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結論からいうと、建物の上階に行くほど地震層せん断力係数の値は「大きく」なります。逆に、1階の地震層せん断力係数の値は最も小さくなります。
地震層せん断力係数は下式で求めます。
Zは過去の地震記録に基づいて地域ごとに設定される係数です。0.7~1.0の幅があり、単純に言うと、地震の多い地域は1.0で少ない地域1.0未満が設定されます。Rtは建物の固有周期と、地盤の種別に応じて設定される値です。
地震層せん断力係数が上階にいくほど大きく、下階にいくほど小さくなる理由は、地震層せん断力係数を決定する高さ方向の分布であるAiが影響します。Aiは下式で計算します。
Tは建物の設計用1次固有周期、αiはi階より上の部分の建物重量と、地上部分の建物重量の比です。地上部分(1階)には、それより上の階の重量が積み重なるため「建物の全重量」が作用します。よって、Wは地上部分の建物全重量、Wiはi階より上の部分の建物重量です。
αiの考え方を上図に示します。ごく単純にいうと、通常、ある階の建物重量は上階にいくほど小さくなり、下階にいくほど上階の重さが加わるので建物重量は大きくなります。よって下図の例におけるαi、Wの関係は
となるのです。もう一度、地震層せん断力係数の高さ方向の分布Aiをみてください。
Tが一定値の場合、αiが小さくなるほどAiが大きくなることが分かります。たとえば、αi=0.5、αi=1.0、T=0.3としてAiを計算します。
以上より、上階にいくほどAiは大きくなり、地震層せん断力係数も大きい値となるのです。
今回は、地震層せん断力係数について説明しました。結論からいうと、建物の上階に行くほど地震層せん断力係数の値は「大きく」なります。逆に、1階の地震層せん断力係数の値は最も小さくなります。地震層せん断力係数の詳細は下記も参考になります。
地震層せん断力係数とは?1分でわかる意味、上層、ベースシア係数、地震力との関係
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