建築学生が学ぶ構造力学

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耐震設計でのモデル化と一質点系

この記事の要点

耐震設計では建物をせん断質点系にモデル化し、床に重量を集中させた剛床仮定のもとで振動方程式を立てる

一質点系は床(団子)が1つのモデルで計算が単純なのに対し、多質点系は複数の床を持つ実際の多層建物の解析に用いられる。

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耐震設計の基礎では、まず一質点系の振動方程式を勉強します。

その第一歩として対象とする建物をモデル化を考えてみましょう。

一般的に建設構造物 はせん断質点系と呼ばれるモデル化が行われます。

具体的な説明は以下のようになっています。



・せん断質点系
初めに説明したように、モデル化では串団子のような重量を質点に集中させます。

通常、建物の床は面内剛性が高いとされているので 床の変形は一定とします。

この仮定を剛床仮定と呼びます。

さらに、床は他の部材に比べて考えると重量が大きいので、そこに重量が集中している と考え、このようなモデル化をせん断質点系と呼びます。


せん断質点系モデル せん断質点系モデル2


で、一質点系とは、団子が一つの状態です。団子が二つ以上のものは多質点系と 呼んでいます。 以上のようにモデル化すると解析上、計算が簡便なことや精度もそこそこ良いです。

混同しやすい用語

一質点系

建物を1つの重量(質点)と1本のバネ(剛性)に置き換えたモデル。

1層建物や単純な解析に使われる。

多質点系が各階の重量と剛性を個別に考慮するのに対して、一質点系は建物全体を1つの振動体として扱う簡略モデルである。

せん断質点系と剛床仮定

せん断質点系は床に重量を集中させ、柱をバネとして扱う耐震解析の標準的モデル化手法。

剛床仮定とは「床の面内変形は無視でき一様に変位する」とする仮定であり、これにより各柱の変位が等しいとして計算を簡略化できる。

一質点系モデルの具体例

1階建て(1層)の鉄筋コンクリート建物をモデル化する例を示します。

モデル化パラメータ意味
床重量 W3,000 kN質点に集中する重量
質量 m = W/g306 t(≒3000÷9.8)固有周期の計算に使用
水平剛性 k3.0×10? kN/m柱全体のバネ剛性
固有周期 TT=2π√(m/k)≒0.63s耐震設計の基本量

一質点系と多質点系の比較

項目一質点系多質点系
モデルのイメージ団子1個団子が複数(串団子)
用途1層建物・簡略解析多層建物・精密解析
固有振動モード1つ層数と同数
計算難易度低(手計算可)高(行列解析が必要)

よくある誤解

一問一答

Q1:せん断質点系モデルで「剛床仮定」とは何か?

A1:各階の床の面内変形を無視し、同じ階の節点はすべて同じ水平変位をするとみなす仮定です

Q2:一質点系と多質点系の違いを一言で言うと?

A2:質点(重量の集中点)の数が1つか複数か、すなわち「串団子の団子の数」の違いです

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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