この記事の要点
溶融亜鉛メッキとは、溶融した亜鉛(融点419.5℃)に鋼材を浸漬して亜鉛被膜を形成する錆止め処理で、「ドブ漬け」とも呼ばれる。
外部に露出する鉄骨部材に施工し、耐候性を付与する。
規格はHDZ Aなど1種・2種があり、付着量・硫酸銅試験回数で品質管理される。
注意点として、溶融亜鉛メッキによる割れ・メッキ孔の設置(鋼管内の空気逃がし)・電食によるステンレスとの相性に注意が必要である。
この記事では、溶融亜鉛メッキとは何か、規格はどうなっているのか、施工上の注意点はどこかを整理します。
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溶融亜鉛メッキは、鋼材の錆止めとして多用されます。溶融亜鉛メッキを、実務では「ドブ漬け」とも言います。では溶融亜鉛メッキの特徴は何でしょうか。また、規格や溶融亜鉛メッキボルトについて説明します。
溶融亜鉛メッキボルトの意味は、下記が参考になります。
溶融亜鉛メッキ高力ボルトとは?F10Tとの違いと屋外・腐食環境での適用
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溶融亜鉛メッキは、溶融した亜鉛によるメッキ塗装のことです。「メッキ」は建築用語では無く、固体表面に別の金属を被膜させることです。
亜鉛は419.5度が融点です(つまり、溶ける)。溶融させた亜鉛は液体で、その中に鋼材を漬けることで、鋼材の表面を亜鉛によって被膜させます。亜鉛は耐候性に優れているので、錆びにくい材料となります。
よって、外部に面する鉄骨はほとんどの場合、溶融亜鉛メッキを施します。普通の建物は、外壁や仕上げをするため鉄骨が外部に露出しません。その場合は、溶融亜鉛メッキを必要とないのです。
溶融亜鉛メッキの規格は大まかに1種と2種があります。1種は硫酸銅試験回数、2種は溶融亜鉛メッキの付着量で品質を確保します。下表は、それらを示す記号と品質です。
| 種類 | 記号 | 硫酸銅試験回数 | 付着量 g/m^3 | めっき膜厚 μm | 適用例 |
| 1種 | HDZ A | 4回 | - | - | 厚さ5mm以下の鋼材など |
| HDZ B | 5回 | - | - | 厚さ5mmを超える鋼材など | |
| 2種 | HDZ 35 | - | 350以上 | 49以上 | 厚さ1mm以上2mm以下の鋼材など |
| HDZ 40 | - | 400以上 | 56以上 | 厚さ2mm以上3mm以下の鋼材など | |
| HDZ 45 | - | 450以上 | 63以上 | 厚さ3mm以上5mm以下の鋼材など | |
| HDZ 50 | - | 500以上 | 69以上 | 厚さ5mmを超える鋼材など | |
| HDZ 55 | - | 550以上 | 76以上 | 過酷な環境下で使用される鋼材など |
一般的に、溶融亜鉛メッキを施す鋼材はHDZ55を行います。これは溶融亜鉛メッキの付着量が550g/m3です。また溶融亜鉛メッキボルトの付着量も同様の値です。
溶融亜鉛メッキは、下記の工程で行います。
1~3は溶融亜鉛メッキを行う前処理です。
1では、鋼材表面に付着した油分を除去します。
不純物が付かないよう、鋼材を綺麗にするわけです。
その後、ドブ漬けを行います。
溶融した亜鉛中に鋼材を浸漬し、引き揚げます。
また速やかな冷却が必要です。
漬け時間や亜鉛の温度などJASS6で細かな規定があります。
※JASS6については下記の記事が参考になります。
その後、メッキによる割れが無いか外観検査を行い、問題なければ出荷です。
溶融亜鉛メッキ鋼材は耐候性に優れていますが、注意点があります。.
1つは、溶融亜鉛メッキによる割れです。特に、溶接や冷間曲げ加工、高張力鋼などで見られます。例えばBCR材や、STKR材などです。※BCR材、STKR材については下記の記事が参考になります。
冷間成形角形鋼管(コラム)とは|BCR・BCP・STKRの違いと柱材
TKR材の規格が丸わかり!一般構造用角形鋼管のサイズと断面性能
2つめは、溶融亜鉛メッキによる孔が必要なこと。
下図のように仕口部は、ダイアフラムによって塞がれています。
この状態でドブ漬けすると、鋼管内の空気が急激に膨張し、鋼管が破裂します。
そのため、メッキ孔が必要です。
これは鋼管内の空気を逃がす目的です。
メッキが施されます。
またH型鋼のような開放型断面でもメッキ孔を設けます。これは、メッキが隅部で塊となることを防ぐためです。
メッキ孔の径は35mmや40mmと大きいので、ダイアフラムの断面欠損は、あらかじめ注意します。※ダイアフラムについては下記の記事が参考になります。
ダイアフラム(ダイヤフラム)とは?鉄骨柱に必要な理由と種類【図解】
3つめの注意点が、電食による腐食です。溶融亜鉛メッキ鋼は、ステンレスとの電位差が大きいです。屋根や樋の材質は、電位差を考慮して決めたいですね。屋根がステンレスで、樋が溶融亜鉛メッキ製の場合、樋はすぐに腐食します。あ
前述したように、溶融亜鉛メッキを行うと割れが生じます。よって下記の検査が必要です。
以上の不具合がある鋼材は使えません。不メッキとは、溶融亜鉛メッキが出来ていない箇所です。摩擦面や溶接面は、あえて不メッキ処理をします。
たれは、部分的に亜鉛が多く付着している箇所です。摩擦面は不メッキ処理をするので、あってはいけません。開先も同様です。
鋼材と同様に溶融亜鉛メッキを施したボルトを溶融亜鉛メッキボルトと言います。F8Tという高力ボルトです。溶融亜鉛メッキボルトについては、下記の記事が参考になります。
溶融亜鉛メッキ高力ボルトとは?F10Tとの違いと屋外・腐食環境での適用
混同しやすい用語
電気亜鉛メッキと溶融亜鉛メッキは、どちらも亜鉛による鋼材の防錆処理ですが、方法と特性が異なります。
電気亜鉛メッキは電気分解によって亜鉛を薄く均一に付着させる方法で、外観は良好ですが膜厚が薄く耐候性は劣ります。
溶融亜鉛メッキは「ドブ漬け」とも呼ばれ、膜厚が厚く耐候性が高いため構造部材に使われます。
今回は溶融亜鉛メッキについて説明しました。溶融亜鉛メッキの意味が分かって頂けたと思います。鋼材は、外部に露出するとたちまち錆びます。よって耐候性を付加するため溶融亜鉛メッキが必要です。併せて溶融亜鉛メッキの注意点も覚えましょう。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では、溶融亜鉛メッキの用途(外部露出鉄骨の防錆)・規格(HDZ A/B、HDZ 35〜55)・施工上の注意点(割れ・メッキ孔・電食)が問われます。
特にメッキ孔は鋼管内の空気膨張による破裂防止のために必要な点を押さえましょう。
ステンレス材との電食の問題も重要です。