建築学生が学ぶ構造力学

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構造計算ルート1とは?ルート1-1とルート1-2の違いと適用条件(鉄骨造・RC造)

この記事の要点

建築物の構造計算には「ルート1・2・3」の3段階があり、建物の規模や構造種別によって選択します。ルート1は最も簡便な計算方法で、小規模建物(4階以下・高さ20m以下等)に適用できます。ルート1-1と1-2では求める計算の範囲が異なります。

このページでは構造計算ルート1の概要・1-1と1-2の違い・適用できる建物の条件を解説します。

比較的小規模の建築物に採用されます。

この記事では、構造計算ルート1とは何か、ルート1-1とルート1-2はどう違うのか、どのような建物に採用するのかを整理します。

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構造計算ルート1は「建物に十分な耐力を確保し、その代わり、靭性(粘り強さ)は期待しない設計法」です。

比較的小規模の建築物に採用されます。

また、計算ルート1は構造計算ルートの中で最も簡単な計算です。

なお、鉄骨造については計算ルート1-1と1-2に分かれます。


具体的にどのような建物が構造計算ルート1に該当するか整理しました。


・鉄筋コンクリート造(RC造):建物高さが20m以下、かつ、各階の壁量・柱量の確保(Σ2.5αAw+Σ0.7αAc≧ZWAiを満たすこと)、設計用せん断力の割り増し。


・鉄骨造(S造):鉄骨造の場合、計算ルート1のさらに細かい区分として「計算ルート1-1」と「計算ルート1-2」があります。各計算ルートは階数、高さ、軒高、スパン、延べ面積により下記の建物が対象となります。


・計算ルート1-1 ⇒ 階数3以下、高さ13m以下、軒高9m以下、スパン6m以下、延べ面積500平米以下。

・計算ルート1-2 ⇒ 階数2以下、高さ13m以下、軒高9m以下、スパン12m以下、延べ面積500平米以下(平屋建ての場合3000平米以下)


構造計算ルート1-1と1-2


なお、構造計算ルートの意味は、下記が参考になります。

構造計算ルートとは何か?


計算ルートは下記の書籍に丁寧にまとめられています。構造設計をする人の必需品です。

建築物の構造関係技術基準解説書(2015年版)

構造計算ルート1の設計の考え方

構造計算ルート1の考え方は、


・建物に十分な耐力を確保し、その代わり、靭性(粘り強さ)は期待しない設計法


です。

地震に対する建物の設計の考え方は主に2つあります。

1つは構造計算ルート1のように、建物の耐力を十分に高める一方で、靭性は高めないまま地震力に抵抗する考え方です。

建物の耐力を大きくすれば大きな地震力にも抵抗できますが、地震力が耐力を超えると建物の耐力は急激に低下します。


2つめは、建物に粘り強さを持たせて"地震力をいなす"ような考え方です。

建物の粘り強さを高めると、地震力により建物はよく変形し、地震の力を受け流します。

"粘り強い"ということは、建物が変形しても耐力が急激に低下しないことです。

建物に粘り強さを持たせる設計の考え方が「構造計算ルート3」です。


前述した、構造計算ルート1、計算ルート3の考え方の概念図を下図に示します。

縦軸は応力、横軸はひずみとします。

Bが計算ルート1の建物、Aが計算ルート3の建物です。

Aの建物は耐力がそこまで大きく無い代わりに、建物の変形が大きくなっても中々壊れません。

一方、Bの建物は耐力はとても大きい代わりに、建物は変形できず、すぐに壊れてしまいます。


靱性指向型と強度抵抗型


さて、構造計算ルート1では、建物に十分な耐力を持たせるために、


・鉄筋コンクリート造 ⇒ 必要な壁量、柱量を確保すること。耐力壁を増やす、柱断面を大きくする

・鉄骨造 ⇒ 標準せん断力係数Co=0.3(通常の1.5倍に割り増し)した地震力に対して設計すること。ブレース構造の場合、保有耐力接合を行うこと


等が求められます。構造計算ルート1の場合、鉄筋コンクリート造、鉄骨造ともに、建物に十分な耐力を確保するため、柱、梁、壁などの断面は大きくなる傾向にあります。鉄骨造の構造計算ルートの詳細は下記が参考になります。

鉄骨造の構造計算ルートは?構造計算ルートのフロー図

構造計算ルート1-1と1-2の違い

構造計算ルート1-1、1-2の違いを下記に示します。なお、計算ルート1-1、1-2は鉄骨造の構造計算ルートです。


構造計算ルート1-1 ⇒ 建物に作用する地震力を通常の1.5倍に割り増して(ベースシェアー係数Coを0.3とする。

通常は0.2)、許容応力度計算を行う。

割増しした地震力に耐えられるよう設計することで、建物は固く強くなる。

筋かい端部・接合部の破断防止、冷間成形角形鋼管柱の応力割増しが必要。


構造計算ルート1-1 ⇒ 計算ルート1-1よりも制約が増える。

ベースシェアーは0.3m偏心率を15/100以下にすること。

つまり、計算ルート1-2の設計では、あまり構造的にバランスの悪い、偏った建物を扱うことができない。

筋かい端部・接合部の破断防止、冷間成形角形鋼管柱の応力割増し、局部座屈などの防止、柱脚部の破断防止などの計算が必要。

根拠・参考

  • 建築物の構造関係技術基準解説書

実務では、設計条件・仕様書・適用する規準により確認してください。

混同しやすい用語

構造計算ルート1

「十分な耐力を確保し靭性は期待しない」設計法で、比較的小規模の建物に適用される。

鉄骨造ではルート1-1とルート1-2に細分される。

構造計算ルート2

許容応力度計算に加えて層間変形角・剛性率・偏心率のチェックを行う設計法。

ルート1より大規模な建物や不整形な建物に適用される。

構造計算ルート3

「靭性(粘り強さ)を高めて地震力をいなす」設計法で保有水平耐力の計算も行う。

最も詳細な計算であり、大規模・複雑な建物に適用される。

構造計算ルート1の適用条件を整理した表を示します。

項目内容備考
計算ルート1-1(S造)階数3以下・高さ13m以下・延べ500m2以下Co=0.3で許容応力度計算
計算ルート1-2(S造)階数2以下・高さ13m以下・延べ500m2以下偏心率15/100以下の条件あり
RC造高さ20m以下・壁量・柱量を確保設計用せん断力の割り増しが必要

まとめ

今回は構造計算ルート1について説明しました。

構造計算ルート1は「建物に十分な耐力を確保し、その代わり、靭性(粘り強さ)は期待しない設計法」です。

比較的小規模の建築物に採用されます。

また、計算ルート1は構造計算ルートの中で最も簡単な計算です。

なお、鉄骨造については計算ルート1-1と1-2に分かれます。

構造計算ルートの意味、計算ルート2の詳細など、下記も参考になります。

構造計算ルートとは何か?

構造計算ルート2とは?適用条件・剛性率・偏心率の検討と鉄骨建物への応用

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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