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構造計算適合性判定とは|姉歯事件を機に導入された審査制度の役割

この記事の要点

構造計算適合性判定(適判)とは、一定規模以上の建築物の構造計算が基準に適合しているかを、建築確認機関とは別の第三者機関が審査する制度です。

2005年の姉歯事件(耐震偽装問題)を契機に、2007年の建築基準法改正で導入されました。

対象建物は一般に高さ20mを超えるRC造・60mを超える高層建物などで、設計事務所にとっては確認申請とは別に適判を通す時間と手間が発生します。

審査期間の見込みを計画段階で考慮しておかないとスケジュールに影響するため、計画の早い段階で適判対象かどうかを確認することが重要です。

適判によって構造設計の確認申請は二重チェックとなり、柱・梁・壁などの耐震性に関わる部材の不自然な設定が見逃されにくくなった。

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僕が構造設計の実務に携わったころ、構造計算適合性判定(略して適判)は当たり前に存在していました。


初めての適判物件はとても緊張しましたね。自分の計算書を、長年構造設計に携わっている諸先輩型に見てもらうわけですから。


しかし、実は適判の歴史は非常に浅く、できて間もないシステムです。そのため、一般的に認知されることはまずありえないでしょう。今回は、構造計算適合性判定の歴史と役割について説明します。

構造計算適合性判定の歴史

適判は新しい審査システムです。この歴史は丁度10年前、姉歯元建築士による耐震偽装事件が発覚したことを受けてスタートします。


既往の建築確認申請は、民間の確認審査機関に計算書及び図面のチェックを依頼していました。


このチェックは計算書の中身というよりも、図面と計算書の整合性が取れているか?と言う点を主軸にしています。


審査機関の確認者はある程度、構造設計の実務を積んだ人物です。が、『構造計算の細かい内容』や『部材断面の不自然さ』までは把握することが出来ていませんでした。


耐震偽装事件は2006に発覚します。その後の2007年、これまで行ってきた確認申請に加えて技術力のある専門家によるチェックを行うようになりました。


これが、構造計算適合性判定です。

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構造計算適合性判定の役割

適合性判定審査機関による適判の役割をみると度々『異常・不自然な箇所がないこと』と書かれています。


つまり、柱や梁の大きさ壁の厚さ、配筋など耐震性に関わる部材に不自然なことが無いか?ということが役割です。


この適判によって構造設計の確認申請は二重チェックになったのです。

構造計算適合性判定が必要な建築物

全ての建築物に適判のチェックが必要、と言うわけではありません。適判が必要な建築物は、下記のように法律で決められています。



となっています。


色々ありすぎて分からないと思います。今回、書ききれなかった項目もありますし。ただ、ポイントを1つ覚えておきましょう。


平成24年の国土交通省の報告によれば、構造計算ルート別の確認件数で、6173件のうちルート3の件数が5650(9割)です。


つまり、ほとんどの建物は適判のチェックが必要になると覚えてください。

構造計算適合性判定機関とは?

ここからは管理人の主観です。上記で説明した適判をチェックするために当然、審査機関が必要です。これが適合性判定機関です。


日本中に審査機関はあって現在は愛知県に4件程度、東京都も6件程度あります。


適判の審査機関も民間企業ですから、複数機関があるほうが申請料も安く審査スピードも速くなります。

混同しやすい用語

建築確認申請(法6条)

確認申請は建築物の建設前に行う審査で、図面と計算書の整合性・法令適合性の確認を主眼とするものであり、全ての建築物が対象となる。

適合性判定は確認申請とは別に専門家が構造計算書の内容の異常・不自然な箇所を審査するものであり、審査の深さが確認申請よりも高い点が異なる。

構造計算適合性判定(適判)

適合性判定は、技術力のある専門家が構造計算の細かい内容や部材断面の不自然さを審査する制度で、確認申請に追加して行われる。

確認申請は図面と計算書の整合性チェックが中心であり、構造計算の詳細な内容まで審査する適合性判定とは目的・深度が異なる。

試験での問われ方|管理人の一言

建築士試験では「適合性判定制度が始まった背景(耐震偽装事件・2007年)」や「適判は確認申請に加えて行う二重チェックである」という制度の概要が問われることが多い。

適判の役割は「構造計算書の異常・不自然な箇所がないことの確認」という表現を丸ごと覚えておくと、正誤判断に役立つ。

構造計算適合性判定を整理した表を示します。

項目内容備考
制度開始2007年(平成19年)姉歯事件(2006年発覚)を受けて導入
目的構造計算書の異常・不自然な箇所がないことの確認確認申請に加える二重チェック
対象建築物(例)RC造:高さ20m超、鉄骨造:地上4階以上など建築基準法施行令に規定

まとめ

今回は適合性判定の歴史と役割について説明しました。適合性判定は、耐震偽装事件を受けて2007からスタートしたこと。


図面や計算書に『異常・不自然な箇所がないこと』を主眼にチェックしていること。この2点を覚えていってくださいね。

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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