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すべり係数とは?すべり係数と摩擦係数の違い、すべり耐力とすべり試験

すべり係数は、高力ボルト接合を行う上で大切な値です。仮に、すべり係数の値が極端に小さいと、接合部はすぐに壊れます。よって、すべり係数の値は建築基準法などで規定されます。今回は、そんなすべり係数の意味、摩擦係数との違い、すべり耐力、すべり試験について説明します。

すべり係数とは?

すべり係数は、摩擦面(接合面)の「すべりにくさ」を表す値です。すべり耐力の計算式中に含まれるμの値です。下式をみてください。これが、すべり耐力を求める式です。

Rsはすべり耐力、μは接合面のすべり係数、Nは初期導入張力、mは摩擦面の数です。


すべり係数は、設計上

の値を確保する必要があります。


なぜ、すべり係数が大切なのか。それは、高力ボルト接合が、摩擦接合により力を伝達するからです。摩擦接合は、摩擦抵抗力(すべり耐力)により外力に抵抗する接合方法です。摩擦接合については下記の記事が参考になります。

摩擦接合と支圧接合の違い

また、摩擦抵抗力ですが厳密な用語は「すべり耐力」です。すべり耐力については後述します。


上式より、すべり係数が大きいほど、すべり耐力も高くなります。すべり係数とは、接合面のすべりにくさを表す値でした。頭の中でイメージして欲しいのですが、表面がツルツル、ザラザラでは、どちらの接合面のμが大きいと思いますか?


答えは、ザラザラした接合面です。よって、すべり耐力を高めるために、接合面はザラザラにします。鋼材は元々ツルツルしています。これをザラザラにする行為を「摩擦面処理」といいます。摩擦面処理については、下記の記事が参考になります。

摩擦面処理のポイント2つと、摩擦面処理の種類

すべり係数は0.45以上必要ですが、これを満足するために様々な摩擦面処理の方法があります。

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すべり係数と摩擦面処理

摩擦面処理には、下記の方法があります。それぞれの摩擦面処理とすべり係数の関係を示しました。


・赤さび  μ=0.45以上

・ブラスト処理  μ=0.45以上

・溶融亜鉛メッキ上のブラスト処理  μ=0.40以上

・黒皮(摩擦面処理しない)  μ=0.23以上


上記より、一般的に行われる処理方法は、赤さびとブラスト処理です。溶融亜鉛メッキ上からブラスト処理も可能ですが、すべり係数を満足しません。よって接合面は、不めっき処理にします。黒皮は、処理しない状態です。処理しないと2倍以上もすべり係数が小さいですね。

すべり係数と摩擦係数の違い

力学的には、すべり係数と摩擦係数は同じ意味です。では、なぜ違う用語でしょうか。


実際の高力ボルト接合部は、接合面がすべり際に鋼板が変形するため、実際の値より小さくなります(鋼板の変形により、ボルト張力が抜ける)。

ですから、すべり耐力Rsが違えば、μの値も変わります(m=1とする)。摩擦係数が理論的な値ですが、μは計算により算定されます。若干、意味合いが異なる訳です。よって物理的な意味の摩擦係数と分けるため、すべり係数が定義されています。

すべり係数とすべり耐力の関係

すべり係数とすべり耐力は、下式の関係でした。

以上より、すべり耐力は、すべり係数と初期導入張力の積で計算します。すべり係数が大きいほど、すべり耐力も大きくなります。


下図をみてください。これは、高力ボルト接合を示しています。

摩擦接合

外力がすべり耐力より小さい間は、線形的に荷重と変形は増加します。

接合部の荷重変位関係

その後、外力がある値を超えた時、接合面が滑ります。接合面が滑ると、ボルト孔にあたり孔壁とボルト軸の支圧により耐力が増加します。接合面が滑ったときの値を、すべり耐力といいます。


摩擦接合は、すべった後の耐力を考慮しませんが、下図のように耐力は上昇します。

荷重変位関係

すべり係数試験とは

前述したように、すべり係数は理論的な値ではなくて、接合面のすべり耐力と初期導入張力の比率です。すべり係数試験は、実際にすべり係数を実験により確認しますが、考え方は下記の通りです。

・摩擦接合した試験体の引張試験を行う

・引張試験により得られたすべり耐力を確認

・すべり耐力と初期導入張力の比率から、すべり係数を計算


以上の流れで、実験方法や試験体の大きさ、想定するすべり係数など、こと細かに設定されています。

まとめ

今回は、すべり係数について説明しました。すべり係数の意味が分かって頂けたと思います。すべり係数と摩擦係数の違いを理解しましょう。すべり係数は0.45が基本です。また、すべり係数を確保するための摩擦面処理の方法も、併せて理解したいですね。下記の記事が参考になります。

摩擦面処理のポイント2つと、摩擦面処理の種類

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