この記事の要点
建築士法の改正で、一定規模以上の建物には構造設計一級建築士の関与が義務化されました。
「構造設計ができる一級建築士と何が違うのか」という疑問を持つ方は多いです。
この記事では、構造設計一級建築士の資格の成立背景・取得条件と業務範囲を解説します。
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構造設計一級建築士という存在が世間的にも有名になったのが2000年に起きた、いわゆる姉歯事件です。これは、あるマンションの設計で構造設計者である姉歯氏が、構造計算書を偽装し、意図的に鉄筋を減らしていたとされる事件です。
つまり構造計算を行って必要だった構造性能が、実際の建物で作られておらず、しかもそれが業務の過失ではなく、これでは耐震上壊れるとわかっておきながら利益のために鉄筋を減らしていたということです。
そして事件発覚後、建築基準法は大幅に改定され、皮肉にも構造設計者の存在がスポットライトに浴び始めました。そこで明らかにされたのは、事件内容だけでなく構造設計者の立場の低さ(意匠設計の下請けのような扱いがされていた)が問題になり、これらの改善のために「構造設計一級建築士」という新たな資格が法律で定められたのです。
また、同時に出来上がった構造計算書を照査する仕組みが新たに設けられたのです。
それが「適合性判定」と呼ばれる、専門家達によりチェックです。
これにより、今まで確認申請で民間企業や市役所が簡易に構造計算書をチェックしていたのが、教授と同等の知識を有する構造のプロ達に確認されることにより格段にチェック体制は高まりました。
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さて、当サイトの構造計算ルートで説明していますが、建物には3つの計算方法が存在します。
それぞれ、「ルート1」、「ルート2」、「ルート3」と呼ばれています。
ルート1が最も簡易な計算方法で、ルート3が最も詳細な計算方法です。
この、計算ルートは、ざっくりと言えば建物の規模が大きければルート3となり、小さい平屋建ての建物であればルート1という簡易な計算方法で良いことになります。
新たな法律では、ルート2以上の建物については必ず構造一級建築士が構造設計を行っていることが条件となりました。
これで必然的に構造一級建築士の職能が高まったと言えます。
しかし、構造一級建築士を取得しようと思った場合、一級建築士を取得してから5年の実務経験を要するため、中々構造技術者を目指しても、ライフプランが描けないという弊害も生まれています。
(個人的な感想)
建築業界はどこも人手不足だという話を聞きます。
設計の世界では特に、構造設計者は少なく、志す学生も減っているそうです。
それとは逆に構造設計という特殊な職能は今後ますます必要とされていくのではないでしょうか。
もしかすると、日本だけでなく海外で、耐震国家として培った技能が活かす日がくるかもしれませんね。
混同しやすい用語
構造設計一級建築士
一級建築士に加えて5年以上の実務経験と修了考査合格が必要な上位資格。
一級建築士
規模制限なく設計・工事監理ができる国家資格。
構造設計一級建築士の取得前提資格。
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