この記事の要点
高力ボルト摩擦接合とは、ボルトの締め付け張力による接合面の摩擦力で荷重を伝達する接合方法であり、すべり・支圧・引張を個別に検討する。
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高力ボルト摩擦接合とは、高力ボルトに大きな張力Tを与えることで板同士を強く圧縮して(要するに板を締め付けて圧着させる)、板の接合面に強力な摩擦力Tuを発生させることで、板同士を一体化させる接合方法です。
「高力ボルトに大きな張力(引張力)を与えること」がなぜ板を圧縮することになるか疑問に思う方も多いようです。これは力のつり合いによるためです。物体が静止するとき必ずある方向ごとの力は釣り合います。ある部分に引張力が作用すれば、他の部分に圧縮力が作用してつり合い、見かけ上、全く力が作用していない状態(静止した状態。∑H=0、∑V=0、∑M=0)になります。接合部でも同様です。ボルト軸に引張力を与えた場合、この引張力と釣り合うために「ナット、ワッシャーを介して鋼板に圧縮力が作用する」のです。
上図の記号を用いて具体的に摩擦接合の力のメカニズムを解説しましょう。高力ボルト軸を張力Tで引っ張ると、鋼板の接合面(接触面)には、ナット、ワッシャーを介してTとつり合う圧縮力Cが作用します。このとき鋼板の接触面には鋼板に作用する圧縮力に伴い「摩擦力(摩擦抵抗力)Tμ」が生じます。摩擦力は鋼板を圧着させる力の大きさ(圧縮力の大きさ)に比例して大きくなります。
摩擦力をイメージできない方は、手のひらを机に押さえつけて横にずらしてみてください。押す力が強いほど手を横に「動かしづらく」なりますね。また、手のひらに生じた摩擦力の通り、摩擦力Tμは接触面全体(手のひら全体)に生じます。
なお、摩擦力Tμは摩擦係数μの大きさも影響します。摩擦係数とは、摩擦面(接合面)のザラザラ具合を示す値と考えてください。摩擦係数μが大きいほど摩擦面はザラザラで摩擦力は大きくなります。
以上より、鋼板を強く圧縮することで接合面に摩擦力が生じ、鋼板は横に全く動かなくなります。鋼板を横方向に外力Pで引張ると、接触面にはPとつり合う摩擦力Tμが抵抗力として生じるのです。
こちらは僕も1冊持っている鋼構造の本です。内容が分かりやすく、学生と実務初心者にもおすすめです。
上記の原理で、高力ボルトの摩擦接合は行われています。次に、高力ボルト摩擦接合部の許容耐力を解説します。
以上、摩擦接合の原理と、摩擦接合の許容耐力について述べました。原理は以外と簡単ですよね。
摩擦力はボルト軸力と摩擦係数で求められ、許容耐力は次の式で示されます。
以上の式で、Sf:許容摩擦耐力、r:安全率、m:摩擦面の数、μ:摩擦係数、T0:設計ボルト張力となります。また、施工で適切なボルト軸力が得られるように、現場では
「標準ボルト張力」を用います。標準ボルト張力は、設計ボルト張力を1.1倍した値となり、ここでも安全側の設計となるように工夫されているわけです。
以上、摩擦接合の原理と、摩擦接合の許容耐力について述べました。原理は以外と簡単ですよね?鋼構造で、設計に用いる設計または標準ボルト張力の表などは、本等を参考にしてください。
混同しやすい用語
支圧接合
ボルトと孔壁の接触(支圧)によって荷重を伝達する接合方法。摩擦接合とは異なり、ボルト軸部が孔壁に直接接触して力を伝える。
引張接合
ボルトを軸方向に引張る形で荷重を伝達する接合方法。摩擦接合は板面に平行な力を摩擦で伝えるのに対し、引張接合はボルト軸方向の力を伝える。
高力ボルト摩擦接合を整理した表を示します。
| 項目 | 摩擦接合 | 支圧接合 |
|---|---|---|
| 力の伝達 | 接合面の摩擦力 | ボルトと孔壁の接触 |
| 摩擦係数 | μ=0.45 | 規定なし |
| すべり | すべり耐力以内で設計 | 変形を伴う |
今回は高力ボルト摩擦接合について説明しました。高力ボルト摩擦接合とは、高力ボルトに大きな張力を与えることで板同士を強く圧縮して(要するに板を締め付けて圧着させる)、板の接合面に強力な摩擦力を発生させることで、板同士を一体化させる接合方法です。高力ボルトの意味、摩擦接合と支圧接合の違いなど下記も勉強しましょう。
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試験での問われ方|管理人の一言
試験では、高力ボルト摩擦接合のすべり耐力の計算式(μ×N×本数)と、摩擦係数0.45、締め付け軸力の値が問われやすい。