建築学生が学ぶ構造力学

建築学生が学ぶ構造力学
  1. HOME > 構造計算の基礎 > 中地震とは?1分でわかる意味、震度との関係、大地震との違い

中地震とは?1分でわかる意味、震度との関係、大地震との違い

この記事の要点

中地震は「概ね50年に1度起きる地震」のことです。

また中地震のことを、「稀に発生する地震」「中程度の地震」ともいいます。

この記事では、中地震とは何か、大地震とどう違うのか、震度とどう関係するのかを整理します。

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット


中地震は地震の「大きさ」を表す用語です。似た用語に「大地震」があります。今回は、中地震の意味、震度(揺れの大きさ)との関係、マグニチュード(地震のエネルギーの大きさ)との関係、大地震との違い、建築基準法との関係について説明します。


地震力の大きさは下記が参考になります。

地震力の算定方法と、簡単にわかるZ、Rt、Ai、Coの意味

100円から読める!ネット不要!印刷しても読みやすいPDF記事はこちら⇒ いつでもどこでも読める!広告無し!建築学生が学ぶ構造力学のPDF版の学習記事

中地震とは?

中地震は、


・概ね50年に1度起きる地震


のことです。


また中地震のことを、


・稀に発生する地震

・中程度の地震


ともいいます。両方とも同じ意味です。このように、建築基準法では中地震を「震度」や「マグニチュード」で表すことはありません。※中地震と震度、マグニチュードとの関係は後述します。


地震力に限らず、建築物は外力の大きさを、災害の再現期間(何年に1度起きるのか)に応じて2段階に設定しています。


・中程度(稀に発生する=50年に一度)

・最大級(極めて稀に発生する=500年に一度)


中地震とは、稀に発生する地震に該当し、建物の耐用期間年数に1~2度経験する地震と言えるでしょう。一方、大地震は「最大級の地震」で建物の耐用期間中に1度経験するかもしれない地震です。


さて、中地震の定義は、「50年に1度発生する地震」で、具体的な大きさではありません。これでは建物の設計ができないので、「標準せん断力係数」という値が定義されています。

中地震と地震力の大きさ

中地震の大きさは、過去の地震を元に標準せん断力係数Coで表します(カッコ内に対応する加速度galを示しました。加速度は、建物に生じる値です)。Coを下記に示します。


・中地震Co=0.2(80~100gal)

・大地震Co=1.0(300~400gal)


Coは建物に作用する地震力と大きく関係します。簡単に言うと、Coが大きいほど、地震力も大きくなります。つまり中地震と大地震では、5倍も地震力の大きさが違う、ということです。


※標準せん断力係数は下記が参考になります。

地震力の算定方法と、簡単にわかるZ、Rt、Ai、Coの意味


また地震力は、建物の重量に比例します。中地震(Co=0.2)では、


建物の重量の2割が地震力として作用する


といえます。

中地震と震度の関係

では中地震と震度の関係はどうなんだ、と思いますよね。実は、


・中地震と震度の大きさは関連付けることが難しい


です。「全く関係ない」とはいいませんが、「直接関係する」ともいえません。ですが、敢えて中地震時の震度を示すなら、


・中地震の震度は、「震度5弱~5強」程度


です。


建築基準法で中地震の標準せん断力係数が規定されています。

このCo=0.2時の加速度は、80~100gal程度です。

加速度80~100gal時の震度は、気象庁のサイトで確認できます(http://www.data.jma.go.jp/svd/eqev/data/kyoshin/kaisetsu/comp.htm)。


これによると震度5弱~5強程度になるわけです。ただし、震度と加速度の関係は周期によって大きく変わります。周期は建物や地盤により異なるので、一概には言い切れません。

中地震とマグニチュードの関係

中地震とマグニチュードの関係も、関連付けることが難しいです。マグニチュードは、地震自体の大きさを表します。


一方中地震は、「建物に生じる」標準せん断力係数、加速度が定義されます。地震自体の加速度と、建物に生じる加速度は違います。


また、マグニチュードが大きくても、加速度が小さい場合もあるし、逆にマグニチュードに比べて加速度が大きいこともあります(詳細は気象庁などに書いてあります)。


例えば東日本大震災ではM9で、最大加速度2700gal(宮城県栗原市)ですが、建築物自体に大きな被害は生じていないそうです(建築物の構造関係技術基準解説書より)。これは、建物に生じる加速度は小さいことを意味します。


・震度やマグニチュードは、地震自体の揺れやエネルギーを表す

・建築基準法の中地震は、「建物に生じる加速度」などを表す


と考えましょう。一方は地面、もう一方は建物を対象とした用語なので、関連付けが難しいのです。

中地震と大地震の違い

前述したように、中地震と大地震は再現期間の違い、標準せん断力係数の違いがあります。下記に示します。


・中地震 50年に1度  Co=0.2(80~100gal)

・大地震 500年に1度 Co=1.0(300~400gal)


根拠・参考

  • 建築物の構造関係技術基準解説書

実務では、設計条件・仕様書・適用する規準により確認してください。

混同しやすい用語

大地震

500年に1度発生する地震で、標準せん断力係数Co=1.0です。

中地震(50年に1度、Co=0.2)とは再現期間と地震力の大きさが異なります。

震度

地面の揺れの強さを表す指標ですが、建築基準法の中地震は建物に生じる加速度(gal)を基準にしており、震度と直接対応しません。

マグニチュード

地震自体のエネルギーの大きさを示す値です。

中地震は「建物に生じる加速度」を基準とするため、マグニチュードとの関連付けも難しい点が特徴です。

項目中地震(一次設計)大地震(二次設計)
再現期間約50年に1回約500年に1回
標準せん断力係数Co0.21.0
加速度の目安80〜100gal程度300〜400gal程度
設計目標損傷しない倒壊しない(損傷は許容)
設計方法許容応力度計算(一次設計)保有水平耐力計算(二次設計)

まとめ

今回は中地震について説明しました。

中地震の意味が理解頂けたと思います。

一般の方は震度、マグニチュードを中地震と関係づけて考える傾向にあります。

しかし、これらの相関は無いので注意しましょう。

建物の設計をするとき重要なのは、地震による加速度や、地震による力(地震力)と覚えてください。

下記も併せて学習しましょう。

極めて稀とは?稀との違い・発生頻度と地震力・震度の目安

地震地域係数(Z)とは?地域別の値一覧と地震荷重計算への使い方

【管理人おすすめ!】セットで3割もお得!約1,100語の用語集+476点の図解集セット⇒ 建築構造がわかる基礎用語集&図解集セット

この記事の内容を○×クイズで確認する

この記事で学んだ内容は、無料の○×問題集でも確認できます。

意味を読んで終わりにせず、実際に理解できているかチェックしてみましょう。

ゼロ所長の構造力学問題集で確認する

ハナダユキヒロ

この記事を書いた人

ハナダユキヒロミツメラボ

設計事務所に7年勤務。2010年より「建築学生が学ぶ構造力学」を運営(16年以上)。著書「わかる構造力学」「わかる構造力学(改訂版)」(工学社)。

▼用語の意味知らなくて大丈夫?▼

建築学生が学ぶ「構造力学」の用語集

▼同じカテゴリの記事一覧▼

▼カテゴリ一覧▼

▼他の勉強がしたい方はこちら▼

建築構造がわかる基礎図解集

【無料】ゼロ所長が解説!建築士試験の構造を効率よく学ぶ

・試験に出るポイントをわかりやすく解説

・今すぐnoteで学ぶ ⇒  ゼロから学ぶ建築士試験の構造

わかる1級建築士の計算問題解説書

計算の流れ、解き方がわかる!1級建築士【構造】計算問題解説集

わかる2級建築士の計算問題解説書!

【30%OFF】一級建築士対策も◎!構造がわかるお得な用語集

建築学生が学ぶ「構造力学」の用語集
pdf版の学習記事

プロフィール

建築の本、紹介します。▼

すぐにわかる構造力学の本

同じカテゴリの記事一覧

Topへ >>

  1. HOME > 構造計算の基礎 > 中地震とは?1分でわかる意味、震度との関係、大地震との違い
  2. 1級の過去問(計算)解説
  3. わかる建築構造の用語集・図解集
  4. 1頁10円!PDF版の学習記事