この記事の要点
安全係数は「ワイヤーの破断荷重÷作用する最大荷重」で求められ、値は必ず1を超える必要があり、吊り部材の種類によって吊りワイヤロープ(10以上)や玉掛けワイヤロープ(6以上)など規定値が異なる。
安全係数と安全率は名称が似ているが意味が異なり、安全率は「作用応力度÷許容応力度」で求めて1.00以下に抑えるものであるため、混同しないよう注意が必要である。
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ワイヤーの安全係数とは、ワイヤーの破断荷重を、作用荷重の最大値で除した値です。建築物を施工するとき、材料をワイヤーで吊り所定の位置まで運びます。もし、ワイヤーが切れたら、大変な事故になりますね。よって、ワイヤーには安全係数が考慮されています。今回はワイヤーの安全係数の意味、つり部材と安全係数の関係について説明します。※似た用語で、安全率があります。安全率の意味は、下記が参考になります。
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建築材料を高い位置に運ぶとき、ワイヤーを使って材料を釣ります。または、既に建て方済みの鉄骨部材から、足場を釣ることもあります。これらの吊り部材が、荷重により破断すれば大きな事故が起きます。よって、吊り部材には「安全係数」が設定されます。
物を吊るときは、所定の安全係数を超えない重さになるよう注意します。安全係数は、必ず1を超える値です。建築で使う吊り部材では、安全係数は4~10程度です。
安全係数が大きいほど、吊れる重さは小さくなります(ただし、破断荷重の大きさによる)。
似た用語で、安全率があります。これは、部材に生じる応力度を、許容応力度で除した値です。安全率は、必ず1.00以下に抑えます。安全係数と考え方、意味が違うので注意してください。安全率の意味、詳細は下記が参考になります。
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安全係数は下式で計算します。
安全係数=ワイヤーの破断荷重÷ワイヤーに作用する最大荷重
建築物の施工に用いる吊り部材には、それぞれ安全係数が規定されます。この安全係数を確保するよう、つり部材で運ぶ重さを決定します。例えば破断荷重が10tの吊りワイヤーロープがあります。安全係数は10なので、ワイヤーロープに吊れる質量は、
W=10t/10=1.0t
です。ワイヤーロープの安全係数は、10以上なので、11や12という値を用いて、仕様荷重を求めても良いです。破断荷重が10t、安全係数が5.0のとき、吊れる質量は
W=10t/5=2.0t
です。安全係数が小さいほど、吊れる重さが大きいとわかりますね。
各つり部材と安全係数の関係を整理しました。
吊りワイヤロープ 10以上
吊りチェーン、吊りフック 5以上
台付けワイヤロープ 4以上
玉掛けワイヤロープ 6以上
杭打機、杭抜き機の巻き上げワイヤロープ 6以上
上記は、一級建築士試験でも頻出します。ぜひ、覚えてくださいね。
つりワイヤーロープは、キンクしたロープを使いません。キンクとは、ねじれたロープの状態です。
混同しやすい用語
安全率
安全率は部材に生じる応力度を許容応力度で除した値であり、1.00以下であることが求められる。安全係数(破断荷重÷最大荷重)とは計算の方向性も適用対象も異なるため、区別して理解する必要がある。
ワイヤーの安全係数を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 吊りワイヤロープ | 安全係数10以上 | 破断荷重÷最大荷重の値 |
| 玉掛けワイヤロープ | 安全係数6以上 | 建築士試験で頻出 |
| 台付けワイヤロープ | 安全係数4以上 | 安全係数は必ず1を超える |
今回は安全係数について説明しました。意味が理解頂けたと思います。安全係数は、ワイヤーの破断荷重を、作用する最大荷重で除した値です。安全係数の求め方、公式を覚えてくださいね。また、各つり部材の安全係数を覚えると、一級建築士試験で役立ちます。下記の記事も併せて参考にしてください。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では、各吊り部材の安全係数の値(吊りワイヤロープ:10以上、玉掛けワイヤロープ:6以上、台付けワイヤロープ:4以上など)が選択肢として出題されます。
数値を丸暗記するよりも、「破断荷重を最大荷重で割ったものが安全係数」という定義を理解したうえで、主な吊り部材の値を確認しておくと応用しやすいです。
「安全係数」と「安全率」の違いも問われる場合があるため、両者の計算式と判断基準(安全係数は1超・安全率は1以下)をセットで整理しておきましょう。