この記事の要点
セメント・モルタル・コンクリートの違いは「骨材(砂・砂利)を含むか否か」で、セメントは結合材、モルタルは細骨材入り、コンクリートは粗骨材も加えた材料です。
建築士試験では各材料の成分・特性・用途の違いが出題されるため、3者の関係を整理して覚えましょう。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
セメント・モルタル・コンクリートの違いを正しく説明できますか?あるいは理解しているでしょうか。
これらの違いを説明するネットの記事は沢山ありますが、中には明らかな間違いが書いてある場合も。それだけ間違いやすい、注意しておきたい用語の1つです。
今回は、そんなセメント、モルタル、コンクリートの違いと特徴を、それぞれ説明します。セメントとモルタルの比重、モルタルの配合方法は下記が参考になります。
水セメント比とは?1分でわかる定義、計算法、単位水量との関係
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
まず誤解されている点があります。セメントとは、「触媒を用いて練り上げ効果した後に、ある程度の膠着性(接着性)、水硬性(水でかたまる)をもつ材料の総称」をいいます。
そのため、土木や建築以外に用いられている石灰・石こう・歯科医などで用いるものも「セメント」といいます。
何も土木、建築で使う材料がセメントではない、ということです。
では、セメントの主原料はなんでしょうか。土木・建築で主に用いられるセメントの主原料は、下記のとおりです。
以上の原料が、一定の割合で混合されたものが、建築で用いられるセメントです。
さて、セメントの主原料は前述した通りです。実はセメントの歴史は古く、一番最初に用いられたのはエジプトのピラミッドと言われています。
それから時代とともに様々な改良が加えられ、現在のセメントに最も近いものは18世紀ごろ作られたと言われています。
前述したように、セメントには様々な種類があります。その中でも、最も汎用性が高く使用される頻度の高いセメントが「ポルトランドセメント」です。ポルトランドセメントは、フランス、ドイツ、アメリカ、日本で似たような時期(19世紀ごろ)に製造が開始されました。
他にも下記のセメントがあります。
早強ポルトランドセメントは、普通のセメントより短い期間で強度が発現します。これらは、様々な状況に応じて使用するため開発されました。
※ポルトランドセメントの詳細は下記が参考になります。
ポルトランドセメントとは?1分でわかる種類、成分、使い方、特徴
セメントには大まかに3つの特徴がある、と考えてください。下記に示します。
順に説明します。まずセメントには、接着性があります。セメントは元々は灰色の粉ですが、これに水を加えることでサラサラのペースト状になります(これをセメントペーストといいます)。
つまり、硬化するまでは液体に近い状態です。このセメントペーストに鉛筆を差し込み、硬化するのを待ちます。すると鉛筆はセメントペーストと接着されるでしょう。このように、セメントには接着性があります。
2つめは、水硬性です。前述したように、セメントは元々が灰色の粉です。しかし、水を加えることで化学反応を起こし、放っておくと硬化します。
これを水硬性といいます。水硬性は、後述するコンクリートで建物を造る際、最も重要な性質です。
なぜなら、コンクリートは固まる前は液状だからです。ゆえに、コンクリート構造物はどんな形態の建物でも造ることが可能です。ビル、ドーム、トラス、複雑な曲面のような造形性ある建物が創れる理由が、セメントの水硬性です。
3つめは、収縮です。セメントは水を加えると固まります。しかし、同時に収縮を起こします。この性質が、モルタルやコンクリートの「ひび割れ」を起こすのです。
硬化したセメントは、乾燥すると毛細管中の水分がなくなり、物質が互いを引っ張りあって収縮が始まるためです。
セメントやコンクリートが固まるためには、水が必要です。しかし、その水分が原因で収縮を起こすなんて、皮肉ですよね。
※コンクリートの収縮は下記が参考になります。
コンクリートの乾燥収縮とは?1分でわかる意味、乾燥収縮率とjass5、骨材、ひび割れとの関係
では次に、モルタルの説明をしますね。
セメントの特徴が理解できれば、モルタルもすぐに分かります。モルタルとはセメントと下記の材料を混合したものです。
つまり、セメントペースト(セメント+水)に細骨材が加わった材料です。細骨材とは、簡単に言えば「砂」です。モルタルは、セメントペーストに比べると粘りがあって、ドロドロしています。水硬性があり、固まると一定の強度があります。
モルタルは、柱や梁、壁などの構造体として使われることはありません。強度が不十分で、弱いからです。モルタルの強度には、比重や配合が関係します。モルタルの比重、配合は下記が参考になります。
水セメント比とは?1分でわかる定義、計算法、単位水量との関係
富配合とは?1分でわかる意味、読み方、貧配合との違い、杭との関係
しかし、外壁の下地や化粧としては十分な硬さを持っているので、床や壁の上塗り、外壁の下地として用いられます。
左官工事を行う際、職人さんが塗っている材料がモルタルです。モルタルは作業性が良いため化粧材として使われます。例えば、下記のカ所にモルタルを使います。
敷モルタルとは?1分でわかる意味、厚さ、目的、施工方法、配合
ベースモルタルとは?1分でわかる意味、まんじゅう、厚さ、養生期間
最後にコンクリートの特徴についてです。コンクリートはセメントに下記の材料を加えたものです。
モルタルに粗骨材が加わったものが、コンクリートです。粗骨材とは、「石」をイメージすれば良いでしょう。細骨材との違いは大きさです。大きい骨材が粗骨材、小さい骨材が細骨材です。
コンクリートは強度が高く、柱や梁、壁などの構造体として用いられます。ただし、圧縮力に強く引張力に弱い性質があります。よって鉄筋をいれ「鉄筋コンクリート」としての利用が一般的です。
コンクリートはモルタルに比べ、さらに粘りが増します。またセメント量を増やすなどして、強度を高めます。そのため作業性が悪くなりやすく、「ワーカビリティ(作業性)」を考慮した材料設計が重要です。
※ワーカビリティの意味は下記が参考になります。
いかがでしたでしょうか。つまりセメントとモルタル、コンクリートの違いは下記となります。
混同しやすい用語
モルタル
セメント+水+細骨材(砂)を混合した材料。仕上げ材・目地材・左官材として使用される。
コンクリートに対して、粗骨材(砂利)を含まないため流動性が高く、薄い部分への充填や表面仕上げに適する。
コンクリート
セメント+水+細骨材+粗骨材(砂利)を混合した材料。構造体の主要材料として建物の骨格を形成する。
モルタルに対して、粗骨材を含むため強度・耐久性が高く、柱・梁・床スラブなどの構造部材に使用される。
| 項目 | セメント | モルタル | コンクリート |
|---|---|---|---|
| 成分 | 石灰石・粘土・けい石・酸化鉄・石こう | セメント+水+細骨材(砂) | セメント+水+細骨材+粗骨材(砂利) |
| 骨材 | なし | 細骨材のみ | 細骨材+粗骨材 |
| 強度 | 低(単体では使わない) | 中(仕上げ材レベル) | 高(構造体に使用) |
| 主な用途 | モルタル・コンクリートの原料 | 外壁下地・床仕上げ・目地材 | 柱・梁・床スラブなどの構造体 |
| 主な特徴 | 接着性・水硬性・収縮 | 流動性が高く薄塗り可能 | 圧縮に強く引張に弱い |
| 種類 | 特徴 | 主な用途 |
|---|---|---|
| 普通ポルトランドセメント | 最も汎用的・標準的な強度発現 | 一般的な建築・土木工事 |
| 早強ポルトランドセメント | 短期間で強度が発現する | 寒中工事・工期短縮が必要な場合 |
| 超早強ポルトランドセメント | さらに早期に強度発現 | 緊急補修・極寒冷地 |
| 中庸熱ポルトランドセメント | 水和熱が少ない | ダム・橋脚などのマスコンクリート |
| 耐硫酸塩ポルトランドセメント | 硫酸塩による劣化に強い | 海水・硫酸塩土壌に接する構造物 |
今回はセメントの特徴や、モルタル、コンクリートの特徴と違いを説明しました。これらの用語は間違えやすく、ネット上には誤った記事も沢山あります。
正しい知識を身に付け、セメントやモルタル、コンクリートの違いを理解しましょう。モルタルの比重、配合など併せて勉強しましょうね。
水セメント比とは?1分でわかる定義、計算法、単位水量との関係
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では「モルタルはセメント+砂+水、コンクリートはさらに砂利を加えたもの」という成分の違いが問われます。
「細骨材=砂、粗骨材=砂利・砕石」と覚えておくと、各材料の定義をすぐに思い出せます。