この記事の要点
理想的な柱は完全に真っすぐだが、実際の製品には製造誤差(初期不正)がある。荷重を加える前から少しでも曲がっている部材は、オイラーの座屈荷重より低い圧縮力でも変形が急速に増大する。
設計では元たわみを考慮した安全率や等価初期不整量として基準に組み込んでいる場合が多い。元たわみがなぜ危険かの原理を理解しておくと、座屈設計の余裕率の設定根拠が分かる。
部材は、元たわみを考慮した座屈の計算が可能です。
この記事では、元たわみとは何か、座屈とどう関係するのか、初期不正とは何かを整理します。
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元たわみは、荷重を加える前から曲がっている状態、部材のたわみです。部材は、元たわみを考慮した座屈の計算が可能です。今回は元たわみの意味、英語、座屈、初期不整との関係について説明します。座屈、たわみの意味は、下記が参考になります。
たわみ(撓み)とは?意味・求め方・公式・単位・記号をわかりやすく解説
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元たわみは、荷重を加える前から生じている部材のたわみ、曲がりです。下図をみてください。この部材は荷重を加える前ですが、最初から曲がっています。この曲がりが、元たわみです。
元たわみがあると、部材は曲がりやすく、元たわみのある方向へ座屈します。また、圧縮力を加えると、理想の座屈荷重に比べて小さい値で耐力を失います。座屈、座屈荷重の意味は下記が参考になります。
元たわみは「もとたわみ」と読みます。
元たわみとたわみの違いを、下記に示します。
元たわみ ⇒ 荷重を加える前から生じている部材のたわみ又は曲がり
たわみ ⇒ 荷重により水平部材(鉛直部材)に生じる変形、変形すること
たわみの意味は、下記が参考になります。
たわみ(撓み)とは?意味・求め方・公式・単位・記号をわかりやすく解説
元たわみは英語で、Initial crookednessといいます。
元たわみが生じた柱に圧縮力を加えると、元たわみの無い柱に比べて小さい荷重で座屈します。下図を見てください。元たわみのある柱に圧縮力を加えます。元たわみが生じている分、座屈が起きる前から曲げモーメントが生じます。
よって、鉄骨部材は元たわみが小さいよう、精度よくつくります。
初期不整とは、柱芯に対する荷重芯のずれ(偏心)や、元々の部材の変形(たわみ、曲がり)です。
元たわみも初期不整の1つです。
構造設計や構造力学では、部材を理想的な状態(初期不整が無い状態)で考えます。
ただ実際は、完全に真っすぐな部材は無いです。
初期不整により、理想的な座屈荷重より小さな値で耐力低下を起こす可能性もあります。
なお、部材芯と荷重芯のずれによる影響は、下記が参考になります。
混同しやすい用語
ひずみ
ひずみは断面内の変形の割合で、たわみは部材全体の変位量です。
両者は関連しますが、使う式と意味が異なります。
変位
変位は構造物全体の位置変化を指し、たわみは梁などの部材が曲がる方向(鉛直)の変位です。
破断
破断は引張応力が材料の強度を超えて壊れる現象です。
座屈は圧縮力によって部材が横方向に変形して耐力が低下する現象です。
元たわみを整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 元たわみの定義 | 荷重を加える前から生じている部材の曲がり | 初期不整の一種 |
| 座屈への影響 | 理想座屈荷重より小さい値で耐力低下 | 元たわみ方向に座屈しやすい |
| 英語表記 | Initial crookedness | 鉄骨部材は精度よく製作が必要 |
今回は元たわみについて説明しました。意味が理解頂けたと思います。元たわみは、荷重を加える前からある部材の変形、たわみです。元たわみを考慮した座屈荷重は、理想的な座屈荷重より小さいです。下記の記事も併せて勉強しましょう。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
試験では初期不正(元たわみ)と座屈の関係が問われます。実際の部材には製作誤差による初期曲がりがあり、圧縮力が加わると追加の曲げモーメントが生じて座屈が早まる(増幅効果)ことを理解しておきましょう。
柱の設計では圧縮力と曲げモーメントの複合応力状態を確認します。初期不正の影響はH形鋼の座屈曲線選択にも関係します。実務上の設計計算と試験での公式的な取り扱いを対比しておきましょう。