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ナット回転法をご存じでしょうか。高力ボルトの留め方の1つです。今回は、ナット回転法の施工方法や、特徴について説明します。ナット、トルクコントロール法の意味は、下記が参考になります。
ナットとは?1分でわかる寸法、絞め方、ボルトとの違い、ナットの向き
トルクコントロール法とは?1分でわかる意味、手順、トルク値、本締め
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ナット回転法とは、高力六角ボルトを締めるときの施工方法です。大きなトルクレンチ又は専用器具を使って、人力で高力ボルトを締めます。ボルトに所定の張力が入っているかどうかは、ナットの回転角により判断するため、「ナット回転法」といいます。
※高力ボルトは下記が参考になります。
現在、高力ボルト接合はトルクコントロール法が一般的です。トルクコントロール法は、専用の器具を使ってボルトを締めます。締め付けるトルク(ネジを締める力)により張力を監理するため、品質が安定しています。
余談ですが、トルクコントロール法は「トルシア型ボルト」という高力ボルトを使います。これはトルクコントロール法で締付けを前提に開発された高力ボルトです。JIS規格ではないですが、大臣認定を取得しています。所定のトルクが入ると、ピンテールがねじ切れる仕組みです。
そんなに便利なら全てトルシア型ボルトにして、トルクコントロール法にすれば良いじゃないか、と思いますよね。なぜナット回転法がまだ行われているのでしょうか。
それは未だに高力六角ボルトを使う機会があるからです。例えば外部に建てる鉄骨は亜鉛メッキをしますが、トルシア型ボルトに亜鉛メッキの仕様がありません。F8Tという、溶融亜鉛メッキを施した高力六角ボルトを使うため、トルクコントロール法では行えません。
※トルシア形ボルト、溶融亜鉛メッキは下記が参考になります。
トルシア形高力ボルトとは?1分でわかる意味、特徴、重量、長さ、メーカー
溶融亜鉛メッキとは?すぐに分かる特徴や規格、溶融亜鉛メッキボルト
ナット回転法の特徴を下記に示しました。
1つは、締付管理がトルクコントロール法に比べて簡単であることです。トルクコントロール法は、1次締めの前に締付トルクのキャリブレーション(締付トルクの確認)があります。この確認でNGなら、再度確認が必要です。
ナット回転法はこの工程が少ない分、締付管理が少し短いです。一方で、導入張力にバラつきがおきる可能性があります。特に、手動のトルクレンチを使う場合はナット回転の制御に注意すべきです。
実際私は、大学院生のとき高力ボルトの締付を頻繁に行っていました。締付機械は無かったのでトルクレンチを使って手動で締めます。1次締めをした後にマーキング、その後に本締めをします。所定の角度を満足するよう締めたつもりが、少し余分に締めることもありました。
簡単にナット回転法の施工方法を紹介します。
まずボルトを仮止めします。仮止めをしないと、プレートや鋼材の位置が不揃いになります。次に1次締めです。1次締めはナット回転法でも導入トルクで管理します。1次締めは下記が参考になります。
1次締めとは?1分でわかる意味、1次締めトルク、理由、マーキング
私が使っていた大型トルクレンチは、所定のトルクが導入できるように可変できました。ボルト径に応じて導入トルクが変わります。1次締めの導入トルクに達すると、「カチッ」と音が鳴ったと思います(少し記憶が曖昧ですが・・・)。
次はマーキングです。白いマジックでボルトからナットまで線を引きます。最後は本締めです。マーキングから120°(手動のトルクレンチは、目盛が付いています)まで一回で締めます。もし間違えて120°に足りなかったときでも、「もう1回余分に120°まで」とはできません。あくまでも1回で120°が原則です。
今回はナット回転法について説明しました。使う回数の少ない六角ボルトですが、利用機会もあるのでナット回転法も覚えておきましょう。またトルシア型と六角型の2つがあることも併せて覚えておきましょう。下記も参考になります。
トルクコントロール法とは?1分でわかる意味、手順、トルク値、本締め
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