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長期許容曲げ応力度とは?計算式は?

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長期許容曲げ応力度(ちょうききょようまげおうりょくど)とは、長期荷重による曲げ応力度にどの程度、部材が耐えられるか示す値です。部材に曲げ応力度が生じるとき、部材断面は圧縮応力度と引張応力度が同時に作用しています。このとき圧縮応力度による座屈を考慮すると、許容曲げ応力度は材料の持つ強度より小さくなることがあります。


よって、長期許容曲げ応力度は、単に材料のもつ強度(F値)を元に求めるだけでなく、別途、許容曲げ応力度を計算する必要があります。


さて、許容曲げ応力度の計算式は下記の2式の大きい値を採用できます。また後述するように長期許容曲げ応力度は2式で得た値を1.5で割り算して求めます。

Fb1、Fb2は許容曲げ応力度、lbは部材の座屈長さ、iは断面二次半径、Cは許容曲げ応力度の補正係数、Λ=√(π^2E/0.6F)です。Hは梁せい、Afはフランジの断面積です(Af=tw×B)。


上式で得た長期許容曲げ応力度が、F/1.5(Fは材料の基準強度、長期許容引張応力度)より大きければ、長期許容曲げ応力度はF/1.5の値を採用します。つまり、長期許容曲げ応力度がF/1.5より大きいということは、曲げ応力度による座屈の影響が無いことを意味しており、一方で、長期許容曲げ応力度は材料の強度を超えて大きくならないので、「長期許容曲げ応力度=長期許容引張応力度」となるのです。


なお、許容曲げ応力度の記号はfb、長期許容曲げ応力度の記号はfbLなどで表します(※bは曲げ応力度、Lは長期を意味する)。

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記事を書いた人

ハナダユキヒロ/建築学生が学ぶ「構造力学」

難解な構造力学、建築構造の用語を分かりやすく解説する専門家。高等専門学校在学中から建築学生が学ぶ「構造力学」を運営。その後、国立大学大学院⇒組織設計事務所⇒弊サイト運営に従事している。

著書:「わかる構造力学/工学社」、「わかる構造力学 改訂版/工学社」

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ここで許容応力度設計について解説します。許容応力度設計法では、建物が存在する限り常に作用する長期荷重に対しては使用上支障のないよう設計し、稀に作用する短期荷重については建物が損傷しないよう設計します。


稀に起きる地震力などの短期荷重に対して建物が損傷しないためには、各部材に生じる応力度が弾性範囲におさまるよう設計します。つまり、部材が塑性しないよう、部材に生じる応力度が「塑性し始めるときの応力度より小さく(短期許容応力度より小さく)」するのです。部材に生じる応力度が弾性範囲におさまれば、たとえば、建物が地震で変形しても、地震がおさまれば建物の変形も無くなって元の状態に戻ります。


長期荷重に対しては、使用上の支障がないよう設計します。使用上の支障とは、たとえば、床が振動して気分が悪いとか、床の変形が大きくて歩きにくい等、普段の使用性に関わる問題です。前述の問題が起きないよう、長期荷重による応力度に対しては「構造的に十分な余裕が確保できるよう、短期許容応力度を1/2や1/1.5程度割り引いた値」を長期許容応力度として設計します。


では実際に長期許容曲げ応力度を計算しましょう。前述した2式のうち手計算でも算定できるfb2式を用います。Fb2式は部材長さと断面形状のみで算定できます。Lb=4m、部材断面をH-200x100x5.5x8とすると


・fb2=89000/(Lbh/Af)=89000/(4000×200/100×8)=89N/mm2


です。よって、長期許容曲げ応力度≒59N/mm2です。上記の通り、長期許容曲げ応力度を大きくしたければ、部材の座屈長さLbを小さくするか、断面のAf(フランジ板の面積)を大きくする必要があります。

まとめ

今回は、長期許容曲げ応力度について説明しました。長期許容曲げ応力度とは、長期荷重による曲げ応力度にどの程度、部材が耐えられるか示す値です。部材に曲げ応力度が生じるとき、部材断面は圧縮応力度と引張応力度が同時に作用しています。このとき圧縮応力度による座屈を考慮すると、許容曲げ応力度は材料の持つ強度より小さくなることがあります。許容曲げ応力度、許容応力度の意味など下記も勉強しましょう。

許容曲げ応力度とは?1分でわかる意味、fbの計算式、ss400の値

許容応力度計算が簡単にわかる、たった3つのポイント

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