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ハンチってなに?現役設計者が教えるハンチの目的と種類

建築用語に「ハンチ」という言葉があります。「テーパー」と言うこともありますが、ハンチの方が一般的です。では、ハンチの意味をご存じでしょうか。


ハンチは何のために必要で、どんな納まりになるのでしょう。今回は、ハンチについて説明します。


ハンチってなに?

ハンチとは、下図のように部材端部の断面を一般部に比べて大きくした部分を言います。

上図をみて分かるように、見た目が良いものではありません。よって街中を歩いていて、ハンチを見つけることは難しいでしょう。ほとんどの場合、仕上げに隠されるからです。


さて、実は単にハンチといっても種類があります。


鉛直ハンチ

先ほど例に示したハンチのことを、鉛直ハンチと言います。鉛直方向にあるハンチだから鉛直ハンチです。覚えやすいですね。念のため、下図に示します。これは柱と梁を横から見た図です。

また、ハンチは何も下側に設けるとは限りません。上側にハンチを設けることもあります。


水平ハンチ

水平ハンチとは、下図のようなハンチです。これは柱と梁を上から見た図です。

一般部の梁幅に比べて、柱端部の梁幅を大きくします。この大きくした部分を水平ハンチと言います。また、水平ハンチは下図のように柱幅一杯まで広げることもあります。

水平ハンチは、鉛直ハンチよりも一般的ではないかもしれません。というのも、床上は仕上げで隠されることや、スラブと一体になり判別がつかないためです。

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ハンチの目的

では、なぜハンチを設けるのでしょうか。ほとんどの設計者はハンチを設けたくない、と考えるでしょう。見た目はカッコ悪いし、構造的な納まりも複雑になります。それでもハンチを設ける理由は、大きく分けて2つです。


1つは納まりの問題、2つめは構造体の強度の問題です。鉄骨造と鉄筋コンクリート造に分けて、それぞれ説明しましょう。


鉄骨造

鉄骨造の場合、強度上の問題でハンチを設けることは少ないです。それよりも、納まり上の問題でハンチを設けます。また、鉄骨造では水平ハンチを設けることは少ないでしょう。水平ハンチは、後述する鉄筋コンクリート造の場合に多くみられます。


ダイアフラムが納まらない

鉄骨造で鉛直ハンチを設ける理由が、「ダイアフラムが納まらない」です。ダイアフラムに関しては、下記の記事が参考になります。この記事に、ダイアフラムが納まらないときの対処法も明記しているので合わせて参考にしてください。

ダイアフラムはなぜ必要か?覚えるべきたったの3つの種類と特徴


ここでは簡単に説明します。鉄骨梁と鉄骨柱を一体に接合するとき、ダイアフラムという厚板を柱に取り付けて、梁を溶接します。梁せいが全て同じなら、同じ位置にダイアフラムが出てきます。しかし、梁せいがバラバラだとダイアフラムの位置もバラバラです。


例えば、梁せい500mmの部材Aと梁せい300mmの部材Bがあります。2つの部材を1つの柱に取り付けるとき、ダイアフラムはどうなるのでしょうか。下図のようにダイアフラムが3つ取り付きます。このとき、破線のダイアフラムを内ダイアフラムと言います。

さて問題は、この内ダイアフラムが取り付けづらい、ということです。一般的に梁段差が150mm以上無ければ、柱の内側にダイアフラムを取り付けることは難しいと言われています。


そこで、大きな梁せいに合わせて鉛直ハンチを設けます。ハンチ部は大きな梁せいに合わせるので、一般部の梁せいが違っていても問題ありません。


しかし、ハンチは積極的に設けるものではありません。ダイアフラムの納まり上、必要だとしても部材断面を調整して、ハンチを設けない方法を探すことが基本です。


鉄筋コンクリート造

私の経験上、鉄筋コンクリート造は、鉄骨造よりもハンチを設ける機会が多いです。その理由は、納まり上の問題もありますが、強度上必要な理由も大いにありました。


接合部の強度が弱いため

鉄筋コンクリート造で、ハンチを設ける理由の1つが接合部の強度です。構造設計の専門的な内容になるので省略しますが、接合部の強度は梁幅や梁せいに依存します。一方で、必要な接合部の強度は、梁や柱の鉄筋量に関係するのです。


つまり、梁主筋が多くなると普通の梁幅では接合部の強度が足らなくなります。そこでハンチを設けます。接合部の強度は、前述したように梁幅を大きくしても向上します。鉛直ハンチは、天井に影響する可能性もありますし、見た目もよくありません。そこで意匠的に影響の少ない水平ハンチを設けて、接合部の強度を高めます。


納まり上の問題

鉄筋コンクリート造は、意匠的に都合の悪い箇所があると、躯体を増し打ちして対応することがあります。当然、今回説明しているハンチを設けて納めることもあります。鉄骨造より、形状に自由度が大きい分、ハンチを付けて納まりの問題を解消するのです。


ハンチの納まり

最後に鉄骨造、鉄筋コンクリート造のハンチの納まりに関する注意点を説明します。


鉄筋コンクリート造

鉄筋コンクリート造のハンチですが、納まりはそんなに難しく考える必要はありません。但し、2点程ルールがあります。



です。これは配筋すべてに共通します。鉄筋は長さに対して相対的に細いので、ちょっとした力で曲がります。配筋するときも、急に曲げないことに注意します。具体的には、ハンチの長さとハンチ幅(ハンチせい)の比率を急勾配にしないこと。


少なくとも勾配は1/4以下となるように設定しましょう。例えばハンチの幅が1000mmで、一般部の梁幅が600の場合、ハンチの長さは

としましょう。


2つめのルールは、鉄筋を曲げた位置にはあばら筋を2重巻にします。これは、ハンチを設けた梁の鉄筋は、曲がっているため引張力が作用すると、あばら筋を広げるような働きをします。

これを防ぐために、鉄筋を曲げた位置には2重巻とします。以上のルールは、鉛直ハンチと水平ハンチに共通する事項です。


鉄骨造

鉄骨造のハンチも、2点程注意して頂きたいことがあります。1つは、ハンチを設けたフランジがダイアフラム内に納まるか、ということ。2つめは、ハンチを設けたフランジには、リブプレートを設けます。


鉄筋と同じ考え方ですが、ハンチは勾配が付いている板なので、引張力又は圧縮力が作用するとフランジにベクトルによる方向力が発生します。これを処理するために、リブプレートを設けます。


まとめ

今回は、ハンチについて説明しました。この記事では、以下の点を覚えてください。

ハンチに関する細かい検討については、別の機械に説明しましょう。

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