RCスラブとは、RCで出来た床のことです。床は居住性に最も密接に関わる構造部材です。少し撓んだだけでも歩いていて気持ちが悪くなります。RCはクリープ現象が起きやすい部材ですから、恒常的に荷重が作用している床の設計は大変重要です。
※クリープとは、一定の荷重を作用させ続けると変形が進行する現象。
また、地震時では水平力を建物全体に伝える『剛床』という役割を果たします。床が無ければ、各柱はバラバラの挙動を示します。床があることで、地震時に揺れるときも全体的に変形するため、挙動を把握しやすくなるのです。
スラブを設計する際の荷重は、長期荷重を用います。この長期荷重はTL(トータルロード)を用います。TL=DL(自重)+LL(積載荷重)です。自重は、仕上げ荷重とRCスラブの厚みによって決定されます。
例えば、床厚が150ならw=150x24/1000=3.6kN/uです。仕上げ荷重は0.6 kN/u見込んでおきます。積載荷重は、意匠的に使う用途によって、建築基準法で定められている値を使います。居住用なら1.8kN/uです。この場合、TL=4.2(3.6+0.6)+1.8=6.0です。
スラブを設計するとき境界条件に注意します。RC造ならほとんど四辺固定版です。つまり、四辺が固定端になっているスラブです。これは床スラブが大梁や小梁に囲まれていて、一体化されているからです。
一方、S造にRC床を使う場合は、固定端とみなせません。それは、鉄骨梁とRC床の接続が固定端と呼べるほどガッチリしていないからです。そのため、ピン支点として計算します。
RCは固定端、S造はピンと考えましょう。
スラブを設計するとき、設計用寸法に悩みます。設計者や物件ごとに変わりますが、『内法寸法』が正しい値です。但し、柱間スパンでざっくり計算しても、それは大きなスラブを計算したことになるので安全側の検討です。
・RCスラブは恒常的に荷重が作用している床の設計は大変重要です。また、地震時では水平力を建物全体に伝える『剛床』という役割を果たします。
・スラブを設計するとき、『内法寸法』が正しい値です。
・境界条件は、RCは固定端、S造はピンと考えましょう。
次回は、実際に一般的な四辺スラブの検討を行っていきましょう。