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摩擦面処理のポイント2つと、摩擦面処理の種類

この記事の要点

摩擦面処理とは、鉄骨の高力ボルト接合部の接合面を粗くして、すべり耐力を確保する施工のことです。

高力ボルト摩擦接合は、ボルト軸力と接合面の摩擦力によって力を伝達します。

代表的な処理方法はブラスト処理と赤さびです。

ブラスト処理後は表面粗さ50μmRz以上が必要で、すべり係数0.45以上を確保しなければなりません。


摩擦面処理をご存じでしょうか。構造設計に詳しい人なら当たり前のことですが、意匠の方ましてや一般の方は知らない人が多いでしょう。今回は、摩擦面処理がわかる2つのポイントと、摩擦面処理の種類を説明します。

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摩擦面処理ってなに?

摩擦面処理とは、「鉄骨部材の高力ボルト接合部の表面をザラザラにすること」です。


下図をみてください。大梁と小梁の接合部を示しました。茶色部分が大梁と小梁です。赤色がガセットプレートと小梁を高力ボルトで接合する部分です。

大梁と小梁の接合部


高力ボルト接合は、ボルトに強力な張力を導入し接合されたプレートと鋼材表面の「摩擦力」によって力を伝達します。※摩擦接合や高力ボルト接合については、下記の記事が参考になります。

摩擦接合と支圧接合の違い

高力ボルトとは?読み方・種類(F10T・S10T)・規格・摩擦接合の特徴


摩擦力は、表面がツルツルしていると全く効きません(これはイメージが湧くでしょう)。例えばスケートリンクや凍った雪の上では、足がツルツル滑りますよね?これは凹凸がなくなり、靴裏との摩擦力が無くなるためです。


鋼材は、元々はザラザラしていません。どちらかと言えば、ツルツルしています。この「ツルツル」「ザラザラ」という凹凸の度合いは、専門的に「摩擦係数」という指標で表します。


つまり摩擦面処理は、摩擦係数を高める処理のことです。

摩擦面処理の大切なポイント2つ

摩擦面処理の大切なポイントは2つあります。


1つめは、通常の高力ボルト摩擦接合では、すべり係数0.45以上を確保することです。これを満たさない摩擦面では、高力ボルト摩擦接合として必要なすべり耐力を発揮しにくくなります。


2つめは、高力ボルトを締める範囲は摩擦面処理をすることです。当然と言えば当然ですが、万が一処理されなかったら大変です。例えば鉄骨の製品検査で、高力ボルト接合部の範囲は摩擦面処理が施されているか確認します。


また、摩擦面処理をした後に溶融亜鉛メッキ処理をした鋼材は0.1~0.3程度の摩擦係数しか得られないという報告があります(先に摩擦面処理をすると、効果が薄れます)。


対処方法として、溶融亜鉛メッキ処理をした後(先に溶融亜鉛メッキをする)に、各メーカーによる摩擦面処理を施して、必要なすべり係数を確認します。溶融亜鉛メッキ面は通常の黒皮除去・赤さび面・ブラスト面とは扱いが異なるため、設計図書や仕様書の条件を確認することが大切です。※溶融亜鉛メッキは下記が参考になります。

溶融亜鉛メッキとは?すぐに分かる特徴や規格、溶融亜鉛メッキボルト

摩擦面処理の種類

摩擦面処理の方法は2つあります。


1つめはブラスト処理です。摩擦処理面に、小さな玉(珪砂や、鋼製の玉)を圧縮した空気と共に吹き付けます。ブラスト処理後の摩擦処理面は、光沢が無くなってくもったようになります。下記が参考になります。

ブラスト処理とは?種類・表面粗さの基準と鉄骨防錆・塗装前処理への適用


2つめはリン酸塩処理です。リン酸塩という薬剤を摩擦面に塗布することで、所定の摩擦係数が確保できます。ブラスト処理に比べて手間がかからないので、多用されています。


但し、リン酸塩処理は、雨や雪が降っている屋外では作業禁止です。水分により、薬剤が落ちるからです。同様の理由で摩擦面は十分乾燥させておきます。

混同しやすい用語

すべり係数

摩擦面処理後に確保される摩擦係数。

摩擦係数μと同義で使われることが多いが、試験規準で定められた所定の値(0.45)を指す場合がある。

試験での問われ方|管理人の一言

試験では、摩擦面処理の目的(滑り耐力の確保)とすべり係数0.45を満たす処理法(赤さびや所定のブラスト処理)が問われる。(一級建築士 頻出:摩擦面処理の目的(滑り耐力確保)とすべり係数0.45を満たす処理法(赤さび・ブラスト)が繰り返し出題)

摩擦面処理を整理した表を示します。

処理方法ブラスト処理リン酸塩処理
方法珪砂・鋼球を吹付け薬剤を塗布
摩擦係数0.4以上確保0.4以上確保
注意事項特になし雨天・濡れた面は禁止

まとめ

今回は摩擦面処理について説明しました。摩擦面処理は、高力ボルト摩擦接合で必要なすべり耐力を確保するために、接合面を粗くする処理です。

通常の高力ボルト摩擦接合では、すべり係数0.45以上を確保することが重要です。ブラスト処理では表面粗さ50μmRz以上、自然発錆による赤さび面、薬剤処理などがポイントになります。

構造計算するとき意識しないので忘れがちですが、施工品質に関わる大切な部分です。併せて、高力ボルト接合や摩擦接合の仕組みも勉強しましょう。

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理解度チェック

Q.

摩擦面処理とは?

高力ボルト接合部の接合面を粗くして、すべり耐力を確保する施工です。

Q.

ブラスト処理後に必要な表面粗さとすべり係数は?

表面粗さ50μmRz以上、すべり係数0.45以上を確保しなければなりません。

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。

2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。

著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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