この記事の要点
既存建築物の増築設計で「既存部分が既存不適格になっている」という状況は珍しくない。遡及適用の原則と例外(緩和規定)を知っておかないと、どこまで既存部分に手を入れられるかの判断ができない。
この記事では既存不適格の意味・遡及適用の原則と緩和規定・増築・大規模修繕での扱いを解説する。
既存不適格となる建築物を、既存不適格建築物といいます。
この記事では、既存不適格とは何か、遡及緩和はどう適用されるのか、増築・大規模修繕での扱いを整理します。
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新規に制定、改正された規定に適合しないことを、既存不適格といいます。
既存不適格となる建築物を、既存不適格建築物といいます。
建築基準法では、既存不適格建築物に対して、新法の規定を適用させるような「遡及」は行いません。
※遡及とは、過去にさかのぼって効力を及ぼすこと。
今回は、既存不適格の意味、遡及の緩和、増築、大規模修繕の扱いについて説明します。
※なお、既存不適格建築物に対して増築するには、エキスパンションジョイントが必要です。
下記の記事が参考になります。
エキスパンションジョイントとは?意味・目的・構造と設置が必要なケース
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既存不適格とは、新しく制定、改正された規定に適合しないことです。既存不適格となる建築物を、既存不適格建築物といいます。
実は、建築基準法は毎年少しずつ改正されます。現在から10年前の建築基準法と現在では内容が違うのです。
10年前の法律で建築された建物が、新しい規定(10年後)に対して適合しないのは当然です。これを適合することは、負担が大きすぎます。
そのため、既存不適格建築物は、「新法の遡及が免除」されています。
※遡及とは、過去にさかのぼって効力を適用することです。
前述したように、既存不適格建築物は新しい規定の遡及は免除されています。
ただし、下記の建築物は遡及適用を命じることが可能です(現状ほとんどない)。
既存不適格建築物を増築する場合、増築部の延べ面積や構造上分離するかで、構造計算の方法が変わります。
詳細は省略しますが、エキスパンションジョイントを用いて、既存不適格建築物と増築部を別棟にする方法が一般的です。
エキスパンションジョイント、別棟の意味は、下記が参考になります。
エキスパンションジョイントとは?意味・目的・構造と設置が必要なケース
構造計算の方法は、ケース1~5まであります。詳細は、政令137条の12または下記の書籍が参考になります。
大規模修繕や模様替えは、屋根や外壁のメンテナンスのため行うことが多いです。※例えば、外壁が老朽化して脱落の恐れがある、剥がれている、など。
大規模修繕や模様替えを行う場合、既存躯体への危険性が増大しないことが原則です。例えば、カバー工法は建物に対する荷重が増大するため、採用できません。※カバー工法とは、老朽化した既存屋根の上に、新しい屋根をかぶせてカバーした工法のこと。
混同しやすい用語
既存不適格
建築時点では適法だったが、その後の法改正により現在の規定に適合しなくなった状態です。
新法の遡及適用は原則免除されます。
違反建築物
建築時点から建築基準法に違反していた建築物です。
既存不適格とは異なり、是正命令の対象となります。
エキスパンションジョイント
既存不適格建築物に増築する際、増築部を構造的に分離するための目地です。
既存棟と増築棟を別棟として扱えます。
既存不適格を整理した表を示します。
| 項目 | 内容 | 備考 |
|---|---|---|
| 既存不適格 | 建築後の法改正で現行規定に不適合となった状態 | 新法遡及は原則免除 |
| 違反建築物との違い | 建築時から違法な建築物(是正命令対象) | 既存不適格とは区別される |
| 増築時の扱い | エキスパンションジョイントで別棟扱いが一般的 | 政令137条の12参照 |
今回は既存不適格について説明しました。
意味が理解頂けたと思います。
既存不適格は、新しく制定、改正された法律が適用されていないことです。
既存不適格建築物は、新法の適用が免除されています。
ただし、既存不適格に対して増築、大規模修繕などを行う場合、新法の遡及が必要になることも覚えてくださいね。
また、既存不適格建築物を増築する場合、主にエキスパンションジョイントが用いられます。
下記の記事も併せて参考にしてください。
エキスパンションジョイントとは?意味・目的・構造と設置が必要なケース
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。
