この記事の要点
地震(震度6強、震度7の揺れ)では、旧耐震基準で設計されたような耐震性の低いマンションでは「1階や中間階」において倒壊(崩壊)した例が、1995年の阪神淡路大震災や2016年の熊本地震で確認されていま
地震(震度6強、震度7の揺れ)では旧耐震基準で設計されたような耐震性の低いマンションでは「1階や中間階」において倒壊(崩壊)した例が、1995年の阪神淡路大震災や2016年の熊本地震で確認されています。
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地震でのマンション倒壊が起こりやすい階についての解説です。地震(震度6強、震度7の揺れ)では旧耐震基準で設計されたような耐震性の低いマンションでは「1階や中間階」において倒壊(崩壊)した例が、1995年の阪神淡路大震災や2016年の熊本地震で確認されています。なお、ここでいう倒壊(崩壊)とは「柱・耐力壁が大破壊し、建物全体または建物の一部が崩壊に至ったもの(日本建築学会より)」と定義します。今回は、地震でマンションの何階が倒壊するか、1階、2階で潰れるか説明します。
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地震(震度6強、震度7の揺れ)では旧耐震基準で設計されたような耐震性の低いマンションでは「1階(ピロティ)や中間階」において倒壊(崩壊)した例が、1995年の阪神淡路大震災や2016年の熊本地震で確認されています。なお、ここでいう倒壊(崩壊)とは「柱・耐力壁が大破壊し、建物全体または建物の一部が崩壊に至ったもの(日本建築学会より)」と定義します。
旧耐震基準で設計されたマンションでは前述したある階(層)が崩壊(層崩壊)するような、一般の言葉でいえば、ある階が潰れる可能性は否めません。一方、1981年6月より施行された耐震基準(いわゆる新耐震基準)では「震度6強~7程度の大地震でも倒壊・崩壊しない(ただし損傷はする)」基準としており、マンションの1階、2階が潰れる心配はまず無いでしょう。
実際に2016年の熊本地震では、「鉄筋コンクリート造建築物は、新耐震基準導入以降で倒壊が確認されたものはなかった。」と国土交通省住宅局の「熊本地震における建築物被害の原因分析を行う委員会」報告書のポイント」で明記されています。ただし、損傷はするので大規模な補修は必要になる可能性が高く、また、場合によってはそのマンションを使用できなくなる可能性もある点に注意が必要です。
さて、1階が倒壊した事例で多いのが「ピロティ階を有するマンション」です。下図をみてください。当該階(たとえば1階)には鉛直部材として柱のみが配置され耐力壁は無く、一方、それ以外の階(たとえば2階以上の階)には耐力壁が配置されるような構造をピロティ構造といいます。
ピロティ構造は旧耐震基準で設計された建物に多く、新耐震基準では原則として避けることが望ましい構造形式とされていますが、適切な構造設計をすればピロティ構造を採用することは可能で、実際に採用するマンションもあるでしょう。
ピロティ構造で一番わかりやすい事例は、1階が「自由に移動できる駐車場、あるいは、店舗」とするため柱のみで耐力壁が無く、一方、2階以上は住戸ごとに戸境壁で仕切られており、すなわち、耐力壁が配置されているようなマンションです。
これが典型的なピロティ構造で、耐力壁の無い1階は柔らかく、耐力が低い一方で、耐力壁のある2階以上の階はかたく、耐力も大きくなります。1階が柔らかくて弱い、2階以上が固くて強いというピロティ構造では、1階に大変形が生じやすく1階の倒壊を引き起こします。
なお、ややこしいのですが、一見、1階に壁が無く2階以上に耐力壁があるように見えても、耐震スリットを入れて雑壁と柱との縁をきってやれば耐力壁とならず、前述のピロティ構造には該当しません。
現在でも都市部のマンションでは土地の有効活用のため、1階部分は駐車場にするケースは多く、この場合でも多くは、妻面方向(住戸を隔てる戸境壁方向)には1階にも耐力壁が配置されており車の出入りは一方向のみです。1階の張間方向は車の出入りのため壁が無く、2階以上には開口および雑壁が付きますが、耐震スリットを入れて柱と雑壁との縁を切るのが通常の設計です。
また、地震などの災害により被災した住宅の被害の程度を調査することを「被害認定調査」といい、この調査による被害区分では「一部損壊(10%未満)⇒準半壊(10~20%)⇒半壊(20~30%)⇒中規模半壊(30~40%)⇒大規模半壊(40~50%)⇒全壊(50%以上)」の順に損害割合(屋根、壁等の経済的被害割合)は大きくなります。前述の「倒壊」は、もちろん全壊認定されますが、倒壊しなくても建物の半数以上の割合で損壊が発生していれば全壊認定されており、2016年の熊本地震では全壊認定されたマンションはおよそ19棟、そのうち新耐震基準のマンションでも9棟あります。
このことからも、新耐震基準のマンションは倒壊や崩壊はしないからといって、被害が無い訳ではない点に注意が必要です。ただし、9棟のうちの7棟は下記の特徴があります。
・地盤が悪く、液状化の危険性が高い地域にあった
・ピロティ構造を有している
よって、マンションを選ぶ場合、新耐震基準であることはもちろんですが、①良好な地盤であること、②ピロティ構造でないことに留意が必要です。
混同しやすい用語
旧耐震基準と新耐震基準
旧耐震基準は1981年5月以前の建築基準法に基づく耐震基準で、震度5強程度で倒壊しないことを目標としていました。新耐震基準(1981年6月施行)は震度6強~7でも倒壊・崩壊しないことを目標としており、耐震性能が大きく向上しています。
ピロティ構造と通常のラーメン構造
ピロティ構造はある階(主に1階)に耐力壁がなく柱のみで構成される構造形式で、上階との剛性差が大きく地震時にその階に変形が集中します。通常のラーメン構造は全階に均等に耐力が配置されるため、ピロティ構造より地震に対して安全です。
地震でマンションが倒壊しやすい階を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 倒壊しやすい階 | 1階・中間階(ピロティ階など) | 旧耐震基準の建物で多く発生 |
| 主な被害事例 | 阪神淡路大震災(1995)、熊本地震(2016) | 1階・中間階の崩壊が確認された |
| 対策 | 新耐震基準(1981年以降)への適合、耐震改修 | 旧耐震建物は改修が重要 |
今回は、地震でマンションは何階が潰れるか説明しました。地震(震度6強、震度7の揺れ)では旧耐震基準で設計されたような耐震性の低いマンションでは「1階や中間階」において倒壊(崩壊)した例が、1995年の阪神淡路大震災や2016年の熊本地震で確認されています。ただし、新耐震基準では震度6強、震度7でも倒壊、崩壊しない基準のため、1階、2階でもマンションが潰れる心配は無く、近年起きた震度6強以上の地震にあったマンションをみても実証されています。
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・阪神淡路大震災における鉄筋コンクリート建物の被害と耐震設計における問題点https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhesj/4/1/4_KJ00007029816/_pdf
・熊本地震による被災マンションの概要file:///C:/Users/YUKIHIRO/Desktop/JCL59_004-009.pdf
・2016 熊本地震 被害調査速報http://saigai.aij.or.jp/wiki.arch.ues.tmu.ac.jp/saigai/5ec7c5737dfd3209f285afa356a829ed.pdf
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
地震でマンションの何階が倒壊する?1階に関する問題は建築士試験の構造分野で出題されます。定義と計算の両面から理解しておきましょう。
地震でマンションの何階が倒壊する?1階の定義・適用条件・計算式は建築士試験の構造分野で出題される基本事項です。
用語の定義を正確に理解したうえで、関連する規準・法令との関係を整理することが大切です。