この記事の要点
頭付スタッドとは、RCスラブと鉄骨梁を一体化(合成梁)させるために鉄骨梁にスタッド溶接で取り付けるボルト状の部材で、JIS B 1198に規定される。
材質はシリコンキルド鋼またはアルミキルド鋼で、降伏点235N/mm2以上・引張強さ400~550N/mm2が規定される。
この記事では、頭付きスタッドとは何か、合成梁の仕組みはどうなっているのか、材質・規格はどう定まっているのかを整理します。
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鉄筋コンクリートのスラブを受ける鉄骨梁に、必ず打つ頭付スタッド。一体、どのような意味があるのでしょうか。今回は、建築で使う頭付スタッドの意味や、材質、規格などについて説明します。※スラブに関しては、下記が参考になります。
スラブってなに?現役設計者が教えるスラブの意味と、特徴、役割
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頭付スタッドは、後述するようにRCスラブと鉄骨梁を接合する部材(ボルト)です。
頭付スタッドはJIS B 1198に規定されています。
また、頭付スタッドを鉄骨梁に接合する場合、「スタッド溶接」を行います。
スタッド溶接については下記が参考になります。
スタッド溶接とは|強度・施工方法と合成スラブへの適用をわかりやすく解説
頭付スタッドの規格や機械的性質を下表に示します。高力ボルトや鉄筋のように呼び径と、呼び長さが規定されます。
スタッドの機械的性質を下表に示します。
| 降伏点または0.2%耐力 N/m㎡ | 引張強さ N/m㎡ | 伸び % |
| 235以上 | 400~550 | 20以上 |
スタッドの化学成分を下表に示します。
| 材料 | 化学成分 % | |||||
| C | Si | Mn | P | S | Al | |
| シリコンキルド鋼 | 0.20以下 | 0.15~0.35 | 0.30~0.90 | 0.040以下 | 0.040以下 | - |
| アルミキルド鋼 | 0.20以下 | 0.10以下 | 0.30~0.90 | 0.040以下 | 0.040以下 | 0.02以下 |
頭付スタッドの規格を下表に示します。
| 呼び名 | 呼び長さ(L) | スタッド協会の表示例 |
| 10 | 50 80 100 | STUD 13φ×100 STUD 16φ×120 |
| 13 | 80 100 120 | |
| 16 | ||
| 19 | 80 100 130 150 | STUD 19φ×130 STUD 25φ×170 |
| 22 | ||
| 25 | 130 150 170 |
鉄骨とRCは別の材料です。鉄骨梁の上にRC床を載せただけでは、RC床が動いてしまいそうです。一方、スタッドを鉄骨梁に打ち付けます。その上にRC床を載せます。
するとRC床と鉄骨梁間は、スタッドによって『繋がり』が生まれます。この『繋がり』という言葉は文学的な表現です。なんとなく意味は伝わります。では、構造的に意味はあるのでしょうか?
スタッドを打つことで鉄骨梁とRC床は合成されます。今回は、合成梁の効果と種類について説明します。
スタッドによって、鉄骨梁はRCスラブと一体と考えます(フラットデッキ使用の場合は、微妙に違います)。
つまり、RCスラブの剛性が鉄骨梁に考慮できます。
フラットデッキのように仮設用のデッキを用いた場合でも、剛度増大率は、片側スラブの場合で1.5倍、両側スラブで2.0倍見込むことができます。
さらに合成梁として設計したとき、大幅に剛性アップを考えることが可能です。合成梁は、RCスラブと鉄骨梁が一体です。つまり、鉄骨梁の梁せいDがRCスラブを含めた梁せいDと考えることができます。
最低でもRCスラブは150mmあるので、断面性能は大きくアップするでしょう。
ややこしいのは、完全合成梁と不完全剛性梁という考え方です。完全合成梁とは、『合成梁断面が全塑性モーメントを発揮するのに必要な本数以上の頭付きスタッドを持つ合成梁』、と定義されます。
難解な意味です。
が、説明しましょう。
地震時には柱にせん断力と曲げ応力が生じています。
これは大梁にも伝達されます。
水平力が大きくなるほど、せん断力と曲げモーメントは大きくなります。
そして、梁の全塑性モーメントまでせん断力は作用するでしょう(全塑性モーメントに達するとヒンジが発生して、部材に応力は入らず変形が進むだけです)。
以上のように水平力が作用したとき、梁の全塑性モーメントよりも早くスタッドが壊れたら?梁本来のエネルギー吸収はできませんね?ですから、『全塑性モーメントを発揮するのに必要な本数以上のスタッドが必要』なのです。
そもそも合成梁は『完全合成梁』として設計されるのが原則です。しかし、地震時の応力状態以外に対しては『不完全合成梁』の使用を認めています。理由は完全合成梁に書いた通りです。
不完全合成梁とは、『完全合成梁に必要なスタッド本数に満たないが、必要本数の半分以上を有している梁』です。
つまり、小梁に使用できます。地震時で断面が決定される梁には用いることが不可能です。注意しましょう。
スタッドは地震時のせん断力を伝達します。簡単な計算法を紹介しましょう。地震時、柱に作用するせん断力をQとします。ラーメン構造なら、1フレームに対して2本あるのでせん断力=2×Q=2Qです。
この2Qはスラブとスタッドを介して梁へ軸力として伝達されています。そして、柱2本に分担され1本当たりQとなります。
一方、1本当たりのスタッドの耐力をqaとするなら必要本数nは、
n=2Q/qa
で算定できますね。
混同しやすい用語
スタッド溶接
スタッド溶接とは、頭付スタッドを鉄骨梁フランジに溶接するための工法のことで、アーク溶接の一種である。
頭付スタッドがRCスラブと鉄骨梁を一体化させる「部材」であるのに対して、スタッド溶接はその部材を取り付けるための「工法」であり、部材名と施工方法の違いを区別することが重要である。
いかがでしたか?スタッドはRC床と鉄骨梁を繋ぐ部材であること。鉄骨梁の剛性をアップさせる部材であることが分かりました。
完全合成梁と不完全合成梁についても紹介しました。これらの違いは理解し、使いどころを明確にしましょう。スタッド溶接、スタッド溶接の検査方法など、下記も併せて参考にしてください。
スタッド溶接とは|強度・施工方法と合成スラブへの適用をわかりやすく解説
スタッド溶接の検査方法|外観検査と打撃曲げ試験(15°・30°)
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では、頭付スタッドがRCスラブと鉄骨梁を合成させる目的で使われること、JIS B 1198に規定される点が問われます。
スタッド溶接との関係もあわせて確認しましょう。