この記事の要点
ナット回転法は、高力六角ボルトを1次締め後にマーキングし、120°±30°の回転角で本締めする施工方法である。
溶融亜鉛メッキが必要な外部鉄骨ではトルシア型ボルトが使えないため、現在もナット回転法が用いられている。
この記事では、ナット回転法とは何か、ナット回転法はどのような手順で行うのかを整理します。
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ナット回転法とは高力ボルトの締付け方法の1つです。今回は、ナット回転法の施工方法や、特徴について説明します。ナット、トルクコントロール法の意味は、下記が参考になります。
ナットとは?種類・寸法の読み方とボルトとの違い・建築鉄骨での使い方
トルクコントロール法とは?1分でわかる意味、手順、トルク値、本締め
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ナット回転法とは、高力六角ボルトを締めるときの施工方法です。大きなトルクレンチ又は専用器具を使って、人力で高力ボルトを締めます。ボルトに所定の張力が入っているかどうかは、ナットの回転角により判断するため、「ナット回転法」といいます。
※高力ボルトは下記が参考になります。
高力ボルトとは?読み方・種類(F10T・S10T)・規格・摩擦接合の特徴
現在、高力ボルト接合はトルクコントロール法が一般的です。トルクコントロール法は、専用の器具を使ってボルトを締めます。締め付けるトルク(ネジを締める力)により張力を監理するため、品質が安定しています。
余談ですが、トルクコントロール法は「トルシア型ボルト」という高力ボルトを使います。
これはトルクコントロール法で締付けを前提に開発された高力ボルトです。
JIS規格ではないですが、大臣認定を取得しています。
所定のトルクが入ると、ピンテールがねじ切れる仕組みです。
そんなに便利なら全てトルシア型ボルトにして、トルクコントロール法にすれば良いじゃないか、と思いますよね。なぜナット回転法がまだ行われているのでしょうか。
それは未だに高力六角ボルトを使う機会があるからです。
例えば外部に建てる鉄骨は亜鉛メッキをしますが、トルシア型ボルトに亜鉛メッキの仕様がありません。
F8Tという、溶融亜鉛メッキを施した高力六角ボルトを使うため、トルクコントロール法では行えません。
※トルシア形ボルト、溶融亜鉛メッキは下記が参考になります。
トルシア形高力ボルトとは|S10T記号・ピンテール破断と施工管理
溶融亜鉛メッキとは?すぐに分かる特徴や規格、溶融亜鉛メッキボルト
ナット回転法の特徴を下記に示しました。
1つは、締付管理がトルクコントロール法に比べて簡単であることです。トルクコントロール法は、1次締めの前に締付トルクのキャリブレーション(締付トルクの確認)があります。この確認でNGなら、再度確認が必要です。
ナット回転法はこの工程が少ない分、締付管理が少し短いです。一方で、導入張力にバラつきがおきる可能性があります。特に、手動のトルクレンチを使う場合はナット回転の制御に注意すべきです。
実際私は、大学院生のとき高力ボルトの締付を頻繁に行っていました。
締付機械は無かったのでトルクレンチを使って手動で締めます。
1次締めをした後にマーキング、その後に本締めをします。
所定の角度を満足するよう締めたつもりが、少し余分に締めることもありました。
簡単にナット回転法の施工方法を紹介します。
まずボルトを仮止めします。仮止めをしないと、プレートや鋼材の位置が不揃いになります。次に1次締めです。1次締めはナット回転法でも導入トルクで管理します。1次締めは下記が参考になります。
1次締めとは?1次締めトルク・マーキングの目的と本締めへの手順
私が使っていた大型トルクレンチは、所定のトルクが導入できるように可変できました。ボルト径に応じて導入トルクが変わります。1次締めの導入トルクに達すると、「カチッ」と音が鳴ったと思います(少し記憶が曖昧ですが・・・)。
次はマーキングです。
白いマジックでボルトからナットまで線を引きます。
最後は本締めです。
マーキングから120°(手動のトルクレンチは、目盛が付いています)まで一回で締めます。
もし間違えて120°に足りなかったときでも、「もう1回余分に120°まで」とはできません。
あくまでも1回で120°が原則です。
混同しやすい用語
トルクコントロール法
トルシア型高力ボルト専用の締付け方法で、ピンテールがねじ切れることで所定のトルクを確認する。
ナット回転法が回転角で張力を管理するのに対して、トルクで締付け力を管理する点が異なる。
ナット回転法を整理した表を示します。
| 項目 | ナット回転法 | トルクコントロール法 |
|---|---|---|
| 張力管理方法 | ナットの回転角で管理 | 締付けトルクで管理 |
| 本締め回転角 | 120°±30° | ピンテール破断で確認 |
| 対応ボルト | 六角高力ボルト(溶融亜鉛メッキ等) | トルシア型高力ボルト |
今回はナット回転法について説明しました。使う回数の少ない六角ボルトですが、利用機会もあるのでナット回転法も覚えておきましょう。またトルシア型と六角型の2つがあることも併せて覚えておきましょう。下記も参考になります。
トルクコントロール法とは?1分でわかる意味、手順、トルク値、本締め
高力ボルトとは?読み方・種類(F10T・S10T)・規格・摩擦接合の特徴
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
建築士試験では、ナット回転法の本締め回転角「120°±30°」と、六角高力ボルト(溶融亜鉛メッキ)との関係が問われる。
トルクコントロール法との使い分けも頻出。