この記事の要点
ダイアフラムに孔が空く場合は、孔によって断面が欠損するため、応力伝達を正確に評価する必要があります。
設備配管やボルト孔など、施工上の理由で孔が生じることはよくあります。
実務では孔の位置と断面の有効幅を確認したうえで、孔が溶接部や応力集中部に近い場合は補強を検討します。
メーカーや設計基準の計算シートを使って有効断面積を算出し、設計引張耐力を下回らないかを確認するのが一般的な手順です。
孔が空いたダイアフラムの耐力は「(B-200mm)×t×fs」で算定し(fsは490鋼で188)、梁フランジの全強を伝達できるか確認します。
適合性判定や確認申請でも指摘される項目です。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
SRCやCFT構造の場合、注意する点の1つがダイアフラムに孔が空くことです。
なぜか?
それは、ダイアフラムは、梁端部の負曲げを伝達する重要な部材だからです。ダイアフラムと角型鋼管でつくられた部分をパネルゾーンを、仕口と言います。ダイアフラムの詳細は下記をご覧ください。
ダイアフラム(ダイヤフラム)とは?鉄骨柱に必要な理由と種類【図解】
さて、ダイアフラムに穴が開くケースはいくつかあります。
その1つが溶融亜鉛メッキのガス抜き孔です。
外部に露出する柱では、錆びないように溶融亜鉛メッキを施します。
「どぶ浸け」と言うのですが、これは柱を亜鉛の中に浸けることから、そうよばれています。
溶融亜鉛メッキとは?すぐに分かる特徴や規格、溶融亜鉛メッキボルト
亜鉛の比重と鉄の比重を比較すると、7.2;7.8のように亜鉛の方が軽いですが、角型鋼管をダイアフラムで塞いだ状態では、中空内の空気が浮力となって浸からないのです。
これを無理やり浸けようとすれば、中の空気が破裂する恐れもあって危険です。
亜鉛メッキの孔以外にもダイアフラムに孔を空ける場合があります。それがSRCやCFT構造のように、鋼管内部にコンクリートを注入する場合です。例えば、1階~2階にコンクリートを注入するなら、当然、2階梁端部のダイアフラムには孔が空きます。
それも亜鉛メッキ孔とは比較にならないほど大きく、200㎜程度となるでしょう(亜鉛メッキ孔は30mmくらい)。SRC構造やCFT構造の詳細は下記をご覧ください。
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
ダイアフラムに穴が開いた場合の検討方法は簡単です。梁フランジの全強(強度×フランジ断面積)を、孔が空いたダイアフラムに伝達出来ればよいのですから。
孔が空いたダイアフラムの耐力=(B-200㎜)×t×fs
で算定されます。Bはダイアフラム幅、tは板厚、fsはせん断強度(490鋼の場合、325/1.73=188)。
ダイアフラムは梁フランジよりも2サイズは多きくしないと突合せ溶接が上手くいかないので、そもそも板厚は大きいです。が、さすがに200㎜も孔が空いていると、さらに大きくしないといけません。
適合性判定や確認申請でも指摘される項目ですから、注意したいですね。下記も参考になります。
ダイアフラム(ダイヤフラム)とは?鉄骨柱に必要な理由と種類【図解】
混同しやすい用語
通しダイアフラム
柱を貫通する形式のダイアフラムで、内ダイアフラムとは配置が異なる。
孔が空くケースはダイアフラム形式によって条件が異なる。
パネルゾーン
柱とダイアフラムで囲まれた仕口領域全体を指し、ダイアフラム単体とは概念が異なる。
孔あきダイアフラムの検討はパネルゾーンの耐力確認とは別に行う。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
亜鉛メッキの孔(約30mm)とCFT構造のコンクリート注入孔(約200mm)では規模が全く異なります。
200mmの孔になるとダイアフラムの耐力が大幅に低下するため、板厚を通常より大きくする必要があります。
ダイアフラムは梁端部の負曲げを伝達する重要部材ですので、孔がある場合の検討は必ず行ってください。(一級建築士 頻出:ダイアフラムの孔あき(CFT注入孔200mm)による耐力低下と板厚増大の検討が繰り返し出題)