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偏心率とは、建物の平面的な剛性(かたさ)の偏りの程度(バランス)を表す値です。
偏心率は、建物の重心(重さの中心)と剛心(かたさの中心)のズレ(偏心距離)が影響します。具体的には
となります。
上図のように重心と剛心のずれが無ければ、地震力による各柱の変形量、作用する力は均一です。
一方で下図のように、偏心がある場合、地震力により建物には「ねじれ」が生じます。
ねじれが生じると、地震力による変形量、力が一部に集中するため注意が必要です。
今回は
について説明します。偏心率の算定方法は下記をご覧ください。
偏心率の計算方法は?5分でわかる式、建物の重心、剛心の求め方、弾力半径、ねじり剛性の算定
偏心率とは、建物の平面的な剛性(かたさ)の偏りの程度(バランス)を表す値です。
上図のように
が偏心率に影響します。具体的には
となります。
偏心率に関する重要項目は下記の通りです。
上記について、それぞれ解説します。
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前述したように、偏心率は耐震要素(壁、柱)がバランスよく配置されているかチェックする指標です。
偏心率は、値が大きければ大きいほどバランスが悪い結果となります。逆に値が小さい、0に近づくほどバランスが良い建物です。
"偏心率"と聞くと難しそうですが、要するに
表すのです。
たとえば、下図に示す建物は柱断面が均一で、壁も東西南北で均等配置されています。
よって、耐震要素(かたさ)のバランスも均一で、剛心は建物の中央付近に位置します。建物の重量に偏りが無ければ重心も建物中央に位置するので
となり、偏心率はゼロに近づきます。
下図の建物では、柱断面は均等ですが、壁厚が東面と北面の一部で大きくなっています。
その分、東面と北面では剛性(かたさ)が大きくなるため、剛心も東側と北側に移動します。
重心は真ん中にあるため、剛心と重心にズレが生じており「偏心率が大きく」なります。
以上の通り、後述する偏心率の計算をしなくても
をみてやれば、偏心率の大小は想定できます。当然、耐震要素のバランスが悪い(偏りが大きい)方が、偏心率も大きくなります。
なお、偏心率はX方向(東西方向)とY方向(南北方向)は別々に評価します。
偏心率は重心と剛心の位置が関係しますので、もう少し重心と剛心について解説します。
建物には、建物の重さの中心(重心位置)と、建物のかたさの中心(剛心位置)があります。
両者は、必ずしも一致しません。理由は、前述したように
からです。
一方で、一般に建物は「対称(シンメトリー)」な形状でつくることが多いので、重心位置は概ね建物の中心になります。
もちろん、建物の計画が対称でない場合や重量の配置に偏りがある場合(たとえば、居室の用途が対称配置でない等)は、重心は建物の中心にはならず
します。
さて、重心と剛心のズレが大きい(偏心率が大きい建物)場合、建物に地震力が作用すると「ねじれ」が生じます。
重心は重さの中心なので、慣性力である地震力は"重心に作用"します。一方で、剛心はかたさの中心で、外力を受けた時に「地震力に抵抗する点(支点)」です。整理すると
です。つまり、外力の作用点と支点の位置がずれているため
のです。すなわち「ねじれ」が生じます。
上図の通り、ねじれは建物の一部に変形や力が集中して過大になるため構造部材には余計に負担が生じます。よって、できるだけ建物がねじれない(偏心率が小さい)設計が望まれます。
逆にいうと、重心位置と剛心位置が一致すれば、ねじれることもありません。
ですから、偏心率はなるべく小さくする方が得策です。つまり構造部材はバランスよく配置します。※重心位置の計算、重心と剛心の関係は下記もご覧ください。
建物の重心の求め方は?3分でわかる意味、計算方法、偏心率との関係
重心と剛心の距離の関係は?1分でわかる意味、偏心距離eの求め方は?
建築基準法施行令の令第82条の6第二号ロでは、偏心率Reの計算方法が明記されています。
x方向、y方向の弾力半径(rex、rey)の計算式は下記の通りです。
偏心距離eは重心と剛心との間の距離です。
下図のように、耐震要素の配置、量、長さなどに偏りがある(バランスが悪い)と、偏心距離も大きくなり、ねじれが生じやすいです。
重心の計算は下式で行います(略算)。
各部材に作用する軸力をN、座標軸から各部材中心までの距離をX、Yです。
難しそうに見えるかもしれませんが、式の内容は「各モーメントの和=合力×距離(座標軸から合力作用点までの距離)」より、合力の作用点までの距離(重心)を求めているだけのことです。
なお、座標軸の原点は建物の左隅とします(どこでも良いが計算が簡単となるため)。
上記の計算における軸力Nは、各階において鉛直力を支持する柱等の構造耐力上主要な部材に生じる長期荷重による軸力です。
また、長期荷重とは、各階の構造耐力上主要な部分が支える固定荷重および積載荷重(多雪区域にあっては、固定荷重、積載荷重および積雪荷重)です。
なお、各階ともに、固定荷重、積載荷重等が平面的に偏りなく一様に分布している場合には、重心は図心とおおむね一致します。
剛心は下式で計算します。
上記は水平剛性の中心を計算する公式です。考え方は前述した重心の計算方法と似ていて、モーメントのつり合いを考えます。
ただし、モーメントの値は
で、上記を集計(∑K×X、∑K×Y)して、全体の水平剛性∑Kで割り算します。
以上、剛心の計算方法より
ことがわかります。
ねじり剛性KRは平19国交告第594号第5に規定される下式より求めます。
以上より、各値を計算して偏心率を求めます。より具体的な偏心率の計算方法は下記が参考になります。
偏心率の計算方法は?5分でわかる式、建物の重心、剛心の求め方、弾力半径、ねじり剛性の算定
偏心率は建物の耐震性を決定づける値ですから、建築基準法で規定が定められています。構造計算ルート1という規模の小さな建物では、偏心率Reは、
が義務です。
一方、ルート2やルート3の設計では偏心率に上限はありません。その代り、保有水平耐力計算で、必要保有水平耐力Qunに偏心率分余計に係数Fe(形状係数Fe)を掛けるのです。
つまり、『偏心した分、耐力がもっと必要になるよ』ということです。詳細は下記をご覧ください。
今回は、偏心率について説明しました。偏心率とは、建物の平面的な剛性(かたさ)の偏り(バランス)の程度を表す値です。
偏心率は構造部材のバランスであること、偏心率を小さくするほどバランス良い建物だと覚えてください。
また、建築基準法でルート1の建物は、偏心率Re=0.15以下に抑えることが義務で、ルート2、3では、別途建物の耐力に割増しが必要になります。
下記も併せて学習しましょう。
偏心率の計算方法は?5分でわかる式、建物の重心、剛心の求め方、弾力半径、ねじり剛性の算定
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