この記事の要点
建築基準法を読んでいると、「努めなければならない」という表現が出てくることがあります。この努力義務は通常の義務と異なり、違反しても直接の罰則はありません。
この記事では、努力義務の意味・義務との違いと、建築基準法での具体的な適用例を解説します。
努力義務と義務の違い:義務は守らなければ罰則があるのに対し、努力義務は違反しても罰則なし。建築基準法や黄色本にも多く使われる表現。
この記事では、努力義務とは何か、望ましいとは何か、義務とどう違うのかを整理します。
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努力義務とは、「努めなければならない」「好ましい」または「望ましい」と語尾に表現される規定です。
法律で度々使用されます。
建築基準法でも、努力義務の規定は多いです。
今回は、努力義務の意味、望ましいの意味、義務との違い、努力義務と違反の関係について説明します。
※建築基準法は下記が参考になります。
建築で使う法律の種類と体系|建築基準法・施行令・省エネ法の関係を解説
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努力義務は、「努めなければならない」「望ましい」または「好ましい」と表現される規定です。
努力義務は、それを怠ったとしても罰則されません。また、「どの程度、努力するのか」は、当人の裁量に任されます。
建築基準法を読むと、よく「~するよう努めなければならない」と書いてあります。この表現は、規定そのものが義務ではなく、規定に対して「努力することが義務」です。
例えば、耐震改修促進法では
特定既存耐震不適格建築物の所有者は、耐震診断を行い、その結果、地震に対する安全性の向上を図る必要があると認められるときは、耐震改修を行うよう「努めなければならない」
と書いてあります。
上記は、努力義務であって義務では無いです。
特定既存耐震不適格建築物に該当しても、耐震改修しない建物があっても罰則されません。
例えば、民間の共同住宅の中には、旧耐震基準設計も多いと思います(不動産屋さんへ行くと、他に比べて賃料が安い建物がありますよね)。
努力義務と義務の違いを下記に整理しました。
努力義務 ⇒ 規定に対する「努力」をする義務があること。規定を守れなくても罰則されない。どの程度、努力するかは本人の裁量(判断)に委ねられている
義務 ⇒ 規定に対して、しなければならないこと。してはならないこと。
努力義務の「努めなければならない」と「望ましい」は、同じ意味と考えてください。望ましいは、義務では無いです。
さて、構造関係技術基準解説書(以下、黄色本)には、「望ましい」という表現が沢山使われています。※黄色本は、下記が参考になります。
構造の黄色本とは?建築基準法との関係と設計実務・構造ルートでの使い方
「~することが望ましい」ので、義務では無いです。ただし、構造設計の実務では、少しでも安全に設計するような意識が働きます。
「望ましい」という規定でも、義務のように遵守する構造設計者が多いでしょう。
努力義務は、努力することが義務です。前述したように、努力義務の規定を違反しても、罰則は無いです。
混同しやすい用語
努力義務
「~するよう努めなければならない」という規定。
違反しても罰則はなく、努力の程度は本人の裁量に委ねられる。
義務
「~しなければならない」という規定。
違反すると罰則が科される。
努力義務とは法的拘束力の強さが明確に異なる。
| 項目 | 努力義務 | 義務 |
|---|---|---|
| 条文の語尾の例 | 「努めなければならない」「望ましい」 | 「しなければならない」 |
| 法的拘束力 | 弱い(罰則なし) | 強い(罰則あり) |
| 違反した場合 | 罰則は課されない | 行政処分・罰則の対象 |
今回は努力義務について説明しました。
意味が理解頂けたと思います。
努力義務は、「~するよう努めなければならない」という規定です。
努力義務の規定を守れなくても、罰則されません。
また、努力の程度は本人の裁量にゆだねられます。
建築基準法や黄色本にも多くみられる表現です。
下記も併せて参考にしてください。
建築で使う法律の種類と体系|建築基準法・施行令・省エネ法の関係を解説
構造の黄色本とは?建築基準法との関係と設計実務・構造ルートでの使い方
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
「努力義務」と「義務」の区別は建築士試験でも問われることがあります。
「望ましい」「努めなければならない」は努力義務、「しなければならない」は義務と判断できます。
条文を読む際に語尾に注目しましょう。