建築学生が学ぶ構造力学

建築学生が学ぶ構造力学
  1. HOME > 鉄筋コンクリート造の基礎 > コンクリートのクリープとは?原因・たわみへの影響・変形増大係数を解説

コンクリートのクリープとは?原因・たわみへの影響・変形増大係数を解説

この記事の要点

コンクリートのクリープは荷重が作用し続けることで時間の経過とともに変形が増大する現象で、乾燥・水セメント比・空気量・荷重の大きさなどが増大の原因となります。

実務ではクリープを変形増大係数(梁8倍・スラブ16倍)として見込んで設計し、鋼材はクリープが起きないため変形増大係数は1.0です。

この記事では、コンクリートのクリープとは何か、たわみへの影響はどのようなものか、変形増大係数はどう使うのかを整理します。

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット


コンクリートのクリープは部材に荷重が作用し続けるとき、時間の経過と共に「変形が増大する」現象です。


コンクリートのクリープは、鉄筋コンクリート部材を設計する際に大切な概念です。実務では変形増大係数という形でクリープ現象に対処しています。


今回は、コンクリートのクリープと、その原因などについて説明します。

コンクリートのクリープってなに?

コンクリートのクリープとは、


部材に荷重が作用し続けるとき、時間の経過と共に「変形が増大する」現象


です。長期荷重は、常時部材に作用し続けます。※長期荷重については、下記が参考になります。

長期荷重・短期荷重

固定荷重ってなに?1分でわかる意味と種類

積載荷重ってなに?1分でわかる意味と実際の構造計算


例えば粘土の上に重りを載せます。そのままの状態で1日、10日、100日と置いておきます。


すると100日後は、初日に重りを載せたときより変形が大きくなっています。これがクリープ現象です。


クリープはコンクリートに関わらず、木、アルミなどの材料で考えます。その中でも、コンクリートはクリープが進みやすい材料で、それらを考慮した設計が必要です。

100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事

クリープと変形増大係数の関係

実務では、コンクリートのクリープをどのように考慮しているのでしょうか。クリープは時間の経過と共に変形が増大する現象です。


よって、あらかじめクリープによる変形の増大量を見込んで断面の大きさを決めます。


この「あらかじめクリープによる変形の増大量を見込む」ことを、「変形増大係数」によって行います。下式をみてください。

δdは変形増大係数を考慮した変形量、δeが考慮前の変形量、16が変形増大係数です。あとはδdが規定値(L/250など)を満足すれば良いのです。


コンクリートの変形増大係数は部材毎に、下記の設定がされています。

スラブは、私たちの生活に密接しているので、より大きな変形増大係数を考慮しています(使用上の制限が厳しい)。

鋼はクリープしない(※余談です。飛ばしてもOK)

ところで鋼材は、変形増大係数が1.0です(つまり、無し)。鋼は他の材料と違い、クリープは起きません。


実際私は、大学院生のときに高力ボルト接合部のクリープ現象の実験をしました。ボルトに張力を導入してから1ヶ月経過しても、全くクリープは起きませんでした。

クリープが増大する原因

コンクリートのクリープが増大する原因を、下記に示しました。

荷重が大きいほどクリープ変形は大きくなることや、コンクリート内の空気量(空隙)が多いほどクリープ変形が大きくなる点など、すんなりイメージできると思います。

混同しやすい用語

乾燥収縮

コンクリート中の水分が蒸発することで体積が減少する現象です。

クリープが荷重が持続的に作用することで変形が増大する現象であるのに対して、乾燥収縮は荷重に関係なく水分逸散によって起こる変形です。

弾性変形

荷重を加えた瞬間に生じる変形で、荷重を取り除けば元に戻る即時変形です。

クリープが時間の経過とともに変形が増大する非可逆的現象であるのに対して、弾性変形は荷重作用直後に完了する即時的な変形です。

試験での問われ方|管理人の一言

クリープの変形増大係数(梁8倍・スラブ16倍)の数値は試験でよく問われます。

「クリープは時間の経過とともに変形が増大する」という定義はシンプルですが、増大する原因(乾燥・水セメント比・空気量など)まで問われることがあります。

鋼材はクリープが起きないという点は、コンクリートとの材料比較問題として出題されることがあります。

コンクリートのクリープを整理した表を示します。

項目内容備考
クリープの定義荷重持続により時間経過で変形増大長期荷重が常時作用する部材で発生
変形増大係数(梁)8倍スラブは16倍(使用上の制限が厳しい)
増大の主な原因乾燥・水セメント比大・空気量大・荷重大鋼材ではクリープは発生しない

まとめ

今回は、コンクリートのクリープについて説明しました。コンクリートのクリープは部材に荷重が作用し続けるとき、時間の経過と共に「変形が増大する」現象です。


併せて変形増大係数も覚えておきましょう。※下記の記事も関連記事として読んでおきましょう(ヤング係数比はコンクリートのクリープを考慮して決められています)。

ヤング係数比ってなに?1分でわかる意味と、Fcとの関係

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット

この記事の内容を○×クイズで確認する

この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。

意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

ゼロ所長の構造力学問題集で確認する

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

▼用語の意味知らなくて大丈夫?▼

建築学生が学ぶ「構造力学」の用語集

▼同じカテゴリの記事一覧▼

▼カテゴリ一覧▼

▼他の勉強がしたい方はこちら▼

建築構造がわかる基礎図解集

【無料】ゼロ所長が解説!建築士試験の構造を効率よく学ぶ

・試験に出るポイントをわかりやすく解説

・今すぐnoteで学ぶ ⇒  ゼロから学ぶ建築士試験の構造

わかる1級建築士の計算問題解説書

計算の流れ、解き方がわかる!1級建築士【構造】計算問題解説集

わかる2級建築士の計算問題解説書!

【30%OFF】一級建築士対策も◎!構造がわかるお得な用語集

建築学生が学ぶ「構造力学」の用語集
pdf版の学習記事

プロフィール

建築の本、紹介します。▼

すぐにわかる構造力学の本

同じカテゴリの記事一覧

Topへ >>

  1. HOME > コンクリートのクリープとは?原因・たわみへの影響・変形増大係数を解説
  2. 1級の過去問(計算)解説
  3. わかる建築構造の用語集・図解集
  4. 1頁10円!PDF版の学習記事