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積雪荷重とは?1分で分かる計算方法と地域による違い

積雪荷重は、積もった雪の重さを意味します。よって積雪荷重は「屋根」に作用する荷重です。積雪荷重は地域性があり、東京の積雪荷重と東北の積雪荷重は全く違います。今回は、そんな積雪荷重の地域ごとの違い、積雪荷重の計算方法、屋根形状係数、雪下しの関係について説明します。

積雪荷重とは

積雪荷重は、積もった雪の荷重です。下式で計算します。

Wは積雪荷重、dは垂直積雪量(cm)、ρは積雪の単位荷重(N/cm/u)、Aは屋根の水平投影面積(u)です。


垂直積雪量は、簡単に言うと積雪の高さで、特定行政庁より定められる値です。「毎年変わる値ではなく、決められた値」です。ただ、地域による積雪量の大きさは反映しており、例えば東北と東京では、前者は垂直積雪量が大きく設定されています。


※垂直積雪量については下記の記事が参考になります。

垂直積雪量ってなに?垂直積雪量の意味と計算方法


積雪の単位荷重とは、単位厚さ当りの積雪荷重(1平米当りの値)で、特定行政庁より定められる値です。雪が沢山積もると、1平米当りの積雪荷重は大きくなります。後述しますが、多雪区域(よく雪が降る地域)と一般区域(普通の地域)は、ρの値が変わります。

さて、構造設計の実務では上式をそのまま使うことはありません。むしろ下式のように平米荷重として長期荷重に加え、短期の計算を行います。また、後述しますが多雪区域なら、そのまま固定+積載荷重に加えて長期の計算をします。

WはN/u又はkN/uの単位です。

積雪荷重の計算方法

例えば東京都武蔵野市の積雪荷重を計算しましょう。垂直積雪量と単位荷重は下記となります。


以上より平米当たりの積雪荷重は下記です。

一般区域で積雪荷重を考慮するとき、鉛直方向の短期荷重として計算します。一方、多雪区域では長期荷重及び地震時でも積雪荷重を考慮します。雪が良く積もる地域は、積雪荷重による影響度が大きいです。積雪荷重により部材断面が決まる可能性もあります。


さて、建築基準法によれば積雪荷重の長期、短期に生ずる力は下記のように規定されます。

力の種類 荷重及び外力の状態 一般区域 多雪区域 備考
長期の力 常時 G+P G+P
積雪時 G+P G+P+0.7S
短期の力 積雪時 G+P+S G+P+S
暴風時 G+P+W G+P+W
G+P+0.35S+W
地震時 G+P+K G+P+0.35S+K

Gは固定荷重、Pは積載荷重、Sは積雪荷重、Wは風荷重、Kは地震荷重です。上表より、一般区域では長期の力に積雪荷重を考慮する必要はありません。多雪区域では、長期の力でも積雪荷重を考慮します。


さらに、地震時や暴風時でも積雪荷重を考慮するので注意が必要です。長期では積雪時の0.7倍を加え、地震時と暴風時では0.35倍を考慮します。後述する例題で、実際に積雪荷重を計算しましょう。

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地域による積雪荷重の違い

さて、前述したように東京と東北では積雪荷重が違います。この地域差は、「雪が良く降る地域」「あまり雪が降らない地域」をイメージすれば、大体当ります。下記の値は暗記すると便利です。

秋田県や富山県などの北陸、北海道は垂直積雪量が150cm(1.5m)と設定されており、単位荷重は30のため、

です。一般的なRCスラブより重くなるので、部材断面は大きくなります。

多雪区域と一般区域の違い

では多雪区域と一般区域はどう規定されているのか。多雪区域は、建築基準法により下記の定義があります。

垂直積雪量が1m以上あれば、多雪区域と考えてください。これは特定行政庁のHPに記載されているので、各市町村の垂直積雪量を調べてみましょう。※垂直積雪量については下記の記事が参考になります。

垂直積雪量ってなに?垂直積雪量の意味と計算方法


前述したように、多雪区域と一般区域で単位荷重の違いがあります。これは、1m以上積もると、積もった雪が圧縮され密度が大きくなるという理由です。積雪1m〜2mの場合、平均重量は30〜35N/cm /uあると考えられます。

積雪荷重と屋根形状係数の関係

岐阜県の世界遺産、白川郷をご存じでしょうか。


急勾配の屋根にして、地面まで屋根を下すことで積雪を防ぐ構造です。白川郷は極端な例ですが、積雪荷重の大きさは屋根形状により変わります。


屋根形状による積雪荷重の低減係数を「屋根形状係数」といい、下式で計算します。

※A=cos(1.5β)です。μbは屋根形状係数、β(度)は屋根勾配です。βが0度のとき(陸屋根)、μbは0です。βが60度になるとμb=0です。つまり屋根勾配を60度以上にすれば、積雪荷重を0にできます。

積雪荷重と雪下ろしの関係

積雪荷重を低減させる方法の1つに、雪下ろしがあります。雪が良く積もる地域では、慣習として屋根の雪を下します。これを雪下ろしといいます(建築用語ではありません)。雪が積もる前に雪下ろしをすれば、積雪荷重は少なくなります。


建築基準法では、下記のように定めています。


雪下ろしの慣習のある地方では、垂直積雪量が1mを超える場合、雪下ろしの実況に応じて垂直積雪量を1mまで減らして計算できる。


例えば秋田県で垂直積雪量が1.5mの場合、雪下ろしの慣習があれば最大で0.5mまで低減できます。

降雨による一般区域における積雪荷重の割増

近年の研究報告によると、一般区域でも積雪による被害が明らかになりました。特に、緩勾配屋根で、軽い屋根を使った大スパン屋根(例えば体育館)は、屋根の崩壊被害があったのです。


これは積雪後に大量の降雨が降り、所定の積雪荷重を大幅に超えたと考えられます。当該法律は平成31年1月に施行予定です。


当HPでは先取りして、実際に計算方法を示しました。また、割増係数を計算するエクセルファイルを配布しています。※詳しくは下記の記事が参考になります。

積雪後の降雨を考慮した積雪荷重の計算方法

まとめ

今回は積雪荷重について説明しました。積雪荷重の計算方法や、考え方を理解しましょう。積雪荷重を軽視してはいけません。多雪区域や、一般区域でも近年は積雪による被害があります。覚えておきましょう。下記の記事も併せて参考にしてください。

垂直積雪量ってなに?垂直積雪量の意味と計算方法

積雪後の降雨を考慮した積雪荷重の計算方法

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