この記事の要点
耐火とは、建築物が一定時間の火災に耐えて倒壊・延焼しない性能のことだ。
柱・梁・床・壁など各部材に要求される耐火時間は建物の高さや用途によって異なり、建築基準法が細かく規定している。
防火との違いは、耐火が「建物を火災から守る」のに対し、防火は「延焼を防ぐ」という概念で、要求性能の水準が異なる。
耐火建築物・準耐火建築物・防火建築物という順で求められる性能が下がる。
耐火の性能を、耐火性能といいます。
この記事では、耐火とは何か、防火とどう違うのか、耐火性能とどう関係するのかを整理します。
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耐火とは、建築物の柱、梁、壁、床などに必要な性能の1つです。
耐火の性能を、耐火性能といいます。
耐火性能をもつ構造(建築基準法では厳密な定義があります)を耐火構造といいます。
また耐火と似た用語で防火があります。
今回は、耐火の意味、防火との違い、耐火性能との関係について説明します。
※耐火構造、耐火建築物については、下記が参考になります。
耐火構造とは?意味・種類と準耐火構造・防火構造との違い(建築基準法の定義)
耐火建築物とは?意味・要件と鉄骨造での実現方法・準耐火建築物との違い
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耐火は建築基準法2条1項七号で、下記のように定義されます。
上記を満足する性能を「耐火性能」といいます。耐火性能は、建物の階数や各部材により異なります。後述しました。
まず建築基準法では3つの火災が定義されています。
ここでいう「通常の火災」とは、一般的に起こりうる火災かと思います(※法律内に通常の火災に関する定義はありません)。例えば、隕石が落ちて火災が発生したなど、「異常、非常」な火災は対象外です(通常⇔異常・非常)。
また、単に「通常の火災」とある場合、屋内・屋外の両方の火災を意味します。
耐火は、屋内・屋外の両方の火災が発生し、火災が終了するまでの間、建築物が倒壊しないこと。延焼(周囲に燃え広がらないこと)防止することが目的です。
鉄筋コンクリートは、躯体自身が耐火性能をもちます。一方、鉄骨は耐火性能を持たないので、耐火被覆や防火被覆が必要です。※耐火被覆については下記が参考になります。
防火は法2条1項八号に規定されます。下記に示しました。
です。外壁または軒裏に必要とされる上記の性能を「防火性能」といいます。防火性能をもつ外壁または軒裏を防火構造といいます。
鉄骨部材は防火性能がないため、防火被覆などを行います。※防火被覆は下記の記事が参考になります。
防火被覆と耐火被覆の違いは?目的・材料・適用建築物を比較して解説
防火性能の具体的な性能は、建築基準法施行令108条1項一号、二号に規定されます。下記に概要を示しました。
一 耐力壁である外壁は、周囲で発生する火災により加熱開始後30分間構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊その他の損傷を生じないこと。
二 外壁および軒裏は、周囲で発生する火災により加熱開始後30分間、加熱面以外の面の温度が「可燃物燃焼温度」以上に上昇しないこと。
「耐力壁の外壁」と単なる外壁で要求される防火性能が異なる点に注意が必要です。可燃物燃焼温度とは、物が燃え始めるときの温度です。※防火性能については、下記が参考になります。
防火性能とは|耐火性能・準防火性能との違いと建築基準法の規定
耐火と防火の違いを下記に示しました。
耐火性能のほうが、火災に対して求められる性能がより高いですね。※防火性能については、下記が参考になります。
防火性能とは|耐火性能・準防火性能との違いと建築基準法の規定
耐火性能の技術的基準は、令107条に規定されます。建築物の階数、各部材ごとに求められる性能(構造耐力上支障のある変形、溶融、破壊などを生じない「時間」)が違います。下表をみてください。
| 建築物の部分 | 建築物の階 | 最上階及び最上階から数えた階数が2以上で4以内の階 | 最上階から数えた階数が5以上で14以内の階 | 最上階から数えた階数が15以上の階 | |
| 壁 | 間仕切り壁(耐力壁に限る) | 1時間 | 2時間 | 2時間 | |
| 外壁(耐力壁に限る) | 1時間 | 2時間 | 2時間 | ||
| 柱 | 1時間 | 2時間 | 3時間 | ||
| 床 | 1時間 | 2時間 | 2時間 | ||
| はり | 1時間 | 2時間 | 3時間 | ||
| 屋根 | 30分間 | ||||
| 階段 | 30分間 | ||||
階数が分かれば、上表から必要な耐火性能が読み取れます。
例えば5階建ての2階にある柱の耐火性能は、「1時間」です。※5階建ての2階部分は、最上階から数えて4以内の階です。
根拠・参考
実務では、設計条件・仕様書・適用する規準により確認してください。
混同しやすい用語
耐火性能
建築物の各部材が火災に対して耐えられる時間的な基準のこと。
耐火とは「倒壊・延焼を防止する」という目的を指し、耐火性能はその技術的基準(時間)を示す。
防火
屋外のみで発生する火災による延焼を「抑制」することを目的とし、耐火より求められる性能レベルが低い。
耐火は屋内・屋外の両方の火災を対象とする点が異なる。
準耐火性能
耐火性能と防火性能の中間にあたる性能で、耐火性能より要求レベルが低い。
準耐火構造は耐火構造より緩やかな基準で設計される。
今回は耐火について説明しました。
耐火の意味、耐火と防火の違い、耐火性能など理解頂けたと思います。
これから構造設計に携わる人でも、案外、耐火や防火の知識は必要です(耐火被覆や防火被覆など荷重に影響)。
基本的な知識は覚えておきましょう。
下記も併せて学習しましょう。
耐火建築物とは?意味・要件と鉄骨造での実現方法・準耐火建築物との違い
耐火構造とは?意味・種類と準耐火構造・防火構造との違い(建築基準法の定義)
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意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

試験での問われ方|管理人の一言
試験では耐火と防火の定義の違いが問われます。耐火は一定時間(1時間・2時間等)の火災に対して構造耐力・遮熱・遮炎性能を維持する概念、防火は着火・延焼防止の概念で目的が異なります。
耐火構造・準耐火構造・防火構造の性能基準(時間・適用部位)を整理しておくことは防火関連問題の基礎です。建物の用途・規模・立地によって必要となる耐火性能が変わることも覚えておきましょう。