この記事の要点
鋼材の規格値(降伏点・引張強度)が本当に満足されているかどうかは、引張試験で確認します。設計で使う材料特性値が実際の試験結果に基づいていることを理解しておくと、構造設計の信頼性に対する理解が深まります。
この記事では、引張試験の目的・手順と、応力-ひずみ曲線から読み取る各特性値の意味を解説します。
建築では、鋼の引張試験が有名です。
この記事では、引張試験とは何か、目的はどこにあるのか、降伏点・伸びはどう確認するのかを整理します。
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引張試験とは、材料に引張力を加え、材料の性質を確認する試験です。
建築では、鋼の引張試験が有名です。
建築学科の授業で必ず行う試験ですね。
今回は、引張試験の目的、降伏点、伸び、考察方法、試験片の形状について説明します。
※引張試験を行うと、応力ひずみ曲線が得られます。
材料の性質を把握する大切なグラフです。
下記が参考になります。
応力ひずみ線図とは?ヤング率との関係・見方と材料別の特徴(鋼材・コンクリート・脆性材料)
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引張試験は、材料に引張力を加え、材料の性質(主に力学的性質、機械的性質)を確認する試験です。金属材料の引張試験は、JIS規格(JIS Z 2241)に定められます。
下図をみてください。引張試験片を試験機にセットし、あとは所定の速度で増分の引張荷重を作用させます。試験は、一般的に破断するまで行います。
私は学生の頃、研究で引張試験をよく行っていました。思い入れの深い試験です。
引張試験の目的は、引張力に対する特性(性質)を把握することです。具体的には下記などです。
私が試験した頃は、上記はもちろんですが、破断状態の写真を必ず撮りました。破断状態(壊れ方)から、試験体の耐力が想定できるからです。
JISに基づいた引張試験では、降伏点が下記の通り定義されています。
降伏点(降伏応力)⇒ 金属材料が降伏現象を示すときに、試験力の増加が一切ないにも関わらず試験中に塑性変形が生じる応力。
降伏点については下記が参考になります。
降伏点とは?1分でわかる意味、求め方、SS400の値、単位、引張強さ
また降伏点には、上降伏点と、下降伏点があります。下記が参考になります。
応力ひずみ線図とは?ヤング率との関係・見方と材料別の特徴(鋼材・コンクリート・脆性材料)
JISに基づく引張試験では、色々な伸びが定義されます。伸びの定義を下記に整理しました。
伸びについて、分かりやすい説明は下記に整理しました。
材料の伸びとは?計算式・絞りとの違いと建築鋼材の延性確保基準
なお、原標点距離とは
です。下図をみてください。試験片は、試験をする前に2つの印を付けます。印間の距離が、原標点距離です。
引張試験から、色々なことが分かります。引張試験の目的と重複しますが、下記に整理しました。
伸び、ひずみも上記と同様に、理論との違いを把握しましょうね。また、破断状態などを見て、「なぜこのような壊れ方か?」考えてくださいね。
引張試験片は下図の形状です。
引張試験片は、必ず「掴む部分」があります。試験片を掴んだ部分が損傷し、先に降伏、破断しては試験の意味がありません。
よって掴み部が先に降伏、破断しないよう、大きい断面とします。
混同しやすい用語
降伏点(こうふくてん)・降伏応力度(こうふくおうりょくど)
引張試験で材料が弾性変形から塑性変形に移行する点の応力度のことです。
引張強さ(最大応力度)より低い値で、設計では降伏点(F値)を基準に許容応力度が決まります。
引張強さ(ひっぱりつよさ)
引張試験で試験片が破断する直前の最大応力度のことです。
降伏点より大きい値であり、許容引張応力度は降伏点をもとに設定するため、引張強さと混同しないよう注意が必要です。
伸び率(のびりつ)・絞り(しぼり)
引張試験で得られる材料の延性を示す指標です。
伸び率は破断後の試験片の伸び、絞りは断面積の減少割合を示します。
強度指標である降伏点・引張強さとは異なり、変形能力を評価する量です。
引張試験を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 降伏点 | 材料が弾性変形から塑性変形に移行する応力 | F値の基準 |
| 引張強さ | 試験片破断直前の最大応力度 | 降伏点より大 |
| 伸び率 | 破断後の試験片の伸びを原長に対する百分率で示す | 延性の指標 |
今回は引張試験について説明しました。意味が理解頂けたと思います。引張試験の目的を理解してくださいね。また引張試験で得られる降伏点、引張強度、応力ひずみ曲線などは大切なので是非覚えてください。下記の記事が参考になります。
降伏点とは?1分でわかる意味、求め方、SS400の値、単位、引張強さ
応力ひずみ線図とは?ヤング率との関係・見方と材料別の特徴(鋼材・コンクリート・脆性材料)
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