建築学生が学ぶ構造力学

  1. HOME > 鋼構造の基礎 > 柱脚の違いによる境界条件の違いについて

柱脚の違いによる境界条件の違いについて

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!大好評の用語集と図解集のセット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット(※既に26人にお申込みいただきました!)


柱脚によって境界条件が異なることを理解しておきましょう。さて、構造部材のモデル化は下図のように行います。


こちらの本が説明が分かりやすくておすすめです。建築学テキスト 建築構造力学〈1〉静定構造力学を学ぶ


学生の皆さんは意外と意識していないと思いますが、構造計算では、構造部材のモデル化をするとき、剛域やバネまでモデル化しています。


普通、基礎はピン支点としてモデル化するのですが、柱脚によっては、ざっくりと剛接合にして片持ち部材で検討しています。


今回は、柱脚の違いによる境界条件のモデル化について説明しましょう。

露出柱脚の境界条件

鉄骨造を設計すると一番多いのが露出柱脚です(僕の経験では)。次いで、根巻き柱脚、埋め込み柱脚での順です。


露出柱脚は、施工性が簡単で計算上も理解しやすいのでスピーディーな設計を行えます。


また、各社メーカーが『既製柱脚』と呼ばれる製品を売り出しており、その製品を使えば柱脚の検討は省略することができます。


さて、露出柱脚のモデル化は手計算時代は『ピン』でした。今でも、間柱や簡単に手計算をする場合は、柱脚をピンで仮定していると思います。


なぜ、ピンにするのか?というと、固定度が小さいからという説明になります。


つまり、ピンという境界条件は水平・鉛直方向を拘束します。しかし、曲げに対しては自由だったはずです。


ですから、ピン支点の柱を横から押すと回転して転んでしまいます。露出柱脚は柱をベースプレートに溶接して、


ベースプレートと基礎をアンカーボルトで接合した構造です。これは、他の柱脚に比べると柔らかい構造なのです。


一方で、現在の構造計算では露出柱脚を完全なピンとして扱いません。その理由を説明しましょう。


昔は、露出柱脚は完全なピンで設計されていました。つまり、長期や地震時でも柱脚に曲げモーメントは発生しません。


しかし、阪神大震災で柱脚の破壊による建物の崩壊が多く起きたのです。露出柱脚に曲げモーメントが作用したためでした。


アンカーボルトに引き抜き力が作用したり、コンクリートの圧壊も起きたのです。


今までピンと仮定していた露出柱脚は、本当はピンではありませんでした。実際には、『柱頭曲げの3割くらいを負担する』固さを持っていたのです。


ピンでも剛接合でもない、中間的な固さを表すとき『バネ定数』を用います。そして、露出柱脚のバネ定数は下記のように定められているのです。


Kbs=(E×nt×Ab(dt+dc)^2)/(2Lb)

Kbs:バネ定数

E:アンカーボルトのヤング係数(N/m㎡)

nt:引張側アンカーボルトの本数

Ab:1本のアンカーボルトの軸断面積(m㎡)

dt:柱断面図芯より引張側アンカーボルト断面群の図芯までの距離(mm)

dc:柱断面図芯より圧縮側の柱フランジ外縁までの距離(mm)

Lb:アンカーボルトの長さ(mm)

100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事

記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

LINEで質問したい方はこちら ⇒ 【好評】管理人にLINEで質問してみよう

根巻き柱脚の境界条件

根巻き柱脚は、コンクリートの立ち上がりを造って、鉄骨柱を被覆した構造です。実は、根巻き柱脚は中途半端な構造で、


力の伝達メカニズムがよくわかっていません。が、当サイトで説明した検討方法が一般的に行われています。


構造計算で一般的に行われている方法の1つは、根巻き柱脚部を剛域として支点はピンとする方法です。


剛域にすれば、見かけ上の柱長さは短くできます。要するに、鉄骨柱の断面算定では少ない曲げに対して検討すれば良いのです。

2つ目の方法は、僕は経験がありません。が、鋼構造基準を見ると書いてありました。


それは、根巻き部分まで鉄骨柱として、ベースプレート下端位置を剛接合とするモデル化です。言葉に書くと、ややこしいですが要するに下図となります。

埋め込み柱脚の境界条件

埋め込み柱脚は、鉄骨柱に対して最も安全側な設計方法です。埋め込み柱脚は、鉄骨柱は基礎まで埋め込んだ上で、補強筋により固定度を上げます。


これによりモデル化は、地中梁天端から1.5D(Dは鉄骨柱せい)下がった位置を剛接合として良いと、鋼構造基準に明記されています。下図を確認しましょう。

まとめ

今回は、柱脚の違いによる境界条件について説明しました。構造力学の授業では、柱脚のモデル化まで意識して計算しないと思います。


これから、構造設計を行うに当たって理解しておきたいですね。

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!大好評の用語集と図解集のセット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット(※既に26人にお申込みいただきました!)


▼スポンサーリンク▼

▼【好評!】管理人おすすめ▼

▼用語の意味知らなくて大丈夫?▼

建築学生が学ぶ「構造力学」の用語集

▼同じカテゴリの記事一覧▼

▼カテゴリ一覧▼

▼他の勉強がしたい方はこちら▼

建築構造がわかる基礎図解集

noteで学ぶ建築士試験の構造

ゼロから建築士試験の構造を勉強しよう~!

ゼロから学ぶ建築士試験の構造

【好評】LINEで質問!

管理人に質問してみる?

友だち追加

わかる1級建築士の計算問題解説書

計算の流れ、解き方がわかる!1級建築士【構造】計算問題解説集

【初回資料が今だけ無料!】1日約13円で情報をアップデート!

有料メルマガを無料で見てみませんか?⇒ 忙しい社会人、学生のためのビルディング・アップデート

わかる2級建築士の計算問題解説書!

【30%OFF】一級建築士対策も◎!構造がわかるお得な用語集

建築学生が学ぶ「構造力学」の用語集
pdf版の学習記事

更新情報

プロフィール

建築の本、紹介します。▼

すぐにわかる構造力学の本

▼【好評!】管理人おすすめ▼

同じカテゴリの記事一覧

Topへ >>

  1. HOME >鋼構造の基礎 > 柱脚の違いによる境界条件の違いについて
  2. 1級の過去問(計算)解説
  3. 限定メルマガ
  4. わかる建築構造の用語集・図解集
  5. 1頁10円!PDF版の学習記事