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布基礎と独立基礎、ベタ基礎の違いと、本当に伝えたい各基礎の特徴

布基礎と独立基礎、ベタ基礎は、後述する構造方法の違いによりコストや施工性が異なります。WEBでは、布基礎とベタ基礎の性能を比較する記事をみかけます。中には「ベタ基礎が強い、独立基礎は弱い」と言い切る記事も散見されます。


それはイメージであって、正しい情報ではありません。今回は私が本当に伝えたい、布基礎と独立基礎、ベタ基礎の違い、各基礎の特徴について説明します(各基礎の略断面図付きで説明します)。


なお、前述した基礎を「直接基礎」といいます。直接基礎の概要、地耐力などについては下記の記事が参考になります。

直接基礎と杭基礎

地耐力の算定

そもそも基礎ってなに?

前述したように、基礎は建物の重さを支える部材です。下図をみてください。基礎とは、大体こんなイメージです。

基礎があるおかげで、私達は安心して生活を営むことができます。もし基礎が沈下したり、地震時に傾くと、いくら上の建物が健全でも意味がありません。


直接基礎と杭基礎の違いは、言わば建物の支え方の違いです。さらに、直接基礎の中でも建物の支え方が異なり、それらが独立基礎、ベタ基礎、布基礎という違いに表れています。それでは、各基礎の違いについて説明しましょう。


独立基礎の特徴

独立基礎とは、柱の下にのみ独立してある基礎のことです。下図を見てください。例えば、住宅の柱があります。その下に基礎を設けます。柱の下にのみ基礎がありますね。基礎だけ独立しています。これを「独立基礎」といいます。

住宅ではあまり用いられない基礎形式ですが、実は非住宅建築物はほとんどが独立基礎形式です。ネットの情報では、「独立基礎は採用されない基礎である」などと、誤った情報も散見されますので、注意しましょう。


実際はそんなことありません。再度言いますが、非住宅の建物では「ほとんどが独立基礎」を採用しています。また、独立基礎形式の場合は、上図のように独立基礎同士を「地中梁」と呼ばれる鉄筋コンクリートの梁でつなぎます。


これは基礎の転倒防止の目的もありますし、1階の床を支える重要な構造部材でもあります。場合によっては、布基礎やベタ基礎よりも強く信頼性のある基礎です。


独立基礎の特徴は、1つは経済性です。後述する布基礎や、ベタ基礎は建物全て又は柱間全てを基礎とするような、連続的な基礎です。一方、独立基礎は柱の下にのみ基礎を設けるので、コストは圧倒的に安くなります。


住宅のように規模が小さな建物の場合、ベタ基礎や布基礎を用いてもコストにさほど影響しません。しかし、非住宅(例えば大規模なショッピングモールや事務所ビル、マンションなど)の建物は、規模が大きくベタ基礎や布基礎を用いることは、構造的にも不合理ですし経済的にもデメリットが多いのです。


よって、独立基礎を採用することがほとんどです。一見、独立基礎は転倒しやすそうに見えますが、前述したように地中梁をつなぐことで、それを防いでいます。


なお、独立基礎の設計概要については下記の記事が参考になります。

独立基礎の設計概要

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ベタ基礎の特徴

ベタ基礎は、住宅に採用されることが多い基礎です。また鉄骨造などでも用いることがあります。下図をみてください。ベタ基礎とは、独立基礎とは真逆の考え方です。柱の下どころか、柱のない部分まで基礎があります。

ベタ基礎の特徴は2つあります。1つは、基礎が沈下しにくいこと。ベタ基礎は、床自体が基礎です。例えば家の面積が30坪(約100u)であるなら、100u分全てが基礎なのです。ベタ基礎の住宅なら、あなたの書斎も、寝室も、リビングも、建物を支えている基礎があります。独立基礎と比べると、建物を支える範囲が多い分、沈下に対して有利です。


もう1つの特徴は、腐食や害虫被害に強いことです。木造住宅で被害が多い、「シロアリの被害」は、床下の土中部分から木造の土台などに這い上がり、被害にあいます。よって前述した独立基礎や、後述する布基礎は注意が必要です(但し1階の床をRCにするならベタ基礎と同等となる)。


下図は、前述した模式図を詳しく描いたものです。ベタ基礎は、全ての範囲で、地面が鉄筋コンクリートの基礎で覆われています。

ベタ基礎は一般的に、厚さ200以上の鉄筋コンクリート版です(外周部は、一般部より厚くすることで、不同沈下に対処します)。これにより、地面からの水分や害虫を遮断します。よって、木造の床も腐食しにくいというわけです。


以上のようにベタ基礎は、床下全てを基礎にします。30坪の住宅であれば30坪分基礎を造ります。当然、その分の費用は高くなります。但し、施工自体は簡単です。前述したように、形状がとても単純だからです。


さて、ネットでは「ベタ基礎と布基礎のどちらが強い?」などといった比較記事が出回っています。実は、その比較自体意味のないことです。なぜなら、布基礎とベタ基礎で、力の伝達機構が全く異なるからです。


ベタ基礎の構造計算は接地圧(地面からの圧力)に対して「平板(床)」として配筋量や厚みを決定します。後述する布基礎は、接地圧をまずフーチングと呼ばれる底版で処理します。さらに、一体となる地中梁(鉄筋コンクリート壁)のような、「梁」で応力を処理します。


例えて言えば、「飛行機と新幹線のどちらが優れている?」と議論しているようなものです。それぞれに構造的なメリット・デメリットがあるわけです。ベタ基礎の計算方法については下記の記事が参考になります。

ベタ基礎の耐震性と構造的な特徴

 

布基礎の特徴

最後に布基礎について説明します。布基礎は、独立基礎とベタ基礎の中間的な基礎構造だと考えてください。下図を見てください。布基礎は、柱下はもちろんですが、柱間を縫うように連続する基礎です。

但し、柱下や柱間以外には基礎はありません。よって、独立基礎よりも基礎のボリュームは大きいですが、ベタ基礎より少ないです。


布基礎の計算方法について知りたい方は、下記の記事が参考になります。

布基礎の接地圧と配筋の決め方


布基礎は一般的に、下図の形状をしています。底版(フーチング)と壁(あるいは地中梁)が一体化した形状です。これをまとめて布基礎といいます。

底版を広くすることで不同沈下を防止できます。壁部分は、常時や地震時に発生する力を負担する部材です。


どうですか?ベタ基礎と全く形状が違いますよね。それなのに、布基礎とベタ基礎の耐震性を一概に比較するなんて不毛なことです。


住宅に関していえば、布基礎の特徴は経済性です。ある程度安定した基礎構造で、かつベタ基礎よりは安くなります。理由は言うまでもないですが、鉄筋コンクリートのボリュームが少なくなるからです。


各基礎の違いについて

いかがでしたでしょうか。直接基礎の3種類を説明しました。ここで各基礎の違いを整理します。下記にまとめました。

耐震性や、構造的な強度に関しては、一長一短ありますが適切に設計されのであれば、3種類の基礎で差はありません。


「独立基礎は不安」とか「ベタ基礎だから安心」と考えてしまう方がよっぽど危険だと、注意すると良いでしょう。


まとめ

今回は、布基礎、独立基礎、ベタ基礎について説明しました。それぞれの特色の一端が分かっていただけたと思います。


皆さんに知っていただきたいことは、構造的な見地から言えば「基礎の種類で耐震性や強度に優劣はない」ということです。これは、建築を構成する全ての部材に言えます。問題は適切に設計されているか、ということで、ネットの記事に散見されるようなステレオタイプの比較論は意味がないと知っていただければと思います。


以上、今回の記事が参考になれば幸いです。

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