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片持ちスラブとは屋根や床のスラブが片持ち状の(はね出した)ものです。片持ちスラブは、スラブ端部(根元)の一辺のみ固定されている静定構造です。冗長性(余裕)が無いため十分に余裕をもった設計が必要で、片持ちスラブの厚さは有効スパンの1/10以上とします。たとえば、有効スパンが2000mmのとき片持ちスラブの厚さは200mm以上とします。今回は、片持ちスラブの長さと厚さの関係、設計方法と計算、変形増大係数について説明します。スラブ、片持ち梁の詳細は下記が参考になります。
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片持ちスラブとは、屋根や床のスラブが片持ち状の(はね出した)ものです。下図に片持ちスラブを示します。片持ちスラブは、スラブの端部(根元)の一辺のみ固定端で、他端部は自由端となる静定構造です。冗長性が無いため(余裕が無く、固定端の剛性低下、破壊が構造物全体の崩壊に繋がる状態)、十分に余裕をもった設計が必要です。
ではなぜ、そのような冗長性の無い片持ちスラブをつくるのか。これは建築計画上、必要となることがほとんどで、たとえば雨避けの庇をつくる場合、庇の先に柱を設けると通路の邪魔になるので片持ちスラブとします。
あるいは、マンションのベランダ、共用廊下、学校のバルコニーなどは前述の理由で片持ちスラブとすることが多いです。さらに、片持ちスラブの先端に手すりとしてのRC壁が設置されると荷重も大きく、しかも2m~2.5mもの出寸法となり、片持ちスラブの厚みや配筋が多くなります。
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本来は片持ち状のような静定構造は設けたくないのが構造設計者としての人情です。片持ちスラブの固定端が剛性低下すれば(緩くなれば)すぐに撓んできますし、一辺だけで支持されていると不測の事態に対応できません。以上より、片持ちスラブは余裕のある設計が望ましいでしょう。
特に、片持ちスラブは「たわみ、振動、ひび割れ、クリープ」等の問題が起きやすく、片持ちスラブの最小厚さは
・Lx/10以上
とRC規準で規定されています。Lxは片持ちスラブの有効スパンであり、RC梁の側面から片持ちスラブ先端までの距離とします。要するに、片持ちスラブの厚さはスパンの1/10なので、片持ちスラブのスパンが2000mmのとき「片持ちスラブの厚さは200mm以上」とします。クリープやひび割れの詳細は下記も参考になります。
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やや専門的な話題になります。下図をみてください。片持ちスラブは大梁に取り付いており、反対側には一般スラブがあります。よって、片持ちスラブ元端に生じる曲げモーメントは一般スラブ端部でも生じて「釣り合う」のであり、一般スラブ端部には片持ちスラブ端部の耐力と同等以上の耐力が必要です。
また、片持ちスラブが大梁下端に取り付いて一般スラブとの位置が異なる場合や、一般スラブが無い場合では「大梁をねじるモーメント」が生じます。このねじりモーメントに対して、大梁のねじり剛性、ねじり耐力が問題ないか確認が必要です。さらにいえば、一般スラブが無い場合は、大梁に伝達されるねじりモーメントは柱まで伝達されるので、柱の追加検討が必要でしょう。
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片持ちスラブの計算自体は静定構造のため簡単です。片持ちスラブに生じる応力は一方向にのみ流れるため、要するに梁と同じように応力を算定します。下図に示す片持ちスラブの曲げモーメントとせん断力を算定しましょう。
それぞれ下記の通りです。
・M=wL^2/2
・Q=wL
です。ただし上記の値は「1m当たり値である」点に注意しましょう。曲げモーメントの単位は「kNm/m」で、1メートル当たりに作用する曲げモーメントを表します。
さらに片持ちスラブの設計で重要な点は「鉛直震度1Gに対して長期で問題ないこと」を確認することです。鉛直震度とは鉛直方向に対する地震力を意味します。※鉛直震度については、下記が参考になります。
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鉛直震度1Gを考慮するとは、簡単にいうと「長期荷重を2倍して、長期許容応力度で検討」することです。これは冒頭に説明した余裕ある設計を意味しますね。※許容応力度については、下記が参考になります。
片持ちスラブの変形増大係数は16です。変形増大係数とは、クリープにより変形が増大することを見越して、あらかじめたわみ量を割増す係数です。変形増大係数の詳細は下記が参考になります。
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今回は片持ちスラブについて説明しました。片持ちスラブとは屋根や床のスラブが片持ち状の(はね出した)ものです。片持ちスラブは、スラブ端部(根元)の一辺のみ固定されている静定構造です。片持ちスラブは静定構造なので十分に余裕をもった構造としましょう。スラブ、片持ち梁など下記も勉強しましょう。
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