この記事の要点
基準風速V₀は建築基準法施行令で地域ごとに30〜46m/sと定められ、速度圧の計算に使われる風圧力計算の出発点となる。台風の多い九州・沖縄では値が大きく設定されているため、建設地の基準風速を確認してから風圧力設計を行うことが必要です。
この記事では、基準風速とは何か、台風とどう関係するのかを整理します。
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基準風速建物に作用する外力の中で最も身近な存在が、「風」ではないでしょうか。大地震は数十年、数百年に一度しか発生しませんが、台風は毎年必ず起きますね。
台風のように強い風を、建築では「暴風」と言います。そして建物には暴風を必ず荷重として考慮するのです。
その荷重を風荷重、あるいは風圧力と言います。風圧力は下式で示されます。
qは速度圧、Cfは風力係数です。また速度圧qは下式で表します。
Eは建物高さや、周辺地域の状況が風圧力に及ぼす影響係数、Voは基準風速です。速度圧やEの算定方法は下記を参考にしてください。
風圧力とは?1分でわかる意味と計算、速度圧と風力係数、受圧面積との関係、風荷重との違い
さて、今回は基準風速に着目して、台風との関係、地域によってどのように変化するのか、特徴などについて説明しましょう。
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基準風速とは、各地方における過去の台風の記録に基づいた風害の程度で、30m/s~46m/sで決められた値です。
基準風速は、高さ10mにおける10分間平均風速を意味しています。いきなり良く分からない言葉が出てきましたね。「平均風速」という言葉。これは後程説明します。
さて、基準風速は前述したように国土交通省が各地方に対して定めた値で、ざっくりしたイメージで言えば「台風が多いところは基準風速の値が高い」と思ってもらえればOKです。
ところで台風は、気象庁により下記の表現で最大風速(平均風速)とともにランク付けされています。
前述した基準風速は国土交通省が定める「30~46m/sの平均風速」ですから、気象庁が定める「台風~非常に強い台風」を対象にしている、のでしょう。
気象庁では、2つの風速を定義しています。1つは瞬間風速です。台風が発生した場合、ある瞬間の風速を計測した値が瞬間風速です。2つめは、平均風速です。これは10分間計測して、その平均値を算出した値。
前述したように、基準風速とは「10m位置における10分間の平均風速」でしたね。ちなみに瞬間風速は平均風速の1.5倍~3倍の値、と気象庁では報告されています。
では、各地方の基準風速を見ましょう。下記資料は「2015年度 建築物の構造関係技術基準解説書」に基づいた資料です。ネットで出回る、どの資料よりも正確かと思います。参考にしてください。
各地方の基準風速を見て、気づいた方も多いと思います。そう「沖縄」が圧倒的に基準風速が大きいですよね。全域で「46m/s」です。
その割に、沖縄での台風被害は少ないですね。
一方、過去最大の台風である「伊勢湾台風」は、愛知県や三重県に大きな被害を及ぼしましたが、基準風速は34m/sです。
このように基準風速の大きさと台風被害は直結しません。過去に大きな台風が起きたのなら、それを現在の知見に活かすべきですが、中々法律を変えるのが難しい、という実態があるのでしょうか。
混同しやすい用語
基準風速
建築基準法施行令で地域ごとに定められた基準となる風速。
設計風速
建物の高さや地表面粗度区分などを加味して算定する設計用の風速。
基準風速を整理した表を示します。
| 地域 | 基準風速の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 沖縄・南西諸島 | 46m/s(最大クラス) | 台風の影響を最も受ける地域 |
| 九州・四国太平洋側 | 36〜38m/s | 台風の上陸・接近が多い |
| 内陸部・東北北部 | 30〜34m/s | 比較的低い設定 |
今回は基準風速の意味、各地方の基準風速や台風との関係について説明しました。今回の記事を参考に、風圧力の算定の理解を深めていきましょう。
風圧力の算定に関係するガスト影響係数、風速の単位など下記の記事も併せて参考にしてくださいね。
風速の単位はm/s(メートル毎秒)|読み方・ノットとの関係・目安を解説
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