この記事の要点
安全係数は、材料や部材の破断耐力を設計荷重(使用荷重の最大値)で割った値です。
ワイヤーの安全係数は労働安全衛生法で6以上と定められており、使用荷重の6倍以上の破断荷重が必要です。
玉掛けワイヤーを選定するとき、使用荷重×6が許容破断荷重の最低ラインになります。
例えば使用荷重1tなら破断荷重6t以上のワイヤーが必要です。
吊り角度が広がると実荷重が増えるので、2本吊りの場合は吊り角度補正係数も掛け合わせて計算します。
安全係数と安全率は名称が似ているが意味が異なり、安全率は「作用応力度÷許容応力度」で求めて1.00以下に抑えるものであるため、混同しないよう注意が必要である。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
ワイヤーの安全係数とは、ワイヤーの破断荷重を、作用荷重の最大値で除した値です。
建築物を施工するとき、材料をワイヤーで吊り所定の位置まで運びます。
もし、ワイヤーが切れたら、大変な事故になりますね。
よって、ワイヤーには安全係数が考慮されています。
今回はワイヤーの安全係数の意味、つり部材と安全係数の関係について説明します。
※似た用語で、安全率があります。
安全率の意味は、下記が参考になります。
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
建築材料を高い位置に運ぶとき、ワイヤーを使って材料を釣ります。または、既に建て方済みの鉄骨部材から、足場を釣ることもあります。これらの吊り部材が、荷重により破断すれば大きな事故が起きます。よって、吊り部材には「安全係数」が設定されます。
物を吊るときは、所定の安全係数を超えない重さになるよう注意します。安全係数は、必ず1を超える値です。建築で使う吊り部材では、安全係数は4~10程度です。
安全係数が大きいほど、吊れる重さは小さくなります(ただし、破断荷重の大きさによる)。
似た用語で、安全率があります。これは、部材に生じる応力度を、許容応力度で除した値です。安全率は、必ず1.00以下に抑えます。安全係数と考え方、意味が違うので注意してください。安全率の意味、詳細は下記が参考になります。
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
安全係数は下式で計算します。
安全係数=ワイヤーの破断荷重÷ワイヤーに作用する最大荷重
建築物の施工に用いる吊り部材には、それぞれ安全係数が規定されます。この安全係数を確保するよう、つり部材で運ぶ重さを決定します。例えば破断荷重が10tの吊りワイヤーロープがあります。安全係数は10なので、ワイヤーロープに吊れる質量は、
W=10t/10=1.0t
です。ワイヤーロープの安全係数は、10以上なので、11や12という値を用いて、仕様荷重を求めても良いです。破断荷重が10t、安全係数が5.0のとき、吊れる質量は
W=10t/5=2.0t
です。安全係数が小さいほど、吊れる重さが大きいとわかりますね。
各つり部材と安全係数の関係を整理しました。
吊りワイヤロープ 10以上
吊りチェーン、吊りフック 5以上
台付けワイヤロープ 4以上
玉掛けワイヤロープ 6以上
杭打機、杭抜き機の巻き上げワイヤロープ 6以上
上記は、一級建築士試験でも頻出します。ぜひ、覚えてくださいね。
つりワイヤーロープは、キンクしたロープを使いません。キンクとは、ねじれたロープの状態です。
混同しやすい用語
安全率
安全率は部材に生じる応力度を許容応力度で除した値であり、1.00以下であることが求められる。
安全係数(破断荷重÷最大荷重)とは計算の方向性も適用対象も異なるため、区別して理解する必要がある。
ワイヤーの安全係数を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 吊りワイヤロープ | 安全係数10以上 | 破断荷重÷最大荷重の値 |
| 玉掛けワイヤロープ | 安全係数6以上 | 建築士試験で頻出 |
| 台付けワイヤロープ | 安全係数4以上 | 安全係数は必ず1を超える |
今回は安全係数について説明しました。
意味が理解頂けたと思います。
安全係数は、ワイヤーの破断荷重を、作用する最大荷重で除した値です。
安全係数の求め方、公式を覚えてくださいね。
また、各つり部材の安全係数を覚えると、一級建築士試験で役立ちます。
下記の記事も併せて参考にしてください。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
ワイヤーの安全係数とは何で、安全率とどう違いますか?
ワイヤーの破断荷重を作用荷重の最大値で除した値で、必ず1を超えます(安全係数=破断荷重÷最大荷重)。一方、安全率は部材に生じる応力度を許容応力度で除した値で、必ず1.00以下に抑えます。計算の方向性も適用対象も異なるため区別が必要です。
各つり部材の安全係数の規定値は?
吊りワイヤロープ10以上、吊りチェーン・吊りフック5以上、台付けワイヤロープ4以上、玉掛けワイヤロープ6以上、杭打機・杭抜き機の巻き上げワイヤロープ6以上です。例えば破断荷重10t・安全係数10のワイヤで吊れる質量は1.0t(10t÷10)で、安全係数が小さいほど吊れる重さが大きくなります。
