この記事の要点
コンクリートのクリープは荷重が作用し続けることで時間の経過とともに変形が増大する現象で、乾燥・水セメント比・空気量・荷重の大きさなどが増大の原因となります。
実務ではクリープを変形増大係数(梁8倍・スラブ16倍)として見込んで設計し、鋼材はクリープが起きないため変形増大係数は1.0です。
この記事では、コンクリートのクリープとは何か、たわみへの影響はどのようなものか、変形増大係数はどう使うのかを整理します。
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コンクリートのクリープは部材に荷重が作用し続けるとき、時間の経過と共に「変形が増大する」現象です。
コンクリートのクリープは、鉄筋コンクリート部材を設計する際に大切な概念です。実務では変形増大係数という形でクリープ現象に対処しています。
今回は、コンクリートのクリープと、その原因などについて説明します。
コンクリートのクリープとは、
部材に荷重が作用し続けるとき、時間の経過と共に「変形が増大する」現象
です。長期荷重は、常時部材に作用し続けます。※長期荷重については、下記が参考になります。
例えば粘土の上に重りを載せます。そのままの状態で1日、10日、100日と置いておきます。
すると100日後は、初日に重りを載せたときより変形が大きくなっています。これがクリープ現象です。
クリープはコンクリートに関わらず、木、アルミなどの材料で考えます。その中でも、コンクリートはクリープが進みやすい材料で、それらを考慮した設計が必要です。
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実務では、コンクリートのクリープをどのように考慮しているのでしょうか。クリープは時間の経過と共に変形が増大する現象です。
よって、あらかじめクリープによる変形の増大量を見込んで断面の大きさを決めます。
この「あらかじめクリープによる変形の増大量を見込む」ことを、「変形増大係数」によって行います。下式をみてください。
δdは変形増大係数を考慮した変形量、δeが考慮前の変形量、16が変形増大係数です。あとはδdが規定値(L/250など)を満足すれば良いのです。
コンクリートの変形増大係数は部材毎に、下記の設定がされています。
スラブは、私たちの生活に密接しているので、より大きな変形増大係数を考慮しています(使用上の制限が厳しい)。
ところで鋼材は、変形増大係数が1.0です(つまり、無し)。鋼は他の材料と違い、クリープは起きません。
実際私は、大学院生のときに高力ボルト接合部のクリープ現象の実験をしました。ボルトに張力を導入してから1ヶ月経過しても、全くクリープは起きませんでした。
コンクリートのクリープが増大する原因を、下記に示しました。
荷重が大きいほどクリープ変形は大きくなることや、コンクリート内の空気量(空隙)が多いほどクリープ変形が大きくなる点など、すんなりイメージできると思います。
混同しやすい用語
乾燥収縮
コンクリート中の水分が蒸発することで体積が減少する現象です。
クリープが荷重が持続的に作用することで変形が増大する現象であるのに対して、乾燥収縮は荷重に関係なく水分逸散によって起こる変形です。
弾性変形
荷重を加えた瞬間に生じる変形で、荷重を取り除けば元に戻る即時変形です。
クリープが時間の経過とともに変形が増大する非可逆的現象であるのに対して、弾性変形は荷重作用直後に完了する即時的な変形です。
コンクリートのクリープを整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| クリープの定義 | 荷重持続により時間経過で変形増大 | 長期荷重が常時作用する部材で発生 |
| 変形増大係数(梁) | 8倍 | スラブは16倍(使用上の制限が厳しい) |
| 増大の主な原因 | 乾燥・水セメント比大・空気量大・荷重大 | 鋼材ではクリープは発生しない |
今回は、コンクリートのクリープについて説明しました。コンクリートのクリープは部材に荷重が作用し続けるとき、時間の経過と共に「変形が増大する」現象です。
併せて変形増大係数も覚えておきましょう。※下記の記事も関連記事として読んでおきましょう(ヤング係数比はコンクリートのクリープを考慮して決められています)。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
クリープの変形増大係数(梁8倍・スラブ16倍)の数値は試験でよく問われます。
「クリープは時間の経過とともに変形が増大する」という定義はシンプルですが、増大する原因(乾燥・水セメント比・空気量など)まで問われることがあります。
鋼材はクリープが起きないという点は、コンクリートとの材料比較問題として出題されることがあります。