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一見、複雑そうに見える建物でも、エキスパンションジョイントによって整形な建物として設計される例は数多くあります。エキスパンションジョイントは、外観は1つの建物でも、構造的に切り離す目的で使われます。他にも、温度応力による変形を避けたり、免震構造に用いられます。今回は、そんなエキスパンションジョイントについて説明します。
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下図のように、L型の建物があります。集合住宅、賃貸マンションに多く見られる形状です。縦方向に向く建物をA、横方向の建物をBとします。
建物としての機能上、AとBは一体です。つまり、AからBへ、BからAへと自由に行き来することが可能です。しかし、構造的に建物は「整形」である方が設計しやすいのです。また設計しやすいだけでなく、不整形な建物は地震力に対しても不利で問題があります。
そこで考え方を変えて、建物A、Bを切り離すことを考えます。下図をみてください。AとBの間に離隔距離を設けました。離隔距離は後述しますが、建物がお互いに変形して「ぶつからない距離」とします。さらに、距離が大きすぎると、建物の機能として一体にならないので注意します。
さて、建物と建物を切り離すと当然隙間が生じます。隙間があると、物を落とすかもしれないし、躓いて危ないですよね。その隙間を埋める金具が、「エキスパンションジョイント」です。
下図にエキスパンションジョイントのイメージを示します。
これはイメージで、実際のエキスパンションジョイントの仕組みは各社によって異なります。共通するのは、「変形に追従する」ということです。建物が揺れた時、エキスパンションジョイントも一緒に変形する仕組みが必要です。
では、エキスパンションジョイントは、他にどういった目的で利用されるのでしょうか。下記に示しました。
前述したように、エキスパンションジョイントは不整形な建物を切り離す際に用いられます。その他に、免震建物は免震層が大きく変形することが想定されます。下図をみてください。免震建物のイメージ図です。
このように、建物が大きく変形するときに、建物と地面がぶつからないように離隔距離を設けます。この離隔距離を埋めるため、エキスパンションジョイントが必要です。
また、鉄筋コンクリートの床は温度により変形します。普通の床なら変形は小さいのですが、床が長くなると変形も大きくなります。変形するということは、躯体に応力が発生し悪影響を及ぼします。
そのため、変形しても良いように離隔距離を設けますが、やはりエキスパンションジョイントを設けます。
では、エキスパンションジョイントの離隔距離はどのように計算するのでしょうか。下図をみてください。建物Aと建物Bが隣り合う場合、地震によりお互いがぶつかるような変形を考えます。
このとき、両建物がぶつからない変形量を離隔距離として設定します。地震による変形量は終局時の値(建物崩壊時の変形量)です。RC造、S造でそれぞれ下記の値です。
2つの建物が同じ高さ、RC造だとします。建物の高さをHとすると、最頂部の離隔距離は
下式で計算します。
Hが10.0mなら、
が離隔距離です。またS造とRC造の組み合わせでは、
となります。
HはGLから各階床の高さです。つまり、基礎位置ではH=0になるわけですから、理論的には離隔距離は必要ありません。屋根が一番離隔距離が大きいので(Hが最大)、その値でエキスパンションジョイントの幅を決めるのが普通です。ただ、各階で離隔距離を変えても原理的にはOKです。
今回は、エキスパンションジョイントについて説明しました。エキスパンションジョイントの目的を覚えておきましょう。構造的に切り離す理由は、今回紹介した3つあります。離隔距離の計算も理解したいですね。下記もあわせて勉強しましょうね。
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