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防火被覆と耐火被覆の違いは?目的・材料・適用建築物を比較して解説

この記事の要点

防火被覆と耐火被覆は混同されがちですが、見ている規定と目的が少し違います。

防火被覆は、主に鉄骨造の柱について、火災時に鋼材の耐力が低下して建物全体が倒れやすくなるのを防ぐための被覆です。

耐火被覆は、柱や梁などの主要構造部に、求められる耐火時間の性能を持たせるための被覆です。

どちらも火災から鉄骨を守る点は同じですが、適用される建築物、確認する法令、使われる材料・工法が異なります。

この記事では、防火被覆と耐火被覆の違い、目的、材料、適用建築物を比較して整理します。

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防火被覆をご存じでしょうか。似た用語で耐火被覆があります。実は、防火被覆と耐火被覆は似ていますが、見ている規定と目的が少し違います。

防火被覆は、鉄骨柱が火災で耐力低下し、建物全体が倒れやすくなることを防ぐためのものです。一方、耐火被覆は、柱や梁などに必要な耐火性能を持たせるために行います。

今回は、防火被覆と耐火被覆の違い、材料、適用建築物、そして柱の防火被覆を行う目的について説明します。


耐火被覆の意味、比重は下記が参考になります。

耐火被覆とは|目的・材料の種類と工法をわかりやすく解説

耐火被覆の比重は?吹付材・ケイカル板の単位重量一覧と荷重計算

まず、防火被覆と耐火被覆の違いを簡単に整理します。

項目防火被覆耐火被覆
主な目的鉄骨柱の耐力低下で、建物全体が倒れやすくなることを防ぐ柱・梁などの主要構造部に、必要な耐火性能を持たせる
主な根拠建築基準法施行令第70条、平成12年建設省告示第1356号耐火建築物・準耐火建築物で求められる耐火構造の規定や認定仕様
主な対象鉄骨造の柱柱・梁・床・壁などの主要構造部
材料・工法の例石膏ボード、窯業系サイディング、繊維強化セメント板、鉄網モルタル塗りなど吹付ロックウール、けい酸カルシウム板、巻付け材、耐火塗料など

ざっくりいうと、防火被覆は「鉄骨柱が火災で弱くなったとき、建物全体が倒れやすくならないか」を見る規定です。一方、耐火被覆は「柱や梁などが、求められた時間だけ火災に耐えられるか」を見るための被覆です。似ていますが、見ているポイントが少し違います。

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防火被覆とは?鉄骨柱に必要になる理由

防火被覆は、鉄骨造の柱について確認する規定です。主に3階以上の建築物で問題になります。

ただし、耐火建築物や準耐火建築物として、必要な耐火性能を満たしている場合は、防火被覆の規定を別に検討しないでよい場合があります。耐火・準耐火の規定はややこしいので、ここでは防火被覆の考え方に絞って説明します。


防火被覆の目的は、1つだけです。それは、


「鋼材の耐力低下を防ぐため」


です。


鋼材は火災に弱い特性があります。200度で元々の耐力の8割、400度で6割、鋼材温度が600度に達するとき、許容応力度は半分以下まで低下します。火災により、建物が本来の耐力を発揮できず、倒壊する可能性は大いにあるのです。


上記のような、鋼材の耐力低下を防ぐために防火被覆が必要です。

防火被覆しない場合、別途構造の検討が必要

上記より防火被覆が必要になりますが、構造的検討により防火被覆を回避することも可能です。


告示 平建告第1356号を解釈すれば、


「1つの柱を除いたと仮定したとき、その架構が長期荷重に対して短期許容応力度を満足すれば、防火被覆は必要ない」


とよめます。黄色本(構造関係技術基準解説書)には、1つの柱はとは1階に限定しないと書いてあります。


普通、3階建てのフレームで柱が1本無くなったら大変です。元々鉄骨造はスパンを6~10m以上飛ばすので、柱1本無くなったら、スパンは12~20mになります。それで問題なければ防火被覆は必要ないようですが、リスクが大きいですね。

防火被覆の種類

防火被覆は所定の通常の火災による火熱が加えられた場合に、加熱開始後30分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないために下記の構造方法を必要とします。

上記は覚える必要は無いのですが、鋼材の防火被覆として「コンクリート系の材料で被覆する必要がある」程度は理解しておきましょう。

混同しやすい用語

耐火被覆

耐火被覆は、柱や梁などの主要構造部に、求められる耐火性能を持たせるための被覆です。

防火被覆が主に鉄骨柱の耐力低下と建物全体の倒壊しやすさを見るのに対して、耐火被覆は耐火建築物・準耐火建築物などで求められる耐火性能を満たすための被覆です。

名前が似ているので混同しやすいですが、「鉄骨柱の倒壊防止を見るのか」「主要構造部の耐火性能を見るのか」で分けると理解しやすいです。

試験での問われ方|管理人の一言

告示平建告第1356号の規定では、1つの柱を除いた架構が長期荷重に対して短期許容応力度を満足すれば防火被覆は不要です。

ただし鉄骨造で通常スパン6~10mが12~20mになるため、現実的にはリスクが高く防火被覆を施すのが一般的です。(一級建築士 頻出:鉄骨の防火被覆が不要となる条件(告示平建告1356号・1柱除去架構の短期許容応力度確認)が繰り返し出題)

防火被覆が必要になる理由を、鋼材温度と耐力低下の関係で整理します。

鋼材温度耐力残存率状態
200度約80%やや低下
400度約60%大幅低下
600度50%以下危険域

まとめ

今回は、防火被覆と耐火被覆の違いを整理したうえで、防火被覆の目的について説明しました。3階建ての鉄骨造を設計するときは、防火被覆の規定を満足しているか確認しましょう。


ただ実際は、3階建ての建築物なら耐火要求もかかる場合が多く、耐火・準耐火を満足する設計を行うことも多いです。その場合、防火被覆の検討とは別に、耐火被覆や認定仕様の確認が必要になります。


話しは逸れますが、建築基準法の耐火、防火の規定は大変複雑です。一級建築士の試験勉強を行う人は、法規の規定と併せて理解しておきたいですね。


防火被覆に加えて、耐火被覆の意味、比重も勉強しましょう。下記が参考になります。

耐火被覆とは|目的・材料の種類と工法をわかりやすく解説

耐火被覆の比重は?吹付材・ケイカル板の単位重量一覧と荷重計算

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理解度チェック

Q.

防火被覆とは?

主に鉄骨造の柱について、火災時に鋼材の耐力が低下して建物全体が倒れやすくなるのを防ぐための被覆です。

Q.

防火被覆と耐火被覆の違いは?

耐火被覆は柱や梁などの主要構造部に求められる耐火時間の性能を持たせるための被覆で、適用建築物・法令・材料が異なります。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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