この記事の要点
屋上に機器を置いたり、緑化工事をしたりするとき、床の耐荷重を事前に確認しないと構造が危険になる。歩行用と非歩行用では積載荷重の設計値が大きく異なる。
屋上の積載荷重の値と、屋上緑化設置前の確認ポイントを整理する。
屋上の耐荷重は歩行用、非歩行用で値が大きく変わる点に注意しましょう。
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屋上の耐荷重は下表の通りです。下表は国土交通省大臣官房官庁営繕部整備課の建築構造設計基準の資料に明記されている屋上の積載荷重に倣い、N/m2の値をkgf/m2の値に単位換算したものです。
【表 屋上の耐荷重】
同資料で屋上は「歩行用(常に人が歩く)」、「非歩行用(通常は人が使用しない)」に分けられます。
当然、歩行用の屋上の方が大きい積載荷重が考慮されており、つまり屋上の耐荷重(耐えられる荷重)も大きくなります。
逆に非歩行用の屋上の場合、耐荷重は100kgf/m2となり一般的な住宅の耐荷重よりも小さくなります。
よって、屋上の耐荷重を確認したい場合、まずは建物の屋上が「そもそも人が歩くことを想定しているか」、図面や計算書などで確認が必要です。
また、歩行用の屋上の耐荷重は
・百貨店、学校の類 ⇒ 約290kgf/m2
・(百貨店、学校の類)を除く ⇒ 約180kgf/m2
のように多数の人が利用するか、住宅の居室のように特定の人が利用するだけかで、値が大きく変わります。
さて、屋上の耐荷重を確認したい方は、屋上の緑化や庭園を設置することを検討しているかもしれません。これは建物を設計した構造設計者の立場を代弁すれば、「荷重の大きさに関係なくNG(できない)」というでしょう。
なぜかというと、屋上緑化や庭園の重さは、床の耐荷重を判断する積載荷重ではなく「固定荷重」だからです。屋上緑化や庭園を設置すれば建物が存在する限り作用し続けます。このような荷重を固定荷重といいます。
積載荷重とは人や物品、家具のように荷重の大きさ、作用する位置が動くような荷重です。
よって、物品や家具を屋上に設置したい場合、単位面積当たりの荷重を確認して積載荷重(耐荷重)より小さければ設置しても問題ないでしょう。
なぜなら、人や物品の重さを想定する積載荷重の範囲内であれば、建物を構造設計したときの荷重を超えないからです。
一方、屋上緑化や庭園のような固定荷重の増加は、当初の構造設計で見込んでいない荷重であり、建物に作用する荷重が増えることになるため、建物の構造性能を低下させるためけっして容認できません。
つまり、屋上緑化や庭園の重さは固定荷重、耐荷重は積載荷重による値なので、そもそも両者の値の大小を比較してはいけません。
たとえるなら、筋肉の量(耐荷重)は同じなのに体重(固定荷重)が増えてしまって、腕立て伏せの回数(構造性能)が低下するような状態です。
混同しやすい用語
積載荷重と固定荷重
積載荷重は人や家具など移動する物の荷重、固定荷重はスラブや仕上材など建物に固定された荷重です。
屋上緑化の重量は固定荷重であり、積載荷重(耐荷重)と比較してはいけません。
屋上(歩行屋根)と非歩行屋根の耐荷重
歩行用屋上は人が常時利用するため耐荷重が大きく(約180kgf/m2)、非歩行屋根は人の歩行を想定しないため小さくなります(約98kgf/m2)。
今回は、屋上の耐荷重について説明しました。屋上の耐荷重は下図の通りです。歩行用、非歩行用で値が大きく変わる点に注意しましょう。
【表 屋根の積載荷重の一覧(単位:kgf/m2)】
| 室名等 | 床版又は小梁計算用 | 大梁、柱又は基礎計算用 | 地震力計算用 | 備考 | |
| 屋上 | 常時人が使用する場合(学校、百貨店の類を除く) | 180 | 130 | 60 | 「令」第85条の屋上広場を準用。 |
| 常時人が使用する場合(学校、百貨店の類) | 290 | 240 | 130 | ||
| 通常人が使用しない場合 | 98 | 60 | 40 | ||
| 鉄骨造体育館、武道場等 | 98 | 0 | 0 | 短期荷重とする(作業荷重を考慮)。積雪荷重及び風荷重との組合せは行わない。 | |
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試験での問われ方|管理人の一言
試験では屋上の耐荷重(設計積載荷重)と実際の使用荷重の関係が問われます。屋上緑化や太陽光パネル設置時には固定荷重として検討が必要で、設計時の積載荷重との区別が重要です。
屋上緑化は土・植栽の重量が大きく(200〜400kg/m²以上)、既存建物に後付けする際は構造検討が必要です。新築設計と改修設計それぞれでの対応の違いを理解しておくと実務的な問題にも対応できます。