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剛接合とピン接合の意味と、納まりと構造性能の違い

剛接合とピン接合、一体どういう意味でしょうか。また、両者の納まりや構造性能は、どう違うのでしょう。


建築設計の実務をしていると、毎日のように「剛」とか「ピン」という言葉を聞きます。構造設計をする人は、なおさらです。


つまり、それほど基本的な知識であることを意味します。今回はそんな剛接合とピン接合について説明します。


剛接合とは?

剛接合とは、簡単に言えば「部材同士を一体化する接合方法」です。そもそも「接合」という用語には「つなぎ合わせること。くっつくけること」という意味があります。


そこに「剛」という言葉が加わったのは、「一体化する」という意味があるからです。例えば柱と梁。この異なる部材同士を一体化させること。これが剛接合です。


剛接合はなぜ必要?剛接合の構造性能

では、なぜ剛接合が必要でしょうか。


さて建物を構成する構造部材には、とても対照的な2つの構造形式があります。それが

です。


ブレース構造は、後述するピン接合で成立する構造形式です。軸力のみ発生するので合理的な設計が可能です。詳細は下記の記事を参考にしてください。


一方ラーメン構造は、柱と梁を一体化(すなわち剛接合)することで、抵抗する構造形式です。柱と梁には曲げモーメント、せん断力、軸力が発生します。ブレース構造に比べ、合理性の面では劣りますが、ブレースを入れる必要が無い分、空間を最大限利用できるメリットがあります。


この広々とした空間にできるメリットが支持され、現代建築の種類は「ラーメン構造」です。そしてラーメン構造にするためには柱と梁を一体化します。一体化するためには「剛接合」が必要なのです。


あるいは片持ち梁、片持ち柱にする場合も剛接合にします。


下記の記事が、ラーメン構造について参考になります。気になる方は合わせて読んでみてください。

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柱と梁を剛接合するときの納まり

では具体的に、部材同士を一体化するにはどうすればよいのか。キーワードは「溶接」です。下図を見てください。これは一般的な柱と梁の剛接合の納まりを描いています。

柱に対して梁が取り付いています。これは通しダイアフラムという形式で、梁フランジとダイアフラムを突き合わせ溶接で一体化し、梁ウェブと鋼管板を隅肉溶接で接合しています。


突き合わせ溶接は、鉄骨同士を一体化する溶接方法で、剛接合にする最も一般的な方法です。さて、上図の右側をみると「梁継手」と書いてあります。実はこれも、剛接合の1つです。同じ梁同士を一体化させる場合、プレートの上から高力ボルトでウェブやフランジを留めます。


溶接すれば良いじゃないか、と思うかもしれませんが、これには理由があります。鉄骨部材は比較的スパンが長いものが多く、あまり部材の長さが大きいとトラックに載せられないからです。そのため柱に剛接合する梁は、継手をつくって現場でボルトを留めます。


梁と梁を剛接合する納まり

梁と梁を剛接合する場合もあります。但し、剛接合の基本は変わりません。「突合せ溶接」です。


下図をみてください。3つの「梁と梁の剛接合」を示しました。まずは剛接合する梁同市に段差がない場合です。

このように梁同士のフランジを突合せ溶接します。ウェブは隅肉溶接です。


次に梁の段差が100mm以上の場合です。フランジを突合せ溶接するのは変わりませんが、下端に段差があるため、プレートを取り付けて溶接します。

梁の段差が100mm以下なら、梁にハンチをつけて大きい梁の下フランジに溶接します。ハンチをつくると弱くなるので、図のようにプレートをあてて補強してください。


ピン接合とは?

ピン接合とは、「一体化はしないが、部材同士を留める」接合方法です。構造的にいえば、接合部が回転し、曲げモーメントを伝えません。


ピン接合はなぜ必要?ピン接合の構造性能

ピン接合がなぜ必要かといえば、まさに前述したことです。ピン接合となる部分は蝶番ように回転するので、曲げモーメントが発生しません(しかし回転するので変形は大きくなります)。


接合部に曲げモーメントが発生しないことは、簡単で明快な構造設計が可能です。例えば地震力を負担しなくて良い小梁(二次部材など)は、ピン接合にします。他にも間柱や耐風梁など「あえて曲げモーメントを伝えたくない箇所」にはピン接合を採用します。


柱と梁のピン接合の納まり

ピン接合は曲げモーメントを伝達しない接合方法です。つまり部材同士を一体化する突き合わせ溶接ではなく、「隅肉溶接」と「高力ボルト接合」が基本です。下図を見てください。

まず柱に対してがセットプレートを隅肉溶接して取り付けます。図面ではGPLと描きます。実務ではブラケットとも言います。このガセットプレートと梁のウェブを高力ボルトで留めます。


このようにピン接合は、剛接合に比べると簡単な接合方法です。また曲げモーメントを伝達しないので、構造設計が簡単かつ明快になります。


ただ問題もあります。ピン接合部は曲げモーメントが発生しない分、変形します。例えば、柱と梁をピン接合で繋いだ建物は、地震や風が吹いた途端に倒れてしまいます。ですから前述したブレースを配置して、剛性(構造物の固さ)を高める工夫をします。


梁と梁のピン接合の納まり

下図は梁同士をピン接合で留める納まりです。柱と梁を留める場合と基本は同じです。ただガセットプレートを取り付けた反対側の面には、リブプレートを付けるのが一般的です。

まとめ

今回は剛接合とピン接合について説明しました。両者の違いがハッキリしたでしょうか。どちらが良い、というわけでなく一長一短です。


剛接合にしたからといって、構造的・納まり的に有利になるとは言い切れないのです。両者の特徴をよく理解して使いたいですね。


今回の記事が参考になれば幸いです。

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