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テルツァーギの圧密理論とは?一次元圧密の基礎方程式の誘導方法は?

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テルツァーギの圧密理論とは、複数の仮定に基づいて一次元圧密の進行を数学的に予測した理論です。実際の地盤は3次元ですが、1次元の問題として扱うことで、比較的簡単な計算式から圧密の進行を予測できます。今回はテルツァーギの圧密理論の意味、一次元圧密の基礎方程式の誘導方法について説明します。一次元圧密、圧密の詳細は下記が参考になります。

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テルツァーギの圧密理論とは?

テルツァーギの圧密理論とは、一次元圧密の進行を数学的に予測した理論です。テルツァーギが導いた圧密の基礎方程式を下記に示します。uは任意の間隙水圧、tは任意の時間、zは任意の高さ、kは透水係数、mvは体積圧縮係数、γwは水の密度です。


テルツァーギの圧密理論1


なお、実際の地盤は3次元のため、これを1次元として扱う場合、複数の仮定が必要となります。テルツァーギの圧密理論における仮定(条件)を下記に示します。


・圧密は一方向(鉛直方向)に起きる(つまり、水の流れ、土の変形も一方向)

・土粒子と水は非圧縮

・ダルシ―の法則が成り立つ(Q=kAi、v=ki)

・土(地盤)は均質(等方性)である

・間隙は水で満たされている(飽和している)

・透水係数k、有効応力の増加量Δpに対する体積ひずみεの割合は一定


上記のように、テルツァーギの圧密理論を用いる場合、適用範囲がある点に注意しましょう。なお、テルツァーギの圧密理論では、圧密現象を「一次元圧密」として考え、圧密現象は「ピストンとバネ」によりモデル化されました。一次元圧密、圧密の詳細は下記が参考になります。

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一次元圧密の基礎方程式の誘導方法は?

前述した一次元圧密の基礎方程式を誘導しましょう。いま、地盤の微小断面を取り出して土中に流れる水の流量を考えます。


一次元圧密の基礎方程式1


一次元圧密では深さ方向の変化のみ考えます。よって、微小断面の断面積は定数でA、微小高さは変数dzとします。一般に、地盤は圧縮力が作用して土中の水が「下から上に排水」されるのですが、同時に、考えている地盤の「下の地盤から水が流入」します。つまり、上図の微小断面における流量は「流入する水と排出する水の差分」といえます。


流量は「流速×断面積」で算定されます。微小断面下端での流速をvz、断面積をAとするとき微小断面下端での流量q1は


一次元圧密の基礎方程式2


です。次に微小断面上端での流量を求めます。高さdzだけ流速は変化します。繰り返しますが一次元圧密ではz方向(深さ方向)の変化のみ考えます。つまりvzの変化はzのみを変数としてその他の変数は定数と考えた微分、すなわちzについて偏微分を行い、さらに、dzを掛け算して、微小断面下端での流速を足し算することで、微小断面上端での流速が得られます。


一次元圧密の基礎方程式3


q1は流入、q2は排出される流量であり、q2とq1との差分をとった「微小断面の流量」は


一次元圧密の基礎方程式4


になります。さらに、上式の流量は「単位時間当たりの値(流速×断面積)」なので、微小時間dtを掛け算して


一次元圧密の基礎方程式5


が得られます。さて、土の間隙は飽和しており土が圧縮されると排水して体積が減少します。つまり、土の体積の変化量と排水に伴う流量は等しいのです。圧密は時間の変化に伴う体積減少が起きるのであり、時間あたりにおける土の体積ひずみの変化は


一次元圧密の基礎方程式6


です(体積ひずみ=体積の変化量÷全体の体積)。上記に微小体積Adz、微小時間dtを掛け算すれば、体積の変化量が算定できるので


一次元圧密の基礎方程式7


が得られます。上式と微小断面における流量は等しいので


一次元圧密の基礎方程式8


になります。上記より、時間あたりにおける体積ひずみの変化と、深さ方向における流速の変化は等しいことが分かります。


ここで動水勾配を思い出してください。動水勾配i=h/Lで算定できるので、微小領域における動水勾配iは


一次元圧密の基礎方程式9


です。hは圧力水頭で「u=h×γw ⇒ h=u/γw」です(uは水圧、hは水頭、γwは水の単位体積重量)。よって動水勾配は


一次元圧密の基礎方程式10


です。

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次にダルシ―の法則を思い出してください。ダルシ―の法則は「Q=kAi」であり、Qは流量、kは透水係数、Aは断面積です。また、Q=vAより、v=kiが得られます。なお、一般に水頭Δhは水の流れに伴い減少し、かつ透水係数kは正の値なので「v=-ki」とします。


よって


一次元圧密の基礎方程式11


となります。また


一次元圧密の基礎方程式12


が得られます。


さて、微小断面の応力について考えます。一次元圧密の理論(※一次元圧密の記事参照)より全応力σは一定なので


一次元圧密の基礎方程式13


です。つまり微小断面においては


一次元圧密の基礎方程式14


です。

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また、体積圧縮係数mv=ε/Δpなので、これを微小断面について考えると


一次元圧密の基礎方程式15


です。さらに


一次元圧密の基礎方程式16


です。下式より


一次元圧密の基礎方程式17


なので


一次元圧密の基礎方程式18


です。以上を整理すると


一次元圧密の基礎方程式19


が得られます。最後の式が「テルツァーギの一次元圧密の基礎方程式」です。

まとめ

今回はテルツァーギの圧密理論について説明しました。テルツァーギの圧密理論では、複数の仮定に基づいて、一次元圧密の進行を数学的に表すことが可能です。まずは一次元圧密理論の詳細、圧密の意味を勉強しましょう。下記が参考になります。

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