建築学生が学ぶ構造力学

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演習問題-梅村スペクトル-

この記事の要点

梅村スペクトルとは日本の地震動特性に基づいた応答スペクトルで、固有周期T≦0.5(s)のとき応答変位SD=90T2KG(KGは地盤係数)で表され、水平剛性kを1/2・質量mを2倍にすると固有周期T=2π√(m/k)は2倍になり、SDは4倍になる

1質点系の固有値解析でT=2π/ω(ω=√(k/m))を求めた後、梅村スペクトルのSDの式に代入することで、剛性・質量の変化に伴う応答変位の変化を定量的に評価できる。

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1質点系モデルの固有値解析を実施し、固有周期を確認せよ。

また、水平剛性と質量を1/2倍、2倍と変化させた場合の周期の変化をみよ。

ただし、梅村スペクトルを用いた場合を示せ。


例題のモデル

・解答例
前問の結果より固有周期は次の値が分かっている。


T=2π/w=2π/36.61=0.17(s)
T<="0.5(s)を用いた応答変位に関する梅村スペクトルの式は
SD=90T2KG

である。

この式は水平剛性と質量を考慮すると次の式で与えられる。


水平剛性と質量を考慮した式
さて、水平剛性と質量が1/2倍 , 2倍のときに上述に示した式は
水平剛性と質量を考慮した式2
となる。

よって、

S'D/SD=4

であることから、求める応答変位は4倍されることが分かる。

ここで、SDとkGの値を与えて水平剛性と質量が変化したときのTを求めてみよう。

kG=0.2とすれば応答変位は

SD=90×0.22×0.2=0.52(cm)

4SD2.08(cm)=90×T2×0.2

T=0.339≒0.34(s)
となる。

以上のように梅村スペクトルによる応答変位の関係を用いて固有周期を求めた。

混同しやすい用語

梅村スペクトル(設計用応答スペクトル)と固有値解析

梅村スペクトルはSD=90T2KGなどの式で地震時の最大応答変位を固有周期Tの関数として直接求める設計用ツールであり、時刻歴解析を行わずに応答推定ができる。

固有値解析はω=√(k/m)からT=2π/ωを求める手続きであり、梅村スペクトルへの入力値となる固有周期Tを算出するために先に行う必要がある。

水平剛性kと固有周期T・応答変位SDの関係

固有周期T=2π√(m/k)であるため、kを小さく(m/kを大きく)するとTは長くなり、SDはT2に比例して大きくなる。

質量mを大きくした場合も同様にTが長くなりSDが増大するが、SDの式にはm自体が現れないため、TとkG・SD値の整合を確認する計算手順が重要になる。

梅村スペクトルを使った応答変位 計算例

条件
質量 m50,000 kg
剛性 k1,250 kN/m = 1,250,000 N/m
固有周期 T = 2π√(m/k)T = 2π√(50,000/1,250,000) = 2π×0.2 ≒ 1.257秒

梅村スペクトルによる最大応答変位(T≒1.0〜2.0秒の場合):

SD ∝ T(固有周期に比例)→ T=1.257秒のとき SD ≒ T×(最大速度スペクトル)/(2π)

例:最大速度スペクトル Sv=50cm/s(= 0.5m/s)の場合:SD = T×Sv/(2π) = 1.257×0.5/(2π) ≒ 0.100m = 10cm

パラメータ変化と応答変位の関係 比較表

変化固有周期 T の変化応答変位 SD の変化
剛性 k を 1/2 倍にするT → √2倍(約1.41倍)SD → √2倍(約1.41倍)
質量 m を 2 倍にするT → √2倍(約1.41倍)SD → √2倍(約1.41倍)
剛性 k を 4 倍にするT → 1/2倍SD → 1/2倍

よくある誤解

一問一答

Q. m=40,000kg、k=1,000kN/mの1質点系の固有周期Tは?

A. T=2π√(40,000/1,000,000)=2π√0.04=2π×0.2≒1.26秒

Q. 剛性kを4倍にすると固有周期Tと応答変位SDはどう変わるか?

A. T=2π√(m/4k)=T?/2(半分に短縮)。速度スペクトル支配域ではSD∝T なのでSD→SD?/2(半分に減少)

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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