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エキスパンションジョイントとは?意味・目的・構造と設置が必要なケース

この記事の要点

エキスパンションジョイント(EJ)とは、外観上は一体に見える建物を構造的に切り離すための目地(隙間)のことです。温度変化による熱膨張・収縮、地震時の層間変位、免震構造の相対変位を吸収します。

設置が必要なケースは、建物が長大(平面的に長い)な場合・増築で既存棟と接続する場合・免震装置を設ける場合などです。建物を構造的に独立させることで、応力集中を防ぎます。

他にも、温度応力による変形を避けたり、免震構造に用いられます。

この記事では、エキスパンションジョイントとは何かを整理します。

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一見、複雑そうに見える建物でも、エキスパンションジョイントによって整形な建物として設計される例は数多くあります。

エキスパンションジョイントは、外観は1つの建物でも、構造的に切り離す目的で使われます。

他にも、温度応力による変形を避けたり、免震構造に用いられます。

今回は、そんなエキスパンションジョイントについて説明します。

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エキスパンションジョイントとは?

下図のように、L型の建物があります。集合住宅、賃貸マンションに多く見られる形状です。縦方向に向く建物をA、横方向の建物をBとします。

不整形な建物

建物としての機能上、AとBは一体です。

つまり、AからBへ、BからAへと自由に行き来することが可能です。

しかし、構造的に建物は「整形」である方が設計しやすいのです。

また設計しやすいだけでなく、不整形な建物は地震力に対しても不利で問題があります。


そこで考え方を変えて、建物A、Bを切り離すことを考えます。

下図をみてください。

AとBの間に離隔距離を設けました。

離隔距離は後述しますが、建物がお互いに変形して「ぶつからない距離」とします。

さらに、距離が大きすぎると、建物の機能として一体にならないので注意します。

エキスパンションジョイントを取り付ける

さて、建物と建物を切り離すと当然隙間が生じます。隙間があると、物を落とすかもしれないし、躓いて危ないですよね。その隙間を埋める金具が、「エキスパンションジョイント」です。


下図にエキスパンションジョイントのイメージを示します。

エキスパンションジョイントの詳細図

これはイメージで、実際のエキスパンションジョイントの仕組みは各社によって異なります。共通するのは、「変形に追従する」ということです。建物が揺れた時、エキスパンションジョイントも一緒に変形する仕組みが必要です。

エキスパンションジョイントを利用する目的の種類

では、エキスパンションジョイントは、他にどういった目的で利用されるのでしょうか。下記に示しました。


前述したように、エキスパンションジョイントは不整形な建物を切り離す際に用いられます。その他に、免震建物は免震層が大きく変形することが想定されます。下図をみてください。免震建物のイメージ図です。

免震建物のエキスパンションジョイント

このように、建物が大きく変形するときに、建物と地面がぶつからないように離隔距離を設けます。この離隔距離を埋めるため、エキスパンションジョイントが必要です。


また、鉄筋コンクリートの床は温度により変形します。普通の床なら変形は小さいのですが、床が長くなると変形も大きくなります。変形するということは、躯体に応力が発生し悪影響を及ぼします。


そのため、変形しても良いように離隔距離を設けますが、やはりエキスパンションジョイントを設けます。

エキスパンションジョイントの離隔距離

では、エキスパンションジョイントの離隔距離はどのように計算するのでしょうか。下図をみてください。建物Aと建物Bが隣り合う場合、地震によりお互いがぶつかるような変形を考えます。

エキスパンションジョイントの離隔距離

このとき、両建物がぶつからない変形量を離隔距離として設定します。地震による変形量は終局時の値(建物崩壊時の変形量)です。RC造、S造でそれぞれ下記の値です。


2つの建物が同じ高さ、RC造だとします。建物の高さをHとすると、最頂部の離隔距離は

下式で計算します。

Hが10.0mなら、

が離隔距離です。またS造とRC造の組み合わせでは、

となります。


HはGLから各階床の高さです。

つまり、基礎位置ではH=0になるわけですから、理論的には離隔距離は必要ありません。

屋根が一番離隔距離が大きいので(Hが最大)、その値でエキスパンションジョイントの幅を決めるのが普通です。

ただ、各階で離隔距離を変えても原理的にはOKです。

混同しやすい用語

エキスパンションジョイント

建物間の隙間を埋めつつ、建物の変形に追従する金具です。

構造的に切り離した建物の隙間を安全に処理するために設置します。

別棟

構造的・法規的に独立した別の建物のことです。

エキスパンションジョイントで切り離すと外観は一体でも別棟扱いになる場合があります。

離隔距離

隣り合う建物がぶつからないために必要な隙間の距離です。

RC造は層間変形1/200、S造は1/100を基準に計算します。

エキスパンションジョイントを整理した表を示します。

項目内容備考
定義建物間の隙間を埋めつつ変形に追従する金具構造的に切り離した建物に設置
離隔距離(RC造)B=H/200+H/200=H/100H=10mなら100mm
主な用途不整形建物の切離し・免震層・温度応力の吸収各社で仕組みが異なる

まとめ

今回は、エキスパンションジョイントについて説明しました。エキスパンションジョイントの目的を覚えておきましょう。構造的に切り離す理由は、今回紹介した3つあります。離隔距離の計算も理解したいですね。下記もあわせて勉強しましょうね。

別棟(べつむね)とは?読み方・建築基準法・渡り廊下

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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