この記事の要点
鉄骨造の現場監理でアンカーボルトの位置ずれが発覚したとき、「ボルトを切って溶接でごまかす」という提案を断った経験がある。アンカーボルトは柱の鉛直荷重・水平力・モーメントを基礎へ伝達する重要部材で、位置精度が悪いと構造性能が落ちる。
木造住宅では土台と基礎を繋ぐ役割を担う。鉄骨造・木造で用途が異なるアンカーボルトの種類と、施工上のチェックポイントを整理する。
地震時には、せん断力・曲げモーメント・引き抜き力に関係するため、ABR・ABM・SNR材のような伸び能力のある鋼材が重要になります。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
アンカーボルトは柱脚や土台を基礎に緊結し、せん断力・引き抜き力などの力を基礎へ伝えるためのボルトです。アンカーボルトとは何でしょうか。「ボルト」であるに違いありません。しかし「アンカー」という言葉が気になります。
アンカーボルトとは、柱脚を基礎に留めるために必要なボルトのこと。木造住宅では土台と基礎を繋げるボルトです。今回は、アンカーボルトの役割と効果について説明します。
※アンカーボルトの詳細は下記も参考になります。
アンカーボルトとは?規格(SS400等)・サイズ・種類・埋め込み深さの計算
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
アンカーボルトは柱脚と基礎、土台と基礎とをつなげる役目をもちます。例えば、鉄骨構造の場合、鉄骨柱と基礎は異種材料です。両者を接合するためには、何らかの方法で接合する必要があります。
※柱脚、基礎の意味は下記も参考になります。
柱脚(ちゅうきゃく)とは?種類・露出・根巻き・埋込み・ベースプレートを解説
基礎とは?意味・種類(べた・布・独立)と鉄筋コンクリート基礎の構造
鉄骨とRCは溶接できません。RCの中に鉄骨を埋め込む方法も考えられますが、それだけでは不十分(昔は掘立小屋のように土中に柱を建てた家も沢山ありました)。緊結するためにアンカーボルトが必要なのです。
以上を構造的にいいます。アンカーボルトは地震時にはせん断力や曲げモーメントを伝達します。また引き抜き力が作用するので、引張耐力の高い素材(鋼材)です。
木造住宅でもアンカーボルトは利用されます。それは土台と基礎とを緊結するため。以前はアンカーボルトが無い家もありましたが、近年は計算でアンカーボルトが何本必要か算定した上で設置します。
アンカーボルトは柱と基礎をガッチシ繋げるために重要な部材です。仮にアンカーボルトが先に引き千切れてしまうと、建物は簡単に倒れるでしょう。
そのためアンカーボルトは「伸び能力がある」素材を使います。ABRやABM、SNR材と呼ばれる鋼材です。下記が参考になります。
abr400とは?1分でわかる意味、規格、許容応力度、定着版との関係
ABM400とは?アンカーボルトの規格・許容応力度とABR400との違い
混同しやすい用語
高力ボルト
鉄骨部材同士を接合するためのボルトです。
アンカーボルトが基礎と柱脚・土台をつなぐのに対して、高力ボルトは鉄骨部材同士をつなぐ点が異なります。
アンカーフレーム
アンカーボルトを正しい位置に保持するための部材です。
ボルトそのものではなく、アンカーボルトを施工時に固定・位置決めするための補助部材です。
アンカーボルトを整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 役割 | 柱脚・土台と基礎を緊結し、せん断力・引き抜き力を伝達 | 鉄骨造・木造どちらにも必要 |
| 材質 | ABR・ABM・SNR材(伸び能力のある鋼材) | 高力ボルトとは異なる |
| 柱脚の種類 | 露出型・根巻き型・埋込み型 | 各形式でアンカーボルト本数・配置が異なる |
アンカーボルトは柱と基礎、土台と基礎をガッチシと繋げるために必要なボルトです。アンカーボルトが無ければ、地震で簡単に倒壊するでしょう。アンカーボルトの設計は注意したいものですね。下記も参考になります。
アンカーボルトM16とは?径・規格・強度と定着長さの計算(柱脚接合の基礎)
建築構造用アンカーボルトとは?意味・ABR・SNRの種類と伸び能力
アンカーボルト長さの計算方法は?1分でわかる計算、m12の埋込長さ、建築基準法との関係
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
アンカーボルトの役割を説明してください。
アンカーボルトは柱脚と基礎、または土台と基礎を緊結するボルトです。鉄骨柱と基礎のような異種材料を接合し、地震時にはせん断力・曲げモーメントを伝達し、引き抜き力にも抵抗します。鉄骨造・木造どちらにも用いられます。
アンカーボルトに伸び能力のある鋼材(ABR・ABM・SNR材)が使われる理由を説明してください。
アンカーボルトが先に引き千切れると建物は簡単に倒れてしまうため、伸び能力のある素材を使います。地震時にせん断力・曲げモーメント・引き抜き力が作用するため、引張耐力が高く伸び能力のあるABR・ABM・SNR材が用いられます。
アンカーボルトと高力ボルトの違いを説明してください。
アンカーボルトは基礎と柱脚・土台をつなぐボルトです。高力ボルトは鉄骨部材同士を接合するボルトで、つなぐ対象が異なります。アンカーボルトの材質は高力ボルトとは異なります。
