建築学生が学ぶ構造力学

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溝形鋼とは?重量・軽量の違いと断面性能・用途の比較

この記事の要点

母屋や胴縁に溝形鋼を使うとき、重量溝形鋼と軽量溝形鋼のどちらを選ぶかで断面性能と重量が変わります。

C形断面は偏心が生じやすいため、取付方向の検討も必要です。

この記事では、溝形鋼の特徴・規格と、重量・軽量の使い分けを解説します。

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溝形鋼とは何か溝形鋼という言葉は一般の方には聞き馴染みがないかもしれません。溝形鋼は下図に示す形の鉄骨部材を言います。

この溝形鋼は構造的に不利な部分もありますが、施工性や納まりが良い接合部を造りやすいので多く使われています。今回は、溝形鋼に注目してその特徴や耐震性について説明しましょう。

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溝形鋼の構造的な特徴

溝形鋼の特徴は、なんといっても独特の形状です。

コの字の形状をしています。

実は、溝形鋼は構造的に非常に不利な特性があります。

難しく言えば、せん断中心が重心位置とズレているということですが、要するに『偏心している』ということです。

では、どう偏心しているのでしょうか?


溝形鋼はご覧のように、片方向にコの字をしています。つまり荷重を作用させる位置に注意しないと偏心曲げが作用するのです。

例えばこのように、

荷重が作用したなら簡単に右へ転びそうですし、部材の中心に荷重を作用させても偏心しそうです。

このように、溝形鋼に荷重をかける場合注意する必要があります。

但し、偏心しているから不安定な部材か?と問われるとそうでもありません。

偏心しても良いように設計すれば他の部材と同じように使えます。


しかし、断面性能はH鋼や鋼管に比べて小さいですからスパンが飛んでいる箇所や柱には使えません。

意匠的な特徴

実は、溝形鋼は意匠的なデザインのために構造部材として用いられることもあります。その理由は、『刃が見えること』です。刃とは、溝形鋼のフランジを言います。

フランジの刃を見せることで、フランジの線が強調されシャープな印象を与えることができるからです。そのため、化粧材としても利用されます。

重量溝形鋼と軽量溝形鋼(リップ溝形鋼)の違い

実は、溝形鋼にも2種類あります。これがややこしくて、プロの建築士も間違えている人がいるくらいです。実話ですが、一級建築士をもって数十年キャリアのある建築士が溝形鋼とリップ溝形鋼を間違えていました。


さて、これまで紹介してきた溝形鋼ですが、単に溝形鋼と言う場合、『重量溝形鋼』と言います。これは先ほどから特徴を紹介しました。ではリップ溝形鋼とは何か?こんな形をした溝形鋼のことです。

違いに気づきましたか?そう先端に『唇』が付いたような形をしています。だから『リップ(唇)』なのです。絵がわかりづらいですが、リップ溝形鋼は厚みが2.3、3.2mmと薄い材料です。ですから、軽量溝形鋼とも呼ばれます。


これだけ薄い材料ですから、断面性能は著しく低下します。

そのため、構造的な部材で使われることは一切ありません。

例えば、壁の下地材や天井下地材として使われます。

一方で、構造図や構造計算の第三者チェック審査(適合性判定、確認申請)が無い、小さいアパートや住宅では軽量溝形鋼が使われています。


この安全性は各住宅メーカーが検証していると思うのですが、個人的に構造設計者の私が判断すると『本当に大丈夫かなあ』と思います。あくまで個人的な意見ですが、きちんと構造計算しているかもしれませんし。

混同しやすい用語

「重量溝形鋼(Cチャンネル)」と「軽量溝形鋼(リップ溝形鋼)」

重量溝形鋼は熱間圧延で製造されたJIS規格の溝形鋼。

ウェブ・フランジが比較的厚く、構造用途(梁・柱など)に使われる。

「溝形鋼」と「H形鋼」

溝形鋼は断面がC形(コの字形)で、強軸・弱軸の断面性能差が大きい。

H形鋼は強軸方向の断面性能が高く、主要構造部材に適している。

溝形鋼を整理した表を示します。

項目内容備考
重量溝形鋼熱間圧延製造・JIS規格品構造部材(梁・胴縁)に使用
軽量溝形鋼(リップ溝形鋼)冷間成形・板厚2.3〜3.2mm壁・天井の下地材に使用
構造的特徴せん断中心が重心からずれる偏心曲げが生じやすい

まとめ

今回は、溝形鋼について説明しました。

溝形鋼は形が非対称なので荷重のかけ方で偏心しやすい部材です。

また、溝形鋼には2種類あって軽量溝形鋼と重量溝形鋼があります。

特に断らない場合は、溝形鋼=重量溝形鋼でしょう。

両者の違いは理解しておきましょうね。

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ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

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