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圧縮鉄筋とは?1分でわかる計算と役割、引張鉄筋、クリープとの関係

圧縮鉄筋は、圧縮応力を負担する鉄筋です。圧縮鉄筋を入れることで、コンクリートのクリープに対応できること、釣り合い鉄筋比を高めることが可能です。今回は、そんな圧縮鉄筋の役割や計算、引張鉄筋やクリープとの関係について説明します。

圧縮鉄筋とは?

圧縮鉄筋は、圧縮応力を負担する鉄筋です。下図をみてください。これは、弾性状態における鉄筋コンクリート梁(以降、RC梁)の応力度図です。

鉄筋コンクリート梁の応力度図

コンクリートは引張力を負担できないと仮定するので、鉄筋だけが効きます。引張力を負担する鉄筋を引張鉄筋といいます。


一方圧縮応力は、コンクリート及び鉄筋により負担します。圧縮応力を負担する鉄筋を圧縮鉄筋といいます。

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圧縮鉄筋の計算と役割

では圧縮鉄筋の役割は何でしょうか。下記の2つです。

・コンクリートのクリープ対策となる

・釣り合い鉄筋比を高める


圧縮鉄筋を入れることで、コンクリートのクリープ対策となります。


RC梁に曲げモーメントが作用すると、上図で示した応力状態となります。これが弾性状態です。しかしコンクリートはクリープが起きやすい材料で、クリープによりひび割れが生じます。※コンクリートのクリープについては、下記の記事が参考になります。

コンクリートのクリープってなに?その原因と、変形増大係数の関係

コンクリートにひび割れが起きると、鉄筋とコンクリートの間で付着力が減り、鉄筋が引張力を伝達できなくなります。下図は、ひび割れが起きた状態の応力図です(あくまで模式的に描いています)。

ひび割れ 応力度図

引張側のコンクリートにひび割れが起きると、応力は圧縮側に集中します(引張で負担できないから、圧縮側に移る)。


この状態で一時は釣り合うのですが、コンクリートはクリープが起きやすい材料です。圧縮側へ応力が集まると、次第にクリープが起きます。


クリープとは変形が増大する現象で、コンクリートは圧縮力を負担できなくなります。変形が増大する過程で、コンクリートの力が抜けるという感じでしょうか。


さらに、これまでコンクリートが負担していた圧縮力は、圧縮鉄筋へと移行します。当然ですが、圧縮鉄筋が無いとクリープによる応力の移行に対応できません。


以上より、圧縮鉄筋はクリープ対策に必要不可欠です。公共建築物の場合、圧縮鉄筋を「所定の本数入れなさい」という規定もあります。

クリープと応力の移行


圧縮鉄筋比と引張鉄筋比の比率を「複筋比」といいます。複筋比は下式で計算します。

γは複筋比、acは圧縮鉄筋比、atは引張鉄筋比です。γは、釣り合い鉄筋比と関係しています。γを大きくするほど、釣り合い鉄筋比も大きくなります。


釣り合い鉄筋比を大きくすれば、引張鉄筋の効果が高まるので部材の耐力を高める上で効果的です。


引張鉄筋比が釣り合い鉄筋比を超えると、いくら引張鉄筋を入れても部材の耐力は大きくなりません。これは「引張側の耐力が大きいため、圧縮側の耐力で決まる」関係です。※釣り合い鉄筋比、引張鉄筋比については下記の記事が参考になります。

り合い鉄筋比ってなに?3分でわかる意味と、梁の断面算定の方法

引張鉄筋比とは?3分でわかる梁と柱の引張鉄筋比の計算方法

圧縮鉄筋と引張鉄筋の関係

前述した釣り合い鉄筋比の関係で、圧縮鉄筋と引張鉄筋の本数は極端に変えないようにします。例えば引張鉄筋を6本にするなら、圧縮鉄筋はその半分以上(4本など)にします。


特に片持ち梁は、計算上は上端にのみ引張鉄筋が必要です。かといって圧縮鉄筋を少なくすると、クリープ対策上好ましくありません。圧縮鉄筋を計算外で入れること、ひび割れ対策として、設計用曲げモーメントがひび割れモーメント以下にします。

圧縮鉄筋とクリープの関係

以上、圧縮鉄筋はクリープが起きた時、コンクリート分の応力を負担すると説明しました。クリープにより、引張鉄筋、圧縮鉄筋、コンクリートの応力状態は変わります。下記に整理しました(RC構造計算規準・同解説2010より)。


・コンクリートの圧縮縁応力 クリープにより大幅減少

・圧縮鉄筋応力 クリープにより大幅増加

・引張鉄筋応力 クリープにより僅かに増加

圧縮鉄筋比の計算

圧縮鉄筋比は下式で計算します。

pcは圧縮鉄筋比、acは圧縮鉄筋量、bは梁幅(柱幅)、dは梁の有効せい(柱の有効せい)です。

圧縮鉄筋の定着長

圧縮鉄筋も、引張鉄筋と同様に定着します。よって定着長さは特別に変えません。

まとめ

今回は圧縮鉄筋について説明しました。圧縮鉄筋は構造上、必要不可欠です。RCは、引張力を鉄筋、圧縮力をコンクリートで負担すると言います。しかし、実際には圧縮鉄筋も応力を負担していて、耐力に寄与することを覚えてください。

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