この記事の要点
鉄筋のフックは180°・90°・135°の3種類があり、スラブや梁の端部で定着効果を高めるために設ける。
折り曲げ直径は鉄筋径の4〜6倍以上が必要で、フックの種類と使用部位(柱・梁・スラブ)によって規定が異なる点に注意が必要です。
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鉄筋のフックとは、定着性能を高めるために鉄筋を折り曲げた部分のことです。加工されていない鉄筋は、元々真っ直ぐです。しかし、配筋するとき鉄筋を折り曲げて定着させることや、フックを付けて付着力を高めることを行います。
このフックは、適当に曲げていいわけではありません。折り曲げ方や、折り曲げ半径などの規定があります。また、各部材に定着するときの折り曲げ方の規定など、様々な約束事があります。今回は、そんな鉄筋のフックについて説明します。
※定着の意味、定着長さは下記が参考になります。
鉄筋の定着とは?定着長さ・L2の意味とアンカーボルトとの違い
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鉄筋の折り曲げとは、元々真っ直ぐな鉄筋を折り曲げることを言います。
「鉄(鋼)ってそんな簡単に曲がるの?」と思うかもしれません。
しかし細い鉄筋になると10mmほどの径です。
その細い鉄筋が、数メートルもの長さで配筋されます。
イメージですが、針金のように簡単に曲がります。
では、なぜ鉄筋を折り曲げるのでしょうか。鉄筋は定着させるとき、直線で定着させるより、折り曲げて定着するほうが有利です。折り曲げた部分を「フック」と言います。
イメージとしては、折り曲げた部分が引っ掛りとなって、コンクリートと鉄筋との付着性が向上します。鉄筋を折り曲げてコンクリート内に定着させることで、性能がアップするわけです。
※定着の意味は下記が参考になります。
鉄筋の定着とは?定着長さ・L2の意味とアンカーボルトとの違い
さて、「鉄筋は細くて曲げやすい」と書きましたが、だからと言って適当に曲げていいわけではありません。鉄筋のフックには、大きく分けて下記の3つの種類があります。
・180°フック
・90°フック
・135°フック
上記の折り曲げ角度により、余長(鉄筋を折り曲げた後の直線部長さ)が異なります。
※余長の意味は下記が参考になります。
また、折り曲げ直径は鉄筋径により規定されています。下表をみてください。
折り曲げ直径とは、上表の図に示している「D」の値です。
なぜ、鉄筋径で折り曲げ直径が違うのでしょうか。
それは、太い鉄筋になればなるほど、「曲げにくくなる」からです。
折り曲げる直径が小さいほど鉄筋は曲がりにくくなります。
逆に、折り曲げる直径が大きいほど鉄筋は簡単に曲がります。
これは感覚的に理解できるでしょう。
以上のように示した鉄筋の折り曲げ角度は、各部材の定着長さや鉄筋の加工で使い分けされています。
下記に示す通り、各部材の鉄筋の折り曲げ加工は異なります。ここでは代表的な部材の鉄筋のフックについて説明しましょう。
柱の主な鉄筋は、主筋とフープです。まず主筋は、柱の頂部(端部)で、180°フックを付けます。下図をみてください。
これは柱の頂部を示した断面図です。主筋に180°フックが付けられていますね。建築基準法では、柱の四隅は最低限上図のようなフックを設ける決まりです。
※主筋は下記が参考になります。
主筋とは?1分でわかる意味、読み方、役割、各部材の主筋、配力筋との違い
次にフープについてです。フープは、元々直線だった鉄筋を下図のように加工します。フープの形状は、色々ありますが下図が基本です。
ご覧の通り、鉄筋の始端と終端で135°フックを設けます。この角度以外を認めている例は、少ないです。フープ(帯筋)の特徴は下記が参考になります。
帯筋とは?1分でわかる帯筋の意味、読み方、役割、間隔、帯筋比との関係
大梁の端部筋は必ず柱へ定着させます。このとき、フックを付けますが、下図のように90°の折り曲げ加工を行います。
折り曲げることで、必要な定着長さを確保しています。これは上下の鉄筋に共通しています。ちなみに下端筋は上下のどちらに定着させても問題ありません。
※大梁、下端筋は下記が参考になります。
上端筋とは?1分でわかる意味、読み方、スラブ筋の上端筋と下端筋
スタラップの形状は下図となります。これも一本の鉄筋を折り曲げてつくります。フープと同じように、始端と終端には135°のフックを設けます。
スタラップ(あばら筋)は下記が参考になります。
あばら筋とは?梁のせん断補強筋の役割・間隔・あばら筋比を解説
スラブ筋は梁筋や柱筋に比べて、直線部分が多い鉄筋です。しかし、鉄筋を直線で引きとおせない場合や、スラブの端部にある梁には鉄筋を折り曲げて定着します。下図をみてください。
スラブ筋は上の鉄筋を梁に定着させるために、90°に折り曲げ加工を行います。一方、下端筋は直線定着するため、折り曲げ加工は行いません。
その理由ですが、端部に作用する応力は上端筋で処理します。このとき、下端筋は曲げ応力に対しては全く必要ではありません。そのため下端筋は、梁に必要以上の定着させる必要がないのです。
※スラブは下記が参考になります。
スラブとは?意味・特徴・種類・遮音性・土間との違いをわかりやすく解説
混同しやすい用語
「180°フック」と「90°フック」
180°フックは鉄筋を180°折り曲げたフックで、最も定着効果が高い。
スターラップや帯筋の端部に使われる。
「標準フック」と「L字フック」
標準フックは構造規準で定められた折り曲げ形状で、折り曲げ直径や余長が規定されている。
L字フック(90°)は柱・梁の端部などに使用される。
鉄筋のフックの種類と使用部位を整理した表を示します。
| フックの種類 | 主な使用部位 | 特徴 |
|---|---|---|
| 180°フック | 柱の主筋頂部 | 付着性が最も高い。柱四隅は必須 |
| 90°フック | 大梁端部・スラブ上端筋 | 柱・梁への定着長さを確保 |
| 135°フック | フープ(帯筋)・スタラップ両端 | 始端・終端に用い、せん断補強に有効 |
今回は、鉄筋の折り曲げについて説明しました。折り曲げ方にも決まりがあり、適当に仕事をしていいわけではありません。細かい規定ですが、配筋詳細図を描くときなど必須の情報です。鉄筋の定着と共に覚えておきたい仕様ですね。下記も参考になります。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
鉄筋のフックは定着長さを短縮したり引張力の伝達を確保するために用います。
折り曲げ直径(内法)が小さすぎるとコンクリートの割れの原因となるため、規準値(D≧4d等)を守る必要があります。