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鉄筋継手の種類とは?重ね継手の長さ・基準・機械式・圧接を解説

この記事の要点

鉄筋の継手とは、分割した2本の鉄筋を1本と同等の性能が発揮できるように接合することで、重ね継手・圧接継手・機械式継手の3種類がある

重ね継手の長さはコンクリートのFcと鉄筋強度で決まり、フックを付けると付着力が向上するため継手長さを短くできる。

この記事では、鉄筋継手の種類はどのようなものがあるのか、重ね継手の長さはどう決まるのか、圧接・機械式継手とどう違うのかを整理します。

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継手」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。専門用語で、良く分からない言葉ですよね。継手は、鉄筋に対して使われる言葉です。


では、継手とはどんな意味でしょうか。今回は、鉄筋の継手について説明します。


機械式継手、圧接継手の意味は、下記が参考になります。

機械式継手とは?鉄筋の継手方法・カプラーの仕組みとメリット・デメリット

圧接とは?1分でわかる意味、資格、径違い、検査、ふくらみの関係

鉄筋の継手ってなに?なぜ必要?

鉄筋の継手とは、2つの鉄筋を1つに接合することを言います。下図をみてください。これは継手の一例です。



上図は重ね継手と呼ばれる鉄筋の継手です。継手は上図のように、2つの鉄筋を何らかの方法で1つにします。


では、なぜ継手が必要になるのでしょうか。これは鉄筋の長さに関係しています。


鉄筋の長さは標準で12m以下の製品をつくります。一方、建物を構成する部材の長さは、場合によっては12m以上になります。


つまり、鉄筋は数メートルの長さで分割する必要があります。例えば梁が15mとすれば、鉄筋も15m分必要です。


15m分の鉄筋を製作することは難しいですし、運ぶこともできません。よって、

というように鉄筋を分割します(一例です)。鉄筋を分割するのは良いですが、分割した鉄筋は分割したままでは性能が発揮できません。


ここで「継手」が必要になります。継手は、2つの鉄筋を1本と同等の性能を発揮させることなのです。

重ね継手とは?意味・D13の継手長さ・継手部の位置を解説

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重ね継手長さの考え方

継手長さは、コンクリートの設計基準強度、鉄筋の強度で決定されます。実務では、後述する表などから継手長さを読み取ります。


その表による継手長さは、下記の考え方が元になっています。1次設計時の継手長さは、

です。Lを継手長さ、σbは鉄筋に作用する応力度、dbは鉄筋の呼び径、faは許容付着応力度です。

※設計基準強度、一時設計の意味は下記が参考になります。

設計基準強度と品質基準強度の違いと、5分で分かるそれぞれの意味

一次設計とは?1分でわかる意味、震度との関係、二次設計との違い


ここでは細かい計算内容は省略しますが、考え方だけ述べます。継手する、ということは鉄筋Aに作用する応力を鉄筋Bに適切に伝える必要があります。


重ね継手は、鉄筋同士を溶接したり機械的に接合することはありません。配筋するとき、バラバラにならないよう結束線で束ねる程度です。


重ね継手とは?意味・D13の継手長さ・継手部の位置を解説

もちろん、このままでは力が加わったとき、2つの鉄筋はバラバラになります。


しかし、コンクリートを打設し固まると、鉄筋Aに作用する応力はコンクリートの付着力を介して鉄筋Bに伝わるようになります。


前述した式は、上記の考え方を網羅したものです。ちなみにフックをつければ、継手長さは短くなります。


これは、フックを付けることで付着力が向上するからです。フックについては下記が参考になります。

鉄筋の定着長さとは?考え方、計算【図解】

鉄筋のフックってなに?鉄筋のフックの種類と、折り曲げ直径

鉄筋の重ね継手長さ表

前述した重ね継手長さですが、実務では、こんな野暮な計算はしません。下表のように、鉄筋径、コンクリートの設計基準強度が分かれば、求められます。

上表は公共建築工事に用いる標準仕様書を元に作成しました。公共建築物は、これに準ずることが基本ですが、


建築学会の鉄筋コンクリート造計算規準、配筋指針ではもう少し緩い値になっています。


ちなみに太径の鉄筋(D19以上など)になると、重ね継手ではなく「圧接継手」という方法が用いられます。


圧接は、また別の機会に説明しますが、やりたいことは重ね継手と同じです。複数本の鉄筋を1本にしたいのです。


但し、圧接は鉄筋に熱を加えて1本の鉄筋に造り替えてしまいます(溶接とは違いますが、近いイメージを持って頂いて良いと思います)。

圧接とは?1分でわかる意味、資格、径違い、検査、ふくらみの関係

重ね継手とは?意味・D13の継手長さ・継手部の位置を解説

継手の種類

継手の種類を下表にまとめました。1つめは、前述した重ね継手です。細径の鉄筋はほとんど重ね継手を行います。2つめは圧接継手、3つめは機械式継手です。

カップラーとは、金具の1つで、鉄筋が差し込めるように孔が空いています。孔は全ネジなので、鉄筋をネジの要領で両側から差し込めます。


2つの鉄筋はカップラーにより1本にします。鉄筋Aの応力は、カップラーを介して鉄筋Bへと応力を伝えます。


また上図の通り、各鉄筋の継手位置は同じ個所にならないよう、所定の距離ずらします。つまり「いも継手」を避けます。いも継手の詳細は、下記が参考になります。

いも継手とは?1分でわかる意味、ダメな理由、重ね継手の基準

混同しやすい用語

重ね継手

重ね継手とは、2本の鉄筋を並べて重ね合わせ、コンクリートの付着力で力を伝達する方法で、細径鉄筋(D16以下程度)に多用される。

圧接継手は鉄筋同士を熱で一体化させる方法であり、重ね継手のようにコンクリートの付着に頼らず鉄筋を直接接合する点が異なる。

圧接継手

圧接継手とは、鉄筋の端部を加熱・加圧して一体化させる接合方法で、D19以上の太径鉄筋に用いられ、鉄筋1本分の強度を直接伝達できる。

重ね継手はコンクリートの付着力で力を伝達するため重ね長さが必要だが、圧接継手は溶接に近い形で鉄筋を直接一体化するため重ね長さは不要。

試験での問われ方|管理人の一言

建築士試験では「重ね継手の長さはFcが大きいほど短くなる」「太径鉄筋(D19以上)には圧接継手を用いる」「いも継手(同位置での継手)を避ける」などが頻出である。

継手と定着は「どこへ力を伝えるか」の目的(同部材内 vs 異部材間)で違いを整理すると混同を防ぎやすい。

鉄筋継手を整理した表を示します。

継手の種類概要適用範囲・特徴
重ね継手鉄筋を一定長さ重ねて配置細径(D16以下)に多用。Fcが大きいほど継手長さは短くなる
圧接継手鉄筋端面を加熱・加圧して接合D19以上の太径鉄筋に使用。信頼性が高い
機械式継手カプラーで鉄筋を接合施工精度が高く、狭隘部での施工に適する

まとめ

今回は鉄筋の継手について説明しました。重ね継手の継手長さは一級建築士の試験にも出題されます。


中々丸暗記は厳しいですが、継手長さの大小のイメージ、フックが付くと継手長さは短くなる、といったパターンを理解しましょう。


機械式継手、圧接継手、いも継手の意味も理解できると良いですね。下記を参考にしてくださいね。

機械式継手とは?鉄筋の継手方法・カプラーの仕組みとメリット・デメリット

圧接とは?1分でわかる意味、資格、径違い、検査、ふくらみの関係

いも継手とは?1分でわかる意味、ダメな理由、重ね継手の基準

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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