この記事の要点
鉄骨柱の座屈耐力を計算するとき、残留応力の影響を無視すると実際より高い耐力が算出されることがある。
H形鋼の圧延過程や溶接時の冷却によって生じる残留応力は、材料の降伏を早める原因になる。
この記事では残留応力の意味・H形鋼や溶接での発生原因・構造設計(座屈耐力)への影響を解説する。
H形鋼は成形時の熱間加工(冷却の不均一性)により残留応力が生じ、ビルドH形鋼では溶接部の冷却収縮が原因となる。
断面内の残留応力(圧縮と引張)の合計は0(つり合う)。
残留応力は圧縮材の座屈耐力を理論値より低下させる要因の一つであり、圧縮材の設計式(告示式)はこの影響を考慮している。
この記事では、残留応力とは何か、溶接とどう関係するのかを整理します。
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残留応力とは、外力が作用しない物体に生じる(残る、残留する)応力です。残留応力の原因に、溶接、熱加工、塑性加工などがあります。今回は残留応力の意味、読み方、英語、H形鋼、溶接との関係について説明します。
似た用語に、残留ひずみがあります。残留ひずみの意味は、下記が参考になります。
残留ひずみとは?1分でわかる意味と図、計算、永久ひずみ、復元力特性
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残留応力とは、外力が作用しないのに物体に生じる(残る、残留する)応力です。下図をみてください。物体に外力は作用していません。一方で、応力が生じています。これは、何らかの原因により、応力が物体内部に残った状態です。
普通、外力が作用するから応力が生じます。外力と応力は「対」の関係です。残留応力は、外力が無いにも関わらず生じる応力なので、特殊な応力といえます。外力、応力の意味は、下記が参考になります。
外力(がいりょく)とは?意味・内力・反力との違い・摩擦力をわかりやすく解説
残留応力が作用する原因として、
・熱加工
・溶接
・塑性加工
があります。例えば、形鋼は熱しながら成形します。これを熱間加工といいます。当然、熱を冷ます必要がありますが、この過程で残留応力が生じるのです。
なお残留応力は、圧縮力と引張力が生じ、この合計は0です(断面内の残留応力は釣り合う)。
残留応力は、英語で「residual stress」と書きます。
残留応力は「ざんりゅうおうりょく」と読みます。関係用語の読み方は下記です。
残留ひずみ ⇒ ざんりゅうひずみ
残留歪 ⇒ ざんりゅうひずみ
応力 ⇒ おうりょく
H形鋼のフランジは、中央より表面から冷却収縮します。全ての面が同時に冷却すれば、全体的にH形鋼が縮むだけです。しかし、ある部分から冷却収縮すると、変形が不均一になり、応力が残ります。
また、ビルドH形鋼のように、鋼板を溶接してつくるH形鋼は、溶接部の冷却収縮により残留応力が生じます。
ビルドH形鋼の意味は、下記が参考になります。
混同しやすい用語
残留応力 vs 残留ひずみ
残留応力は外力がない状態で物体内に残っている「力」(応力)の値で、N/mm2などの単位を持つ。
残留ひずみは荷重除荷後に残る変形量(無次元またはμε)。
原因は同じく塑性変形・冷却収縮だが、一方は「力」、もう一方は「変形量」を表す点で区別する。
残留応力を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 定義 | 外力がない状態で物体内部に残る応力 | 断面内の圧縮・引張の合計は0 |
| 発生原因 | 熱加工・溶接・塑性加工 | H形鋼は冷却の不均一性が主な原因 |
| 設計への影響 | 圧縮材の座屈耐力を理論値より低下させる | 告示式(圧縮材設計式)に影響を考慮 |
今回は残留応力について説明しました。
意味が理解頂けたと思います。
残留応力は、外力が生じない物体の内部に残る応力です。
熱加工、溶接、塑性加工により残留応力が生じます。
残留応力と似た用語に、残留ひずみがあります。
下記の記事も併せて勉強しましょうね。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。
