この記事の要点
複筋とは、梁の圧縮側と引張側の両方に主筋を配置した配筋で、建築基準法施行令78条で規定されています。
複筋比γ=圧縮鉄筋断面積/引張鉄筋断面積で表し、複筋梁はクリープ変形の抑制にも効果があります。
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複筋とは、圧縮側と引張側に入れた鉄筋のことです。また複筋とした梁を複筋梁といいます。
複筋梁の規定は建築基準法施行令第78条に規定があります。今回は、複筋の意味、複筋梁にする理由、複筋比について説明します。
※併せて下記も参考にしてください。
圧縮鉄筋とは?1分でわかる計算と役割、引張鉄筋、クリープとの関係
複筋とは、圧縮側と引張側に配置された鉄筋(主筋)のことです。下図をみてください。
建築基準法施行令78条では、はりの構造が規定されています。規定を抜粋すると
と書いてあります。また建築物の構造関係技術基準によれば、
「~圧縮鉄筋は一般に長期荷重によるクリープのたわみ抑制、地震時に対する靱性の確保に効果的であることから、複筋ばりとする~」
と明記あります。
よってRC梁は必ず複筋にする必要があります。
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複筋梁は、「ふくきんばり」と読みます。複筋は「ふくきん」です。
複筋梁にする理由は下記です。
複筋梁は圧縮側、引張側に配置した鉄筋のことです。
引張側に鉄筋を配置する理由は、当然曲げモーメントを負担するためです。
圧縮側に鉄筋を入れる理由は、圧縮鉄筋がクリープ抑制に寄与すること、梁の終局時耐力の向上が挙げられます。
また後述する「複筋比」が大きくなることで、釣り合い鉄筋比を超えた梁の耐力が上がります。圧縮鉄筋の特徴については下記の記事で詳細に書いています。
圧縮鉄筋とは?1分でわかる計算と役割、引張鉄筋、クリープとの関係
複筋比とは圧縮鉄筋量と引張鉄筋量の比率です。下式で計算します。
γは複筋比、acは圧縮鉄筋量、atは引張鉄筋量です。例えば圧縮鉄筋が3-D16、引張鉄筋が4-D16の場合、複筋比は
です。
梁に作用する曲げモーメントが大きくなると、引張鉄筋比が釣り合い鉄筋比を超えます。※引張鉄筋比、釣り合い鉄筋比については下記の記事が参考になります。
釣り合い鉄筋比ってなに?3分でわかる意味と、梁の断面算定の方法
このとき、必要鉄筋量はat=M/ftjで計算できず、計算図表から読み取ることになります。※詳細は前述のリンクをご確認ください。
計算図表から鉄筋量を決めるときに必要な情報の1つが、「複筋比」です。
圧縮鉄筋量を増やすと複筋比も増えます。釣り合い鉄筋比を超えた状態で複筋比を大きくすると、梁の耐力も増加します。※圧縮鉄筋については下記の記事が参考になります。
圧縮鉄筋とは?1分でわかる計算と役割、引張鉄筋、クリープとの関係
混同しやすい用語
単筋梁
引張側のみに主筋を配置した梁で、RC梁では建築基準法施行令78条により採用できません。
複筋が圧縮側と引張側の両方に主筋を配置するのに対して、単筋梁は引張側のみに鉄筋を入れた梁で、クリープ変形の抑制効果が低いです。
複筋比(γ)
圧縮鉄筋断面積を引張鉄筋断面積で割った値(γ=ac/at)で、梁の断面算定で用いる指標です。
複筋が圧縮側・引張側の両方に鉄筋を配置した配筋の形式を示す用語であるのに対して、複筋比はその割合を数値で示す設計指標です。
複筋を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 複筋 | 圧縮側と引張側の両方に配置した鉄筋(主筋) | 建築基準法施行令78条で梁に義務付け |
| 複筋比(γ) | γ=ac(圧縮鉄筋)÷at(引張鉄筋) | 複筋比が大きいほどクリープ変形抑制に有効 |
| 複筋梁にする理由 | クリープ抑制・靱性確保・耐力向上 | 単筋梁はRC造では採用不可 |
今回は複筋について説明しました。複筋とは、圧縮側と引張側に配置された鉄筋(主筋)のことです。
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
試験では複筋梁が法令で義務付けられている理由(耐力・靭性・クリープ対策)と複筋比の計算が問われます。
単筋梁と複筋梁の違い(引張側のみvs圧縮・引張両側)と、それぞれの特性を整理しましょう。
複筋比が大きいほどクリープ変形が抑制される関係(鉄筋比と変形の関係)も重要な試験ポイントです。