この記事の要点
免震構造の原理は固有周期を意図的に長くして応答加速度を低減することであり、応答スペクトルで確認すると周期が長いほど加速度は下がるが変位は増大する。
十分な変形能力と減衰性能を持つ免震装置・ダンパーの組み合わせが実用化の鍵であり、特に長周期地震動への対応が課題として残る。
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免震構造を振動論にもとづいて概説せよ
解答例
免震の原理を地震応答スペクトルや固有周期の式を用いて考えてみよう。通常の鉄筋コンクリート造の中低層建物は、剛性が高く、
したがって、周期が短いので建物に入力する加速度は大きいが、変位は小さくなる。これは、固有周期を求める式からも確認することができ、固有周期の式は、
T=2π/w
である。ωは固有円振動数である。
固有円振動数は、剛性を質量で除したものをルートした値であり、この剛性は、次の式で表すことができる。
k=P/δ
ここで、Pは外力、δは外力による変位である。
例えば、今までの演習問題で扱った1質点系のモデルを考えると、
δ=Ph3/12EI
k=12EI/h3
となる。この式からわかるように、構造物の高さが剛性に大きな影響を及ぼしており、構造物が低ければ剛性は高くなり、逆の場合では剛性が低くなることが確認できる。
さらに、固有周期の式ではwの値が大きくなると周期が長くなることが分かる。
免震の原理は、地面と構造物を切り離し地震動を直接構造物に伝えないようにする技術であり、
これは構造物への入力地震動が低減されるということであり応答加速度が低減される。
しかし、変位応答スペクトルを確認すると、周期が長くなると応答変位は大きくなる傾向がある。
実際の記録地震波であるEl CENTRONSの応答スペクトルを確認すると、周期を長くのばすことにより応答加速度が激減するが、逆に、応答変位は多くなる。
免震構造の大きな目的は、建物の入力加速度を低減し、上部構造や内部機器の安全性を確保するとこにある。
したがって、十分な変形能力を確保できる免震装置とダンパーを開発することが実用化のカギとなっている。
混同しやすい用語
免震構造
地盤と建物の間に免震装置(積層ゴムなど)を設け、地震動を建物に伝えにくくする構造。固有周期を長くすることで応答加速度を低減する。
制震構造がダンパーを建物内部に設置して振動エネルギーを吸収するのに対して、免震構造は地震動そのものを建物に入力させないことを主目的とする。
応答加速度と応答変位
応答加速度は固有周期が長いほど小さくなり、免震によって入力地震力を低減できる。
応答変位は固有周期が長いほど大きくなるため、免震層に大きな変形を許容する装置設計が必要になる。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では「免震構造は固有周期を長くする」「長周期地震動には不利になることがある」という特徴が正誤問題として出題される。
応答スペクトルで「加速度は周期が長いほど低下、変位は増加」という傾向を図とセットで理解しておくと免震設計の概念が整理できる。