この記事の要点
減衰とは、振動を弱める働きのことです。地震で建物が揺れても、時間の経過とともに揺れが小さくなるのは、建物自体に減衰の性質が備わっているからです。
減衰の大きさは減衰定数hで表されます。h<1(減衰振動)・h=1(臨界減衰)・h>1(過減衰)の3つの状態を区別して理解しましょう。
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減衰とは、振動を弱める働きのことです。建物は地震よって振動します。もし、減衰が無ければ、建物は振動しつづけるでしょう。
実際は、建物の揺れは時間の経過と共に小さくなります。これは減衰の効果です。今回は減衰の意味、読み方、減衰定数、減衰の対義語について説明します。
※建物の揺れ、地震の関係については下記の記事が参考になります。
減衰とは、振動を弱める働きのことです。地震などの「揺れる力」に対して、「抵抗する力」と考えてください。
地震が起きると、建物が揺れます。もし、減衰の作用が無ければ、建物の揺れは収まりません。
実際は、時間の経過と共に、揺れは小さくなります。これは建物自体に、揺れを「減衰させる」力が備わっているからです。
ただし、建物が揺れをどの程度「減衰させるか」は、厳密には分かりません。柱や梁など、部材の太さでも変わりますし、「人」にも減衰の作用があるからです。
振動方程式では、前述した振動の影響を考慮した式を組み立てることが可能です。下記の記事が参考になります。
では、なぜ減衰は揺れを小さくする作用があるのでしょうか。下記の理由があります。
・揺れのエネルギーが、部材内部の摩擦により熱や音エネルギーに変わるため
・揺れのエネルギーが、空気、液体などにより摩擦抵抗を受けるため
・部材の塑性化により、揺れのエネルギーが吸収されるため
制震(せいしん)の技術も、揺れのエネルギーを減衰により(油による抵抗など)吸収していますね。※制震の意味は、下記の記事が参考になります。
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減衰は、「げんすい」と読みます。
前述した、減衰を考慮した振動方程式を組み立てることで、「減衰定数」が導けます。減衰定数は、減衰の程度(大きさ)を表す値です。
減衰定数が大きいほど、より減衰の影響が強く、小さいほど「減衰の影響も小さい」です。
減衰定数hは、
h<1
h=1
h>1
で、揺れの性質が大きく変わります。例えば、h<1のときを「減衰振動」といいます。時間の経過と共に、徐々に振動が小さくなる現象です。
h>1のときを、「過減衰」といいます。減衰の力が大きすぎるため、振動が起きません。初期の最大変形の後、「揺れることなく」徐々に変形が小さくなります。
h=1を「臨界減衰」といいます。特殊な現象です。振動が起きず、すぐに変形が0になります。
減衰自由振動の方程式を組み立てると、理解が早いかと思います。
減衰の対義語は、増幅(ぞうふく)です。
混同しやすい用語
減衰(減衰振動、h<1)
建物の振動が時間とともに徐々に小さくなっていく状態です。建築物の多くはこのh<1(不足減衰)の状態で、振動しながら収束します。
臨界減衰(h=1)との違いは「振動するかどうか」です。h<1では振動しながら収束しますが、h=1では振動せず最短時間で変形が0に戻ります。
減衰定数(h)
減衰の大きさ(程度)を無次元で表した値です。h=c/2mωで定義され、建築物では通常0.02〜0.05程度の小さな値です。
粘性減衰定数cとの違いは「無次元化されているかどうか」です。cは物理的な減衰の強さ(N・s/m)、hは固有振動数・質量を用いて正規化した無次元の値です。
減衰を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| h<1(減衰振動) | 振動しながら時間とともに収束する | 建築物の通常状態。h=0.02〜0.05程度 |
| h=1(臨界減衰) | 振動せず最短時間で変形が0に戻る | 境界状態。実建物では稀 |
| h>1(過減衰) | 振動せず、ゆっくり変形が収束する | 減衰力が大きすぎる状態 |
今回は減衰について説明しました。減衰は、揺れを弱める働きのことです。
建築物には、揺れを弱める作用があります。また、減衰の力を利用した機構を「制震ダンパー」といいます。
減衰と減衰定数との関係も覚えておきましょう。下記の記事も参考になります。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
試験ではh<1(減衰振動)、h=1(臨界減衰)、h>1(過減衰)の3状態の違いが問われます。建築物は通常「h<1の減衰振動」という点を覚えておきましょう。
「減衰が大きいと揺れが速く収まる」は正しいですが、「h>1では振動しない」ことも押さえておきましょう。対義語の「増幅(ぞうふく)」との対比も整理しておくと良いです。