ります。水が減ると水圧も少なくなります。ここで有効応力の原理を思い出してください。
水圧uの増減はσ'に何も関係しません。uが増えれば、σの値も増えます。このとき、σ'の値は一定です。
これは、有効応力のみが、土の骨格構造に作用し、土の変形に影響するといえます。間隙水圧の大きさと、土粒子の変形、応力は関係無いのです。
さらに荷重を増やします。荷重を増やすと、有効応力は増えます。一方、排水する分、間隙水は減ります。次第に、水が排水されなくなりました。これは、荷重を全てバネが支えているからです。
となります。
前述しましたが、有効応力の原理はとても重要です。
σは全応力、σ'は有効応力、uは間隙水圧です。下図をみてください。深さ6mの地層で、地面のすぐ下から水が出るとします。全応力、有効応力、間隙水圧を計算しましょう。
※間隙水圧、全応力の意味は下記をご覧ください。
全応力とは?1分でわかる意味、求め方、有効応力との違い、間隙水圧の求め方は?
まず、間隙水圧は下式です。
γwは水の単位体積重量、zは水深です。水の単位体積重量は、簡単のため10.0とします。
有効応力は、土の骨格構造のみに作用する応力です。つまり、「土のみの単位体積重量×深さ」です。水が0mから出るので、下式が有効応力となります。
よって、深さ6m地点での全応力は108kN/㎡です。今回は、とても簡単な例を示しましたが、本当の地盤は多層(色々な地盤がある)なので、単位体積重量や水頭の位置も違うことに注意しましょう。※水頭の意味は下記が参考になります。
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今回は有効応力について説明しました。忘れやすい用語の1つですが、式の意味を理解すれば簡単です。ピストンのモデルを覚えておけば、有効応力の原理も分かるでしょう。下記も併せて学習しましょうね。
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