この記事の要点
弾力半径とは、建物のねじりにくさを距離で表した値です。
弾力半径は「ねじり剛性÷各方向の水平剛性の和」から求めます。
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
弾力半径とは、建物のねじりにくさを距離で表した値です。
弾力半径は「ねじり剛性÷各方向の水平剛性の和」から求めます。
なお、物理学で習う回転半径に対応する値です。
ある物体を回転させようとするとき、回転軸から物体の中心までの距離(回転半径)が大きいほど「物体は回転しにくい」と感じるはずです。
今回は、弾力半径の意味、定義と求め方、偏心率との関係について説明します。
偏心率の計算、慣性モーメントの詳細は下記が参考になります。
偏心率の計算方法は?5分でわかる式、建物の重心、剛心の求め方、弾力半径、ねじり剛性の算定
100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事
弾力半径とは、建物のねじりにくさを距離で表した値です。弾力半径の定義と求め方を下記に示します。Krはねじり剛性、Kx、Kyは部材の水平剛性です。
一見、よくわからない式に見えますが、弾力半径は物理学で習う「回転半径」に対応しています。また、ねじり剛性は断面極二次モーメントに対応します。
断面二次極モーメント(Ip)とは?長方形の公式・Ix+Iyとの関係
下図をみてください。ある物体について軸を中心に回転させようとします。
物体の質量m、物体の中心から回転軸までの距離(回転半径)をrとします。このときmとrの関係は、
I=mr^2
で表せます。Iを慣性モーメントと言い、回転を起こす力(M)とIの関係は、
M=Iθ''
です。※θ''(角加速度)は時間tでの2階微分。Iの値が大きいほどθ''は小さくなるのですなわち、回転しにくいことを意味します。
さて、Iの値はmとr^2の積です。回転半径rが長いほどIは大きくなるので、回転半径を大きくすれば回転しにくくなりますね。I=mr^2をr=の形に変形すると、
・r=√(I/m)
になります。建物の回転のしにくさは、ねじり剛性として与えられます。ねじり剛性とは、ねじりに対するかたさで、断面極二次モーメントが関係します。断面極二次モーメントIpは「Ix+Iy」のようにx方向とy方向の断面二次モーメントの和で求めます。
つまり、建物のねじり剛性は、x方向とy方向の「水平剛性×原点から部材芯までの距離の総和」の足し算から得られます(断面二次モーメントの定義式におけるA(dA)をKx、Kyとした値)。
偏心率は、偏心距離を弾力半径で割り算した値です。
偏心距離は「ねじれのしやすさ」、弾力半径は「ねじりにくさ」を表す値です。
よって、偏心率が小さい(偏心距離が小さい、弾力半径が大きい)方が、ねじれにくい建物ですね。
偏心率の計算は下記が参考になります。
偏心率の計算方法は?5分でわかる式、建物の重心、剛心の求め方、弾力半径、ねじり剛性の算定
混同しやすい用語
弾力半径
建物のねじりにくさを距離で表した値で、物理学の回転半径に対応します。
大きいほどねじれにくい建物です。
偏心距離
重心と剛心のずれ(距離)を表します。
ねじれのしやすさを示す値で、弾力半径と組み合わせて偏心率を計算します。
偏心率
偏心距離を弾力半径で割り算した無次元の値です。
0.15以下を目標とし、値が小さいほどねじれにくい建物です。
弾力半径を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 弾力半径の定義 | ねじり剛性÷各方向の水平剛性の和 | 建物のねじれにくさを距離で表す |
| 偏心率との関係 | 偏心率=偏心距離÷弾力半径 | 偏心率0.15以下が基準 |
| 弾力半径の意味 | 大きいほど建物はねじれにくい | 耐震設計で重要な指標 |
今回は、弾力半径について説明しました。
弾力半径とは、建物のねじれにくさを距離で表した値です。
よって、弾力半径が大きいほど「ねじれにくい建物」と言えます。
また、偏心率は「偏心距離÷弾力半径」で求めます。
偏心率の計算、偏心と重心、剛心の関係など下記も勉強しましょう。
建物の重心の求め方は?計算式・偏心率との関係と地震力への影響(モーメントのつり合い)
【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット
この記事の内容を○×クイズで確認する
この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。
意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
弾力半径に関する問題は建築士試験の構造分野で出題されます。
定義と計算の両面から理解しておきましょう。
試験では剛性率(各階の剛性の均一性)と偏心率(重心と剛心のずれ)の計算と判定基準が出題されます。
「剛性率:0.6以上」「偏心率:0.15以下」という基準値を理解し、計算の流れを整理しましょう。