この記事の要点
材料の伸び(elongation)とは、引張試験で破断した後の標点距離の増加量を元の標点距離で除したもの(%表示)です。
延性の指標として使われます。
絞り(断面収縮率)との違い・建築用鋼材(SS400・SN490等)の伸び規格値(最低15?20%)と、延性確保が耐震設計で重要な理由を解説します。
よく伸びる材料(延性材料)は地震力を効果的に吸収できるため、構造材料として重要な特性である。
この記事では、材料の伸びとは何か、絞りとどう関係するのか、材料の伸びはどう計算するのかを整理します。
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伸びとは、材料に引張力を加えたときの、材料の変形量をいいます。また、材料の伸びと、材料の元の長さの比率をひずみといいます。今回は、材料の伸びの意味、定義、計算、必要性、絞りとの関係について説明します。ひずみについては、下記が参考になります。
ひずみ・ひずみ度とは?意味・公式(ΔL/L)・単位・応力との関係を解説
また、材料の伸びは、鋼材の応力ひずみ曲線で上手に説明できます。下記も参考になります。
応力ひずみ線図とは?ヤング率との関係・見方と材料別の特徴(鋼材・コンクリート・脆性材料)
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伸びとは、材料に引張力を加えたときの変形量です。下図をみてください。鋼材を引っ張ると、元の長さに比べて少し伸びます。
元の長さをL、伸びた変形量をΔLとするとき、ΔLを「伸び」といいます。また、ΔLとLの比率は、ひずみです。ひずみは、下記が参考になります。
ひずみ・ひずみ度とは?意味・公式(ΔL/L)・単位・応力との関係を解説
伸びの定義は、引張力を加えたときの変形量です。伸びは、引張試験で実験的に求めることができます。また、計算で確認可能です。鋼材は、降伏するまでは力と変形が比例関係にあります。
これをフックの法則といい、下式で表します。
Pは引張力、kは剛性、δ伸びです。※フックの法則は下記が参考になります。
よって、伸びは
で計算できますね。また、応力とひずみの関係、ひずみなどの式を組み合わせると、伸びは下式で計算できます。
Pは引張力、Lは元の部材長さ、Eはヤング係数、Aは断面積です。上式の導出は、下記の記事で説明しています。
剛性とは?変形しにくさの意味・強度との違い・計算式・単位を解説
鋼材はよく伸びる材料です。荷重を加えて破断するまで、よく伸びます。「よく伸びる」ときくと、欠点のように思いますが、実は利点です。
よく伸びる材料は、地震力などを効果的に吸収できるからです。伸びのある材料を、「延性」とか「靱性」のある材料といいます。詳細は下記が参考になります。
延性とは?靭性・脆性との違いと延性破壊・DS値(構造特性係数)への影響
靱性(じんせい)とは?意味・靭性のある材料と建物の耐震性・脆性との違い
逆に、伸びが少なくてすぐに破断する材料を、脆性材料といいます。下記が参考になります。
建築物は、震度6強などを想定して設計されます。この大地震時に、地震力を効果的に吸収できる延性材料(靱性材料)を使います。
伸びと似た用語に、絞りがあります。建築では、鋼材の板厚方向の延性を示す用語です。例えば、SN400CやSN490Cなど「C」のつく材料は、絞り値が規定されます。絞り値については下記が参考になります。
板厚方向とは?1分でわかる意味、絞り値、ラメラテア、引張力との関係
混同しやすい用語
絞り
鋼材の板厚方向の延性を示す値で、SN400CやSN490Cなど「C」のつく材料に規定される。
伸びが引張方向の変形量を表すのに対して、絞りは断面の縮小量(板厚方向の変形性能)を示す点で異なる。
ひずみ
伸び(変形量ΔL)を元の長さLで割った無次元の比率。
伸びが絶対的な変形量であるのに対して、ひずみは相対的な変形の度合いを示す。
材料の伸びを整理した表を示します。
| 項目 | 延性材料 | 脆性材料 |
|---|---|---|
| 伸び | 大きい(よく伸びる) | 小さい(すぐ破断) |
| 地震への対応 | エネルギーを効果的に吸収 | 吸収能力が低い |
| 代表材料 | 鋼材 | コンクリート・鋳鉄 |
今回は、伸びについて説明しました。
意味が理解頂けたと思います。
伸びの定義、計算法を理解してくださいね。
また、伸びのある材料は、延性のある材料です。
それが利点だと覚えてください。
建築で使う構造材料は、ほとんどが延性材料です。
下記も併せて学習しましょう。
剛性とは?変形しにくさの意味・強度との違い・計算式・単位を解説
延性とは?靭性・脆性との違いと延性破壊・DS値(構造特性係数)への影響
靱性(じんせい)とは?意味・靭性のある材料と建物の耐震性・脆性との違い
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では「延性材料は地震力を効果的に吸収できる」という概念と、伸び・靭性・脆性の関係が問われる。
SN材のCグレードに絞り規定がある点も出題される。(一級建築士 頻出:延性材料の地震力吸収能力・伸び・靭性・脆性の関係とSN材Cグレードの絞り規定が繰り返し出題)